泣ける話
今日は朝から何度も同じ人から電話がありました。彼女とは会った事も無いし、なんか凄く面倒な人だなと思ってたんよ。その電話の内容は・・「ある曲を弾いてほしい。お金は払えないけど録音させてほしい」簡単に言うとそうなのです。そんな聞いた事の無いタイトルの曲だし、しかも今日録音させてほしいって・・・一方的じゃないですか?って。そして録音するなら、練習させてよって。しかもレッスンの時間も今日は一杯やしさぁぁ・・空き時間も無いしって何度も断ってました。そしたら次ぎは仕事場のスタジオまで電話をかけてきた。1度目は素っ気無い対応で「今レッスン中だし、とにかく今日は駄目」また電話を1時間後にかけてきた。もう私は呆れてしまってて、断わろうとした時に彼女が冷静に話しかけてきました。昨夜、その女性の二人の子供とその従兄弟が車の事故で亡くなった・・・と言うのです。明日、朝の8時半にお葬式があるのでその時に子供が好きだったこの曲を流して送り出したいというのです。その曲の演奏をお願いしますって。・・・・なんちゅー話しよ・・・なんでもっと早く理由を言ってくれないの?きっと彼女は亡くなってしまった息子さんの傍を一時も離れたくないやろう。なのにこうやってピアノの先生を探しまくって1日中色々電話して、きっと誰も受け入れてくれなかったから、何度も私に電話をしてきたんやろう。ホントごめんなさい。心が痛いです。私はすぐに30分先にあるレッスンをキャンセルして彼女をスタジオに呼びました。「5分間の練習時間をください。」とお願いをして曲の練習を始めました。練習中、私は何度涙を堪えたかな。。約束の5分が経って、ではレコーディングしましょ。6ページもある曲。ミスなしで弾けるかな。。気持ちを落ち着かせて・・・深呼吸して・・なんか凄い緊張しました。どこの誰かも知らない人のお葬式の為に弾くこの1曲。彼達が好きだったこの曲をどんな風に弾けるかな。演奏中ちょっと不思議な気持ちになりました。知らない曲だけど、なんかずーっと前から知ってるような気持ちになったり、ある部分は口ずさんで弾いてたり。レコーディングが終わった瞬間、彼女は泣き崩れて私に力強くしがみついて泣いていました。何度も「Thank you....Thank you...」って。こんな時なんて声を掛けたらいいんやろうね。今日の出来事はきっと忘れないやろう。しかも日本では今日、私の誕生日じゃぁぁぁぁん。余計に忘れられない・・・