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裏庭のおしゃべり

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2018.08.21
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カテゴリ:映画・俳優
台風19号の直撃は免れましたが
こちらは先ほどから暴風になってきました。
奄美地方は大丈夫でしょうか。

台風は強い勢力を保ったままなので
影響を受ける地域の方はお気をつけくださいね。


さて

こちら、劇場公開を逃していたので
お盆に配信で鑑賞いたしました。




Story





アートギャラリーのオーナー、スーザンは
関係が冷え切ってしまった夫ハットンと豪邸に住み

裕福な暮らしを手に入れていたが
常に心は空しくストレスで睡眠障害を抱えていた。


そんなある日
元夫のエドワードから
「ノクターナル・アニマルズ」という小説が届く。



それには


「スーザンに捧ぐ」と記してあり

彼が執筆したものだった。





エドワードとは地元テキサスでの幼なじみ。
学生時代、ニューヨークで偶然再会し
親の反対を押し切って結婚した相手だった。

彼は不眠症のスーザンを
時に「ノクターナル・アニマル」と呼んでいた。


しかし

小説家志望で情緒豊かなアーティスト気質の彼と
保守的で実利主義のスーザンとでは

目指すものの相違から
未来を共有できないことを思い知り
2年で離婚することになる。


また

スーザンは秘密裏にエドワードとの子を中絶し
自身の犯した罪に苦しんでいた彼女は

ハットン(現在の夫)に助けを求め
その現場をエドワードに目撃されてしまう。



あれから20年。。

音信不通だった彼が
なぜ、小説を送ってきたのか。。気にはなりつつも



読み進めていくうちに
スーザンは壮絶な内容にひきこまれていく。








現実世界では表面的には何も起こりません。
小説の内容が凄まじいだけです。

現実のスーザンの世界と架空のエドワードの世界が
スーザンの中で時に交錯しながら並行して語られ

小説の読み手によって
登場人物のキャラが創造されるように

スーザンの精神性を通して
彼女の頭の中を覗いていくような物語。
(脳内映像)





そのエドワードの小説
「ノクターナル・アニマル」をざっと説明すると

ある夜、主人公のトニーは
妻と娘を連れ西テキサスのハイウェイを走行中に


あおり運転の常習犯グループによって
車を奪われ、妻と娘も無残に殺されてしまう。




それを救えず逃げるしかなかったトニーが
1年後、警部補のボビーと共に犯人たちを追い詰めて復讐を果たす。


・・・というもの。






小説の中の主人公たちを演じるのが
リアルな世界の主人公たちと同一なので

観客の目には
架空のお話しであるにもかかわらず
その境界が曖昧になりリアルさが迫ってきます。


予告編


(HPは見つかりませんでした)








オープンニング、

ちょっとビックリ。


ジャンクカルチャーと称したパフォーマンスから
いびつなものを感じさせられます。

​なに?  なに?  なに?  これ。​


あれを力強い生命のパワーと考えるのか

陳腐なただのジャンク、ゴミと感じるのか。。



「全ては相対的にできているの」と
友人は語ります。


この言葉は様々な形でリンクしているように感じました。



愛なのか、復讐なのか


どっちでもいいし、他の見解があってもいい

そう思ってますが
(監督も明言を避けているらしい)



私にはエドワードの告白のようにも感じたのです。

ただ、受け取ったスーザンが
その本質を読み解くことができたのか。。

それは、わかりません。





「お母さんと同じ悲しい目をしているね」

かつてのエドワードの言葉。

母親と似ていることを否定してきたスーザンだが
今では、同じような虚飾世界の住人になり果てている。

不都合なことから逃げ続け、物質主義を選択し
自分を偽って生きているうちに
魂が欲するものを見失ったまま。。

しかし
力強いエドワードの小説を読むうちに
希薄だった感情が大きく揺さぶられ

かつて、購入したことも忘れていたアートや




ギャラリーのロビーにある

いくつもの矢に射抜かれた動物のオブジェ など

今まで視界に入らなかったものに
スーザンは敏感に反応していきます。



スーザンが投影し見せてくれる小説の世界は
バイオレンスにも関わらず

悪人でさえカリスマ性を纏い妙な魅力を発しています。







突然現れて全てを奪い破壊するレイは
スーザンの象徴だったのか


「助けるべきだった、止めるべきだった! 止めるべきだった!!」


「罪を犯して逃れようとするものは
誰ひとり、許されない!  誰ひとり!!」


このトニーの叫びは誰の叫び?

トニーはエドワードでもありスーザンでもあったのか


小説のラストシーンで
エドワードは登場人物たちを全て殺してしまいます。





そして


現実世界のラストシーンでは
スーザンとエドワードは再会の約束をします。


スーザンは厚く塗った口紅をぬぐい

かつての彼女のように
ほのかな期待の笑みを浮かべ彼を待つのですが。。









このラストシーンには、少々もやもやしますね。



これは復讐なのか

決別なのか


異質な告白だったのか


はたまた

今だ小説の本質に気づかないスーザンに絶望したのか


それは

観客の受け取り方次第のようです。


現実と架空の間には
言葉のリンクや伏線がたくさん散りばめられていて


それを回収するのが好きなタイプの方には
ピッタリな映画かもしれません。



エドワードはかつて、こうも言ってました。

「書くことで、いずれ死ぬに行くもの(忘れられるもの)を救いたい」

「永遠に生きるから」



でも

20年もこんなカタチで付きまとわれていたなんて

忘却という選択肢はなかったのね。
粘着質でおそろしい。。




スーザンの母親のセリフが思い出されます。

「みてなさい、娘は母親そっくりになるものなのよ」



(結婚したら)
「エドワードの長所も傷つけることになるわ。」





ビデオ



今回、犯罪者レイを演じた
アーロン・テイラー・ジョンソン(中央)

下矢印



いままで、演じたこともなければ
オファーもなかった役に挑戦し
ゴールデン・グローブ、助演男優賞を獲得してますね。


私の記憶にあるのは「アンナ・カレーニナ」

下矢印



いかにもイギリス人らしいイメージ。(ロシア人の役でしたが)

今作では大変貌でしたね。



エイミー・アダムスをはじめ
ジェイク・ギレンホールの演技も素晴らしかったし
マイケル・シャノン(警部補役)も素敵でした。
アーミー・ハマーがハットンというのは
若すぎて不自然でしたが

キャストが良いと安心して映画に集中できますね。


監督はファッション・デザイナーのトム・フォード(前作「シングルマン」)
背景の作り方もアートやインテリアも
無駄なく登場人物の心理を反映するかのごとくで
スタイリッシュでした。


また

大きな赤いソファーで
お互い裸体のまま母親に抱かれるように
亡骸と化して発見された母娘


「娘さんは、もっと(母親より)苦しんだようだ」
検証をした警部補がトニーにそう伝えます。

これは

スーザンの胎内で突然命を奪われてしまった
わが子を象徴してますよね。


残酷なシーンにも関わらず
妙な美しさが印象に残っています。







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Last updated  2018.08.23 16:13:02
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