カテゴリ:書籍
この2日ほど、長時間電車に揺られる日が続きましたゆえ、その間で読了いたしました~。
3月末の発売日に購入しておりましたものの、書店の袋に入れたまま積ん読状態となっており、何日か後に「?…この袋には何が??」と開けるまで、購入した事を忘れておりましたり…。(レクター博士、ゴメンなさ~~い!!) 恐るべし、『「ハゲタカ」一色脳』…。 以下、ネタバレ有り感想となりましょうゆえ、これから小説をお読みになられるかたは、何とぞスルーをば…。 ズバリ!私め的には物足りない印象でござりました…。 まぁ、主人公の『ハンニバル・レクター』の人生が、今後どうなって行くのか既に知っておりますだけに、どういう危機に陥ろうとも『ここでは死なない』と判っておりますゆえ、ピンチのシーンも『安心して読める』というのが、最大のネックだった気が…。 ハンニバルが『妹』を失う経緯がどこまで詳しく描写されているのか…というところに、怖いもの見たさのような興味を抱いてしまいつつ読み始めたのでござりまするが、その辺りは、前作「ハンニバル」で触れられていた部分から想像していた範疇のままでござりました。 ハンニバル自身は『その経過』を見ていないだけに、具体的な描写は控えられたままで、残酷かつ陰惨なシーンが長々と書かれていなかったことに安堵しつつ、正直、少々拍子抜けという気持ちにもなりました。(前作『ハンニバル』終盤での、『アノ具材でのお料理シーン』のような克明描写があるのでは…と構え過ぎてしまった私め…) とにかく、訳者の高見浩さんも解説(あとがき)で触れておいででござりましたが、ハンニバルがどうしてあのような嗜好を持つに至ったのか…という最大の『謎』は、ついに解きあかされないままだった気がします。 『妹』の残酷な末路と、それを為した者たちへの復讐の過程で知る『意外な真実(予想できる範囲内という気も??)』と、その葛藤を経て…という感じならば、『納得しやすい理由』になったやも知れませぬが、その前にハンニバル、早速『食べちゃって』るし。 スッキリしないと申さば、その通りでもあるのですが、「平和な時代に育っていれば、『ちょっと変わり者の天才』程度だったかもしれないハンニバルが、『戦争』という巨悪によって、底知れぬ闇に引き込まれてしまった…」という、ある意味『ありがち』な理由付けをされなくて良かったという気もしております。 (が、生まれ落ちた時から『ああいう人』なのであれば、『妹がらみのトラウマ』はちょっとしたオマケ??という印象も…) それから、雰囲気的に落ち着かなかったのが、『日本趣味』描写。 トマス・ハリス氏が日本文化を気に入って下さって、素晴らしく勉強して下さっている事は大変ありがたいと思うのでござりまするが、やはり、ど~~しても違和感が…。 特に、マイ両親の故郷が広島ゆえ、原爆関係の実話には接しやすい環境にあるだけに、『禎子さんと折り鶴』をこじつけたエピソードには、正直、やや白けてしまいました。(小説世界から、急に『現実』に引き戻された感じで…) 紫夫人、日本以外の国の人だったほうが、日本人読者には良かったのやも。 『日本人が、エキゾチックな憧憬の対象にはなり得ない』私めには、「んん~、紫夫人程度じゃ『妹との約束』が優先かな~~」という感じすら…。 そのぶん、クラリス(って、『ホライズン本社代表』ではなく)との関係が、レクターにとって初めての『特別な人間関係(アイとかコイとかで表現したくないっス)』だった、というところが際立つのでござりまするが♪ 読後、無性に懐かしくなったのが、シリーズ第1作の「レッド・ドラゴン」において、ウィル・グレアムが『レクターの書棚にある背表紙』を見た瞬間に彼の『特性』を悟り、同時にレクターもその一瞬でグレアムの気持ちを読み取る…という、深淵な恐怖を秘めつつも、さりげなく語られているくだり。 あれこそが、このシリーズ最高の瞬間だったな~~と、改めて思ったりしております。 ハンニバル・ライジング(上巻) ハンニバル・ライジング(下巻) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年04月08日 09時56分53秒
[書籍] カテゴリの最新記事
|
|