『キッチン』原作&映画
ジュディ・オングの『魅せられて』という曲に、~好きな男の腕の中でも違う男の夢を見る~って歌詞があるんだけど、先日、『そして、バトンは渡された』を読んでる時にずーっと脳をジャックしてたのは『キッチン』だった。瀬尾まいこ先生の活字に包まれながら吉本ばなな先生を想う…なんだろ、これ…なんで?『そしてバトン…』の優子がいる街が、『キッチン』のあの街のような錯覚があった。キッチンは、本も映画も大好きだけれどもここ何十年も思い出したこともない。確かに食事がらみの作品だった気はするけどほとんど内容忘れてるし。居ても立っても居られなくなって、20年以上ぶりにキッチン文庫本を手にした。意味不明なレビュー注意wwwレビューっつーか、ただのダラダラ長文のグダグダ感想文。 あーーーー…これ確かに同じ街に住んでるわw私の中で。アリス評価 ★★★★★新しい記憶は一度、海馬で整理整頓されて、それから大脳皮質にストックしていくらしい。私の大脳皮質には、フワフワ村があるんだわ。『そしてバトン』の優子達も『キッチン』のミカゲ達もフワフワ村にいるんだわ、これ。(お薬やってまへん)フワフワ村の高台のマンションには雄一が住んでいて、そのずっと隣には『耳をすませば』の地球屋がある。フワフワ村の空気はパリッとしてて、お洒落な街並みで、でも夜は湿気っていて季節はいつも夏なんだ。そして、みんな、少し詩的で妙に丁寧な日本語を話していて、情緒が安定して変に怒ったりしない人ばかり。メルヘンでのんびりしていて平和…泣き叫びたくなる夜も、深層心理と対話し哲学的に己を追い込みながら見て見ぬふりのチルモードで生きる住民たち。みんな、寂しさを抱えながら表面は取り繕い、達観しているのか逃げているのか、、はたまたあきらめているのか…早く大人にならざるを得なかった人達なのに…そんな村よ、フワフワ村。私の大脳皮質の片隅にある都会と田舎が入り混じったシャレオツな街~メルヘンにほんの少しの苦さ。バニラアイスに熱々のブラックコーヒーを掛けたアフォガードみたいな世界。闇メルヘン大好物の私にとってそりゃ20年以上経っても忘れられないよね~いや忘れてたんだけどw私は忘れてたけど、脳は覚えてたんだね~🍌『バトン』も『キッチン』も街や家の間取りなどの細かい描写はない。なんかお洒落な雰囲気を感じ取って~という読者の想像力に預けてる。なんとなぁくのニュアンスを、我々読者は都合よく受け取り、その街に住むことが出来る。食をからめた物語なのにスーパーへ買い出しなどの所帯じみた描写がないw現実的な生活感は読者の想像力に預け、主要会話だけをフワフワ~と…主人公の寂しさ、鬱々しさ、孤独な強さ、嫉妬、をサラッと書くか泥臭く書くか否かが私にとっての評価の分かれ目だったのかも。私が『バトン』の優子に不気味さを感じたのはそこだね。感情の起伏が無さ過ぎて人間味に欠けた。ぶっ壊れ感があってゾワゾワした。多分、瀬尾先生の手法にまんまと引っかかっただけなんだよな私先生は、心理描写をあまり書かずに行動で表現するのね。だから、読後に登場人物の行動がフラッシュバックしてきて点と点が結ばれそれぞれの気持ちがババババーっと染み込んできて急に爆発したように大号泣したんだよ私w速読せずに、じっくり本と向き合ってたらその時その時でちゃんと泣けたのかなぁ。。。さすれば読後、オットセイのようにオウオウ言いながら嗚咽せずに済んだのかもしれないw🍌『キッチン』のミカゲは、心の描写がしっかりとあった。泥臭く清らかな表現なのがまた素敵。共感も出来たし応援マインドになったしリアルさを感じたから安心して美しい文に酔いしれた。ばなな節。抜粋。「本当にひとり立ちしたい人は、何かを育てるといいのよね。子供とかさ、鉢植えとかね。そうすると、自分の限界が分かるのよ。そこからがはじまりなのよ」「人生はいっぺん本当に絶望しないと、本当に捨てらんないのは自分のどこなのかをわかんないと、本当に楽しいことがなにかわかんないうちに大っきくなっちゃうと思うの」「自分がいつか死ぬということを感じ続けていたい。でないと生きてる気がしない。だから、こんな人生になった」「もうたくさんだと思いながら見上げる月明かりの、心に染み入るような美しさを、私は知っている」「この世に、自分とパイナップルしか今夜わかり合えるものはいないって」「世界は別に私のためにあるわけじゃない。だから、いやなことがめぐってくる率はかわんない。だから他の事はきっぱりと、むちゃくちゃ明るくした方がいいって」🍌ミステリー小説が好きな私にとって、おしゃれな世界観をニュアンスで楽しむ小説は、全ての輪郭がボヤッとしすぎて物足りなく感じてしまう。なんとなぁくのニュアンスで書かれたミステリーは、あり得ないもんねwww。どういう間取りなのか、密室はどう可能だったのか。扉一つの描写でさえ、ギギギッという音や取っ手の質感などのディテール表現が必要。じゃないと、謎解きが成立しないwww『キッチン』は、登場人物のちょい闇となんとなぁくオシャレなニュアンス~の混合を楽しむ本。対比っていうよりも、うまく混ざってるのが凄い。ばなな節かっちょいいなーーーもうあとがきまでかっこいいわwwwこの本は短編3つの構成。1と2は『キッチン』と『続編』みたいな感じ。3つめは『ムーンライト・シャドウ』。これは、敢えて読み残している。油断して速読すると、あっという間に終わっちゃうから、じっくりと、ワインのように、私に読む心の準備ができるまで熟すとす。🍌『キッチン』は映画もあるんだぽ~本に続いて何十年かぶりに観たけど昔と同じ満点評価よ!!!これ、マジでヤベエから!脳天ぶち抜かれるから!大脳皮質にフワフワ村できちゃうからね!原作とは別物として楽しめます!!ちょい闇、メルヘン、に🌛夜のアンニュイさを増し増しで~とにかく美しい。音楽も、構図も、ロケ地やばい!素敵!インテリアがめちゃくちゃお洒落!!そして不気味wwシュールな棒読み、みんな何人かわかんない、張り付いた笑顔が標準装備だけどこの世界では素。邦画ならではの間が最高!これなのよーー!私が好きな邦画の間は!お涙頂戴の間じゃないわけ!!このキッチンのような美しいゾワゾワ感なの!ミカゲのフワフワさ。パーフェクト!!!!ヘアスタイル、ワンピース、しぐさ、声質、純粋無垢な怖さもwww原作とは違うミカゲだけど、映画の浮遊感にピッタリなんだよ!!!監督からスタイリストさんや美術さんやキッチンに携わった全員にありがとう!を言いたい!!!昔好きだった映画はオバサンになると色褪せて観えちゃう。あんだけ好きだった『かもめ食堂』も途中で断念するくらいに私の感性は死んでしまった。キッチンは大丈夫だった\(^o^)/そして、世代を超えてZ世代の娘にも刺さったww大騒ぎで観てましたよwww続けて2回w独特な感性の彼女の毒舌感想を箇条書きで。✦沢山のホラーフラグを全部スルーしてる映画。✦眠いけど眠れない、くしゃみ出そうで出ない、みたいな、怖いけど怖くない不安定さが癖になる。✦やっぱ怖い。目がキマッってる。✦まだ育ちきってないAIに作らせた感。✦ネジ外れた人達を綺麗な世界に入れてオシャレに撮った映画。(かなり褒めてる)彼女は、私よりもアンニュイなニュアンス映画好きみたい。もしかして、そろそろ時期かな。。。Fried Dragonfish🍌菊次郎の夏も、トトロも、久石譲さまの音楽あってこそ!キッチンも、野力奏一さまのピアノあってこそ!!満月北公園夢