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カテゴリ:BLACKLIGHT 再起
ヨーディはぶつぶつと念仏を唱えながら、城門に降り立つ。
「フューリッド領のエインテルと申します。ゼリクトア王にお会いしたいのですが」 急用につき、事前に連絡していないことを謝罪する。 知らせはすぐに送られる。「エインテル?は以前、いなくなったのではなかったか?」 疑いの声が上がるものの、ゼリクトア王は本物であると確信している。 手にしている書状に目を通すと、ヨーディは中へ通される。 部屋の中は緊張感にあふれている。 「ようこそ、おいでくださいました。早速ですが、詳しい話を聞かせていただけますか?」 ヨーディは以前行われていた交易の再開を希望し、価格についても提示する。 ひとまず話し終えると、思考している沈黙が流れる。 もちろん、ここにもイグリスから出向いて来ている者がいる。 「これはイグリスにとっても有効な取引か?」 レイトの考えからすれば、輸送効率などを含めれば有効であるとしている。 この理屈に誰も異論はないようだ。取引は滑らかに進んでいく。 そして、終わろうとしていたそのとき、「あなたもバフタールに行かれたのですよね?」 ヨーディはそうですと答えると、バフタールの状況についても聞かれる。 「今回、わざわざ呼び出して交渉してきたことから見ても、 かなり追い込まれてきているとみて間違いないのではないでしょうか」 ヨーディは忘れないうちにすべて吐き出す。 「いずれはイグリスとバフタールの取引についても見直す時が来るかと。 状況次第では、バフタールを従わせることができるかもしれません」 「それができるならどれだけ楽なことか。 強硬な態度をとれば間違いなく、同盟関係は崩れ去る。 バフタールにどの程度の奥の手が隠されているかにもよるが・・・」 ヨーディはレイトの想定通りに進んでいくことに、笑いがこぼれそうになる。 「簡単なこととまでは言いませんが、可能ではないでしょうか? フューリッドのときと同じです。挟み撃ちにされれば降伏せざるを得ない」 そう言われると、納得する者もいれば、しない者もいる。 どちらにしても今ここで結論を出すような案件ではない。 「まぁ、そういうことになれば改めて話し合うことになるでしょう。 その折にはレイト殿にも再会できるかもしれませんな。 ともあれレイト殿によろしくお伝えください」 ヨーディはゼリクトア王から返答の書状を受け取り、帰還の準備をする。 (なんとか終わった) ヨーディは解放感とともに暗記が抜けていくのを感じる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020/04/26 12:00:07 AM
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