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中国茶・台湾茶と旅行 あるきちのお茶・旅行日記(旧館)

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2006.10.13
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カテゴリ:旅行
台湾茶にハマった日本人が行き着く店というのは、大体決まっているらしい。
そのうちの1つが、これからご紹介する上園茶荘であることは間違いないようだ。

このお店、店主・林さんは日本語が堪能なので、観光ガイドブックにも載るような有名店だった。
さらに、XiangLeの工藤先生も本でよく書いているし、実際に買いにも行ってらっしゃるそうなので、その筋でも有名。
この筋で有名ということは、平たく言うと、

茶通を唸らせる美味いお茶がある

ということです。

そんな噂を聞きつけ、ここを仕入先にしている日本の業者さんも数多いし、実際、上園茶荘から仕入れていることを謳っているお店も多い。


そんな

期待感・大

のお店だけれども、今回このお店に行ってみて、1つだけ確実に言える事がある。

それは、

このお店は、万人にオススメできるお店ではない

ということ。


…というのは、店主の林さんが、良い意味でも悪い意味でも個性の強い方なのデス。


林さんは元々、繊維関係の技術を教える工業専門学校の先生。
お客さんと接するというよりは、その知識と好意のあまり、

日本の人に、台湾茶のことを正しく教えてやる!

という先生スタンスで(それも、かなり腕をまくっちゃう位の勢いで)来られます。

ここからは、ありのままに書きますので、読んでみて自分に合う店かどうかをご判断下さい(^^ゞ
#私は、通いますが。。。


上園茶荘さんは、吉林路の北の方。民権東路と民族東路の中間付近にあります。
近くには占い横丁で有名な行天宮があるので、ここと一緒に行かれると良いかもしれません。
民権東路から入っていくと、通りの左側に見えてきます。

時間は午後5時少し前。
店内には、林さんだけしかいませんでした。
雑然として、お店というよりは倉庫のような感じです。

あるきち:こんにちは。お茶見せてください(以下、ずーっと日本語)
林さん:初めて?
あるきち:はい。本を見てきました。
林さん:本持ってる?サインしてあげようか?
あるきち:(シマッタ、日本に置いてきた…)日本に置いてきちゃったので。。。
林さん:じゃあ、今度来た時ね。今日は、卸?個人で飲むの?
あるきち:あ、個人で飲むやつです。毎年、台湾に来て飲む分を買っているので(私の周囲は、これを「買い付け」と呼んでいます)
林さん:じゃあ、色々試して、教えてあげなきゃね(キラーン、と林さんの眼が光った…ような気が)


ということで、始まったのですが、最初のお茶が出るまで1時間。

この間、

・如何に多くの日本人が買いに来ているか
・如何に多くのお茶を日本向けに卸しているか


ということを今までの販売伝票をひっくり返して見せられ、

・如何に多くの雑誌や本に紹介されたか
・阿里山のお茶を扱う権利を持っているのがどれだけ凄いのか
・工藤先生との話
・銀座のどこどこの寿司屋(座ったら10万円ぐらいらしい)は、うちの大禹嶺クラスしか入れていない


等々、私、凄いんですという話を、さんざんされます(苦笑)
#これが寛容な心が必要な理由です。。。


そして、その後、美味しいお茶を見分ける要素(ある意味、奥義)を丁寧に教えてくれます。

これはとても勉強になります\(^o^)/

まず、季節
春茶とひとことで言っても、早めの春茶もあれば、夏に近い春茶もある。
全然、味が違うし、価値も違う。
悪い店だと、春茶といって、夏に近いお茶を売りつける。
#このあと飲み比べるので、よくその違いが分かります。

それから、標高
標高が高いところのお茶ほど美味しい。
オゾンの有無、日照時間の問題で茶葉の成長がゆっくりな方が良い等々、理論について説明されます。
高けりゃ美味い、としか教えない茶商が多い中で、こういうことを整理して話せるのは流石です。

もう1つは、土壌
新しい土壌ほど良い。劣化してくると、有機肥料を入れるのが次善。化学肥料などになると、落ちる、とのこと。
最近、台湾の高山茶の味が落ちてきたことについては、土壌が古くなってきたのに、植え替えをなかなかしない、というのもあるらしい。

あるきち:土壌が古くなったらどうするの?
林さん:新しいところを切り開けば良いでしょ?


なるほどねぇ。。。

そして、茶樹の年齢
若いほど、樹に勢いがあるので良いのだそうだ。
お茶は、3年目から茶摘が出来るので、3年目~7年目ぐらいがベスト?
#なので、植え替えすると2年間は茶摘が出来ない(=収入がなくなる)。これを茶農家が受け入れられないので、植え替えが出来にくい、ということらしいです。

こうしたポイントを見極めることが大事とのこと。

見た目では、茶質が詰まった良いお茶は、すぐに沈む。ぷかぷか浮いちゃうのは茶質が少ないということだそうだ。

…なるほど、理路整然と整理して教えてもらえる。さすが、理系の先生だ。


ちなみに、林さん、少し説明すると理解できたかどうか、あるいは知っているかどうかを確認するために、

意味分かるー?

意味分かってきたー?


という言葉を力いっぱい連発されます。

大変、頭に残るイントネーション&くどい程やられますので、一番、印象に残っているのは、この言葉かも(苦笑)
#私も噂では聞いていましたが、これほどとは…(-_-) これが嫌でこの店に来なくなる人もいると思うなぁ。。。


…この最初の嵐に耐えて、ようやくお茶。

ここまでで1時間
気の短い人なら、きっと途中で帰るか、怒り出しますねぇ。。。(-_-)


さて、お茶は、標高の順に出てきます。

林さん:下から飲まないと、違いが分からない

とのこと。私もそう思います。


最初に出てきたのは

●凍頂烏龍茶●

春茶だけど、その終わりの頃のものだとか。
品種は青心烏龍種です。

さて、お味。

…味が、ぼやけている(-_-)
水っぽいというか、フォーカスが甘いというか…
お茶の味わいの輪郭がハッキリしない感じです。ちょっと変に生っぽい。


次は

●阿里山高山茶●

これも春茶。品種は青心烏龍種。

お味。

これまた今ひとつ(-_-;)
味わいも香りも薄い。
阿里山と言われれば、そうかもしれないけど、うーん…


ハッキリ言いましょう。

この2つのお茶は、

美味しくない

林さん、さっきまでの講釈はどこに???

と思ったのも、仕方がありません。


ここまで茶壷で入れてくれていましたが、空いている茶壷がなくなったので、普通の湯飲み茶碗で淹れ始めました。
湯飲み茶碗に茶葉を入れて、お湯をかけて、その上澄みを茶杯に入れてくれます。
#使いまわしの茶碗なので、潔癖症の人はムリかも。。。(熱湯で濯いでますけどね)



ここまでお読みになった方は、

期待はずれなんじゃないの、この茶荘

と思われたと思います。私も、正直そう思いました。

しかし、ここからでした、凄いのは。
#あんがい、ここまではテストだったのかもしれない…


次に出てきたのは、

●福寿山●

こいつは、ビックリしました。

茶水から漂う、香りはそんなに強いわけではないのです。
透明感のある水色。

ゴクリと飲んでみると、何のひっかりもなく、ススーッと喉に通っていきます。
それなのに、

旨みが凄い!!
透明なのに、思いっきり味がある!!


…不思議な感覚。。。

何なの、このお茶!

あるきち:梨山に行って、福寿山にも行ってきたけど、こんな美味しいのはなかったですねぇ
林さん:今の時期に行ったって、美味しいお茶はないよ。当たり前。それに、道のすぐそばにあるような茶園では僕は買わない。もっと奥に入っていって、買いに行く、とのこと。


いや、ホントにこのお茶美味しい。

飲んでいると、力が抜けていきます。
思わずカプカプ飲みます。
#林さんが、ニヤリとした気がするのは気のせいか。。。

正直、もう、これ以上のお茶は無いんじゃないかと思いました。


…しかし、まだまだですよ、上園茶荘の本気は。
こんなもんじゃありません。

だって、こんな美味しいお茶なのに、私、買ってこなかったんですから。。。

ここからがさらに凄いんです。

ディープな上園茶荘ネタは、さらに続きます。。。





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Last updated  2006.10.13 18:31:37
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