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あい・らぶ・いんそん

再会5

再会5

「今日は5時からだ。迎えに来ようか」

10周年のパーティーにスジョンとともに出席するため、ジェミンは確認を
していた。

「大丈夫よ。あなたも準備で忙しいでしょ・・。」

「そうか、すまない・・それなら車を回すよ」

「ええ、ありがとう」

「それじゃあ後で・・・あまりきれいになって来るんじゃないぞ」

といたずらっぽく笑いながら出かけていった。

やがて時間がせまりスジョンは髪をアップにすると、ドレスに着替
えコートをはおった。

少し痩せたスジョンは黒のイブニングドレスがよく似合い、いっそ
う細身に美しくスジョンを引き立てていた。

ジェミンが手配した車に乗り、会場のホテルに着くと、ニューヨーク
に来て洗練されたスジョンの、東洋人の美しさがひときわ人目を惹いた。

クロークにコートを預け、エレベーターホールに行くと丁度エレベータ

ーが止まっていた。中にはすでに12.3人も乗っていただろうか、次

のエレベーターにしようかと迷っていると

「やぁ、スジョン。どうぞ」

と声をかけられた。見るとジェミンの会社の役員だった。

スジョンも同じエレベーターに乗り、ドアが閉まった。

「今日はまたいっそう美しいね。これじゃ、ジェミンが心配するはずだな。
さっきから君がまだかとうろうろしていたよ・・パーティーの準備も上の
空だ」

「まぁ、ボブったら・・。」
と笑った。

そのエレベーターの後方に一組のカップルがいた。女が男の腕にからみつ
くように寄り添い、男は驚きを隠せないようにただ黙ってスジョンを見て
いた。

それは・・・イヌクだった。

イヌクはその女の腕をふりほどき、スジョンを抱きかかえて連れ出したい
衝動を拳を強く握って耐えていた。

手を伸ばせば届くスジョンにふれることもできずに、イヌクはただじっと
スジョンを見つめていたのだった。後ろから見るスジョンの襟足が愛おし
く、イヌクの胸が高鳴った。

6階に着きドアが開くと、ドアの前で時計を見ながら立っているジェミン
が見えた。

「あなた・・ここよ」

スジョンがエレベーターを降りるとジェミンは、

「遅かったな・・心配したぞ。」

と言ってスジョンの手を取り、頬にキスをした。

イヌクはエレベーターの奥からその姿をじっと見つめていたが、ジェミンが
顔を上げた途端、視線が合いそうになり思わず顔を背けた。

と同時にエレベーターのドアが静かに閉まっていった。

ジェミンは一瞬、イヌクを見たような気がして眉をひそめた。

「さあ・・行こうか」

ボブの声で会場に向かった。

スジョンの肩を抱くジェミンの手に、思わず力が入っていた。


部屋に戻ったイヌクはソファに深々と腰掛け、両手で顔を覆っていた。

「どうしたの?」

女がイヌクにまとわりついてくると、

「帰れ・・帰ってくれ」

と静かな声で言った。

女はすねたように

「嫌よ・・今日は泊まって良いって言ったでしょう」

とイヌクに抱きつこうとすると、その腕をつかんで突き倒した。

「良いから・・帰れ」

強い口調に女は驚き、悔しそうに帰っていった。

するとイヌクはすぐにフロントに電話をかけ、6階の催しは何かと聞
き出していた。

「そうか・・わかった。ありがとう」

ジェミンの会社の10周年のパーティーだと知ったイヌクは不敵に笑っ
て受話器を置いた。

「やっと見つけたよ・・スジョン。きれいになったな・・」

イヌクはグラスにバーボンを注ぐと、ニューヨークの街並みを見下ろし
ながら、何故か乾杯をするようにグラスを上げて、そして飲み干した。

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