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テーマ:オール台湾!(1574)
カテゴリ:旅行
台湾茶にハマった日本人が行き着く店というのは、大体決まっているらしい。
そのうちの1つが、これからご紹介する上園茶荘であることは間違いないようだ。 このお店、店主・林さんは日本語が堪能なので、観光ガイドブックにも載るような有名店だった。 さらに、XiangLeの工藤先生も本でよく書いているし、実際に買いにも行ってらっしゃるそうなので、その筋でも有名。 この筋で有名ということは、平たく言うと、 茶通を唸らせる美味いお茶がある ということです。 そんな噂を聞きつけ、ここを仕入先にしている日本の業者さんも数多いし、実際、上園茶荘から仕入れていることを謳っているお店も多い。 そんな 期待感・大 のお店だけれども、今回このお店に行ってみて、1つだけ確実に言える事がある。 それは、 このお店は、万人にオススメできるお店ではない ということ。 …というのは、店主の林さんが、良い意味でも悪い意味でも個性の強い方なのデス。 林さんは元々、繊維関係の技術を教える工業専門学校の先生。 お客さんと接するというよりは、その知識と好意のあまり、 日本の人に、台湾茶のことを正しく教えてやる! という先生スタンスで(それも、かなり腕をまくっちゃう位の勢いで)来られます。 ここからは、ありのままに書きますので、読んでみて自分に合う店かどうかをご判断下さい(^^ゞ #私は、通いますが。。。 上園茶荘さんは、吉林路の北の方。民権東路と民族東路の中間付近にあります。 近くには占い横丁で有名な行天宮があるので、ここと一緒に行かれると良いかもしれません。 民権東路から入っていくと、通りの左側に見えてきます。 時間は午後5時少し前。 店内には、林さんだけしかいませんでした。 雑然として、お店というよりは倉庫のような感じです。 あるきち:こんにちは。お茶見せてください(以下、ずーっと日本語) 林さん:初めて? あるきち:はい。本を見てきました。 林さん:本持ってる?サインしてあげようか? あるきち:(シマッタ、日本に置いてきた…)日本に置いてきちゃったので。。。 林さん:じゃあ、今度来た時ね。今日は、卸?個人で飲むの? あるきち:あ、個人で飲むやつです。毎年、台湾に来て飲む分を買っているので(私の周囲は、これを「買い付け」と呼んでいます) 林さん:じゃあ、色々試して、教えてあげなきゃね(キラーン、と林さんの眼が光った…ような気が) ということで、始まったのですが、最初のお茶が出るまで1時間。 この間、 ・如何に多くの日本人が買いに来ているか ・如何に多くのお茶を日本向けに卸しているか ということを今までの販売伝票をひっくり返して見せられ、 ・如何に多くの雑誌や本に紹介されたか ・阿里山のお茶を扱う権利を持っているのがどれだけ凄いのか ・工藤先生との話 ・銀座のどこどこの寿司屋(座ったら10万円ぐらいらしい)は、うちの大禹嶺クラスしか入れていない 等々、私、凄いんですという話を、さんざんされます(苦笑) #これが寛容な心が必要な理由です。。。 そして、その後、美味しいお茶を見分ける要素(ある意味、奥義)を丁寧に教えてくれます。 これはとても勉強になります\(^o^)/ まず、季節。 春茶とひとことで言っても、早めの春茶もあれば、夏に近い春茶もある。 全然、味が違うし、価値も違う。 悪い店だと、春茶といって、夏に近いお茶を売りつける。 #このあと飲み比べるので、よくその違いが分かります。 それから、標高。 標高が高いところのお茶ほど美味しい。 オゾンの有無、日照時間の問題で茶葉の成長がゆっくりな方が良い等々、理論について説明されます。 高けりゃ美味い、としか教えない茶商が多い中で、こういうことを整理して話せるのは流石です。 もう1つは、土壌 新しい土壌ほど良い。劣化してくると、有機肥料を入れるのが次善。化学肥料などになると、落ちる、とのこと。 最近、台湾の高山茶の味が落ちてきたことについては、土壌が古くなってきたのに、植え替えをなかなかしない、というのもあるらしい。 あるきち:土壌が古くなったらどうするの? 林さん:新しいところを切り開けば良いでしょ? なるほどねぇ。。。 そして、茶樹の年齢 若いほど、樹に勢いがあるので良いのだそうだ。 お茶は、3年目から茶摘が出来るので、3年目~7年目ぐらいがベスト? #なので、植え替えすると2年間は茶摘が出来ない(=収入がなくなる)。これを茶農家が受け入れられないので、植え替えが出来にくい、ということらしいです。 こうしたポイントを見極めることが大事とのこと。 見た目では、茶質が詰まった良いお茶は、すぐに沈む。ぷかぷか浮いちゃうのは茶質が少ないということだそうだ。 …なるほど、理路整然と整理して教えてもらえる。さすが、理系の先生だ。 ちなみに、林さん、少し説明すると理解できたかどうか、あるいは知っているかどうかを確認するために、 意味分かるー? 意味分かってきたー? という言葉を力いっぱい連発されます。 大変、頭に残るイントネーション&くどい程やられますので、一番、印象に残っているのは、この言葉かも(苦笑) #私も噂では聞いていましたが、これほどとは…(-_-) これが嫌でこの店に来なくなる人もいると思うなぁ。。。 …この最初の嵐に耐えて、ようやくお茶。 ここまでで1時間。 気の短い人なら、きっと途中で帰るか、怒り出しますねぇ。。。(-_-) さて、お茶は、標高の順に出てきます。 林さん:下から飲まないと、違いが分からない とのこと。私もそう思います。 最初に出てきたのは ●凍頂烏龍茶● 春茶だけど、その終わりの頃のものだとか。 品種は青心烏龍種です。 さて、お味。 …味が、ぼやけている(-_-) 水っぽいというか、フォーカスが甘いというか… お茶の味わいの輪郭がハッキリしない感じです。ちょっと変に生っぽい。 次は ●阿里山高山茶● これも春茶。品種は青心烏龍種。 お味。 これまた今ひとつ(-_-;) 味わいも香りも薄い。 阿里山と言われれば、そうかもしれないけど、うーん… ハッキリ言いましょう。 この2つのお茶は、 美味しくない 林さん、さっきまでの講釈はどこに??? と思ったのも、仕方がありません。 ここまで茶壷で入れてくれていましたが、空いている茶壷がなくなったので、普通の湯飲み茶碗で淹れ始めました。 湯飲み茶碗に茶葉を入れて、お湯をかけて、その上澄みを茶杯に入れてくれます。 #使いまわしの茶碗なので、潔癖症の人はムリかも。。。(熱湯で濯いでますけどね) ここまでお読みになった方は、 期待はずれなんじゃないの、この茶荘 と思われたと思います。私も、正直そう思いました。 しかし、ここからでした、凄いのは。 #あんがい、ここまではテストだったのかもしれない… 次に出てきたのは、 ●福寿山● こいつは、ビックリしました。 茶水から漂う、香りはそんなに強いわけではないのです。 透明感のある水色。 ゴクリと飲んでみると、何のひっかりもなく、ススーッと喉に通っていきます。 それなのに、 旨みが凄い!! 透明なのに、思いっきり味がある!! …不思議な感覚。。。 何なの、このお茶! あるきち:梨山に行って、福寿山にも行ってきたけど、こんな美味しいのはなかったですねぇ 林さん:今の時期に行ったって、美味しいお茶はないよ。当たり前。それに、道のすぐそばにあるような茶園では僕は買わない。もっと奥に入っていって、買いに行く、とのこと。 いや、ホントにこのお茶美味しい。 飲んでいると、力が抜けていきます。 思わずカプカプ飲みます。 #林さんが、ニヤリとした気がするのは気のせいか。。。 正直、もう、これ以上のお茶は無いんじゃないかと思いました。 …しかし、まだまだですよ、上園茶荘の本気は。 こんなもんじゃありません。 だって、こんな美味しいお茶なのに、私、買ってこなかったんですから。。。 ここからがさらに凄いんです。 ディープな上園茶荘ネタは、さらに続きます。。。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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