対政府交渉に参加しました(2)
昨日の続きです。介護問題に続いて、震災対策について、文部科学省、国土交通省との交渉が行われました。新潟、福岡と大地震が続き、今やいつどこで震度7級の地震が起きてもおかしくないといわれています。だからこそ、震災対策は急務です。今回の要請は、(1)公立小中学校の耐震化を抜本的に促進すること(現在55%しかすすんでいません。耐震改修の国庫補助率、施設整備費全体の引き上げなどを要求しています)、(2)住宅の耐震診断、改修を協力に促進すること(国庫補助の拡大、対象地域制限の撤廃など)、(3)ビルの窓ガラス飛散、ブロック塀倒壊の被害防止のための調査と安全基準の確立を柱に行いました。私自身は、墨田の木造家屋の耐震改修について、発言しようと思っていたこともあり、この部分については興味をもって回答を聞きました。担当者の説明と配られた資料によれば、住宅・建築物耐震改修等事業として20億円計上されているのとともに、「地域住宅交付金」を580億円計上したとのこと。この交付金は、「地方自治体が主体となり、地域における住宅政策を自主性と創意工夫を活かしながら総合的計画的に推進するための支援制度」とのことで、民間住宅の耐震改修も、地方自治体が計画を立てれば交付する、というもの。この回答を受けた上で、私は以下のような発言をしました。《私の発言》 今の説明では、耐震改修に20億円、それに加えて交付金が計上されたということですが、私は国がイニシアチブを発揮して、積極的に耐震改修をすすめる立場にたっていただきたいと思います。 墨田区は、木造の住宅が区内全域に多数存在しています。墨田区の土地利用研究調査によりますと、区全体で、81年以前にたてられた木造家屋は、25264戸、区内の木造家屋の81,5%を占めます。 墨田区の区部直下地震の被害想定(97年8月東京都における直下地震の被害想定に関する調査)の結果によると、墨田区では、全壊が1851棟、半壊が4090胸になると予測されています。 私自身も区内を回ってみて、北部の向島地域に木造家屋があちこちで密集しているのをみます。それだけでなく、鉄筋のマンションが立ち並ぶ南部の本所地域にも、マンションの合間に古い木造の家屋が建っています。先日、横川の木造家屋が火事になり、すんでいた高齢者の方が亡くなりました。周辺の住民のみなさんが口々に言っておられたのは、「一件の火事でさえこれだけ大騒ぎになるんだから、大きな地震がきたらどうなるんだろう」ということでした。 墨田区では、今年の予算で、防災対策への新規事業として、木造住宅耐震改修への助成(鐘ケ淵周辺、八広、京島の地域。工事費は高齢者、障害者2/3、一般1/2~1/3助成。ただし81年5月31日以前の建築物に限定)などが盛り込まれました(※)。 区として防災対策の具体化が図られていることは非常に重要ですが、しかしこれらの事業の予算総額は5000万円あまりで、木造住宅耐震改修助成費は約290万円。これでは、区内にある木造家屋のほんの一部しか改修ができません(一件につき50万の支給とするとたったの数件分)。 阪神大震災で、木造家屋の大部分が倒壊し、亡くなった方の95%が圧死ということを考えれば、木造家屋の耐震改修は、一部を行えばすむというものでなく、全体を早急に行ってこそ効果がでるものではないでしょうか。国としての支援を抜本的に強めることを求めます。 (※)墨田区での震災対策は、今に始まったことではありません。日本共産党区議団の奮闘で、70年代から建物の不燃化を促進するための助成を実施し、不燃化率を7割まで高めたり、耐震診断助成を行うなど、防災にむけた個人レベルへの援助を行ってきました。そして今年度の予算では、木造住宅耐震改修への助成以外にも、以下のような事業が盛り込まれています。●木造住宅の耐震診断、補強計画案作成への助成●木造住宅簡易補強工事への助成(全域)●生活空間安全チェックシートの全戸配布●生活空間安全確保のための無料相談●家屋転倒防止器具設置への助成(高齢者、障害者)私の質問に対して、担当者は、「予算に限りはあるが、できる限り予算を増やすように努力する」とこたえました。政府には、「地方自治体が要求すればお金を使えますよ」というのではなく(先の交付金の仕掛けだと、震災対策以外の目的にも使えるので)、震災対策を積極的にすすめる姿勢が求められます。いずれにしても、この答弁の内容が実際に実るかどうかはこれからの運動にかかっています。それと、この交渉では、木造家屋の耐震化率について、現段階の到達が75%で、10年後に90%をめざす、という回答について議論になり、「75%という認識と、現状はかけ離れている」「木造密集地域に限定した数字ではないか」という声があがりました。実はその後の中央防災会議のレクチャーで分かったんですが、この75%というのは、「家がペシャンコにつぶれてなかで人がつぶれてしまわない程度に改修されている率」とのことで、たとえ「全壊」でも、人がつぶれない隙間ができていると、「耐震化」と評価されるそうです。多くの方々から「それはおかしい」「命さえ助かればいいというのではなく、地震後のことも考えるべきだ」という意見が出されました。今回の交渉は対政府への交渉でしたが、震災対策については東京都の役割も大きな比重を占めています。その東京都は、「自立自助で行うべき」というとんでもない態度です。引き続き国への働きかけをおこなっていくとともに、東京都の態度を改めさせる取り組みも、今後すすめていく必要があります。