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テーマ:日々自然観察(9963)
カテゴリ:季節
11月23日(土) 今日は我が家の地域の防災訓練の日でしたが、 昨日から降り続く雨は全く止む気配はなく、公園での野外訓練は中止となりました。 外気温は14℃ほど。 昨日ほど気温は下がっていません。 天気予報では明日の朝方まで降り続くとのこと。 降り出すと止まらない。 この雨は、どうも台風27号崩れの熱帯低気圧の影響のようですが、 関東地方各地で11月一月の平均降水量を越す雨が、昨日から今日にかけて降った模様。 災害が起きるほどの雨量ではないと思いますが、 天候不順は何か悪いことの前兆ではないかと、古の人々のような考えが頭を過ってしまいます。 さて、手賀沼の畔などご近所をお散歩していましても、 次から次へといろいろな鳥さんがお顔を出してくれるわけではありません。 鳥さん以外にも興味を引くものはありまして、 特に視界の中で動くものには注意が行ってしまいます。 古来より人が愛でるものは「花鳥風月」だと云われますが、 自然の風物は詩や絵画の題材だけではなく、写真の絶好の被写体になるわけです。 その中には昆虫たちの姿も含まれます。 昆虫にも動きがありますから、お散歩をしていますと目が行ってしまいます。 極めて小さなハチやアブからチョウや甲虫など、 きれいなものからかっこいいものまで、昆虫たちも多士済々。 まあ見つけ次第、写真を撮ろうという衝動にかられるわけです。 随分減ってきてはいますが、 手賀沼の周辺にはセイタカアワダチソウが生えているポイントがあり、 夏から秋にかけて、花粉や花蜜を求めて様々な昆虫たちが集まってきます。 セイタカアワダチソウは外来植物で少々厄介なものですが、 下から順番に次々とお花を咲かせ、しかも花期が長いものですから、 ハナハチやハナアブやチョウたちにとっては、これはもう極上の食卓となります。 今日の日記は、 その中でも特にこの時期に目立つ、タテハチョウの仲間にスポットを当てましょう。 トップバッターはヒメアカタテハ。 オレンジ色と黒と白のコントラストが鮮やかなチョウです。 少し田舎ならそこら中でヒラヒラ飛んでいる普通種です。 世界各地に分布し、しかも飛翔力があり渡りをするチョウとして有名です。 続いて、ぱっと見がヒメアカタテハに似ている、ツマグロヒョウモンの♀。 フィールドで観ているとなかなか区別は付きにくいですね。 前翅や後翅の先端の白いレースで縁取られたような模様がまず見分けの第一目標。 前肢の付け根がピンク色をしている個体もいるのですがが、 この子は全体的に地黒で、ピンク色はほとんど見られないですね。 この辺りの特徴は個体差があるものと思われます。 メスとは似ても似つかないツマグロヒョウモンの♂。 ヒョウモンチョウの仲間では、最もあっさりとした模様です。 ただし後翅の先端は白いレースの縁取りがあります。 一見オオウラギンスジヒョウモンの表の模様に似ています。 しかしレースの縁取りで見分けは可能です。 ツマグロヒョウモンは元々南方系のチョウであったようですが、 最近では北関東地方でも普通に見られるようになりました。 地球温暖化の影響かとも言われますが真相はまだ正確には藪の中。 この種は非常に繁殖力が強く年に何回も発生しますから、 その力をもって勢力範囲を拡大しているのかもしれません。 幼虫の食卓はスミレ類の葉っぱ。 野に咲くスミレから花壇のパンジーまで何でもござれ。 花壇やお庭のパンジーやビオラに、 黒くオレンジの筋がある棘棘の黒っぽい芋虫がいたらツマグロヒョウモンの幼虫です。 比較的あっさりとした翅の模様から、 オオウラギンスジヒョウモンのように見えますが・・・。 この写真だけでは分からないというのが正直なところです。 離陸する瞬間を撮りましたが、翅もかなり傷んでいて見分けにはトホホです。 さて次の子は、翅の縁がギザギザのキタテハ。 シータテハというチョウに似ていますが、 翅の外縁の黒斑の中に薄い水色の斑があることからキタテハだと分かります。 タテハチョウの仲間は極少数を除き、 翅の表と裏では別種かと思われるほど異なります。 概ね、翅の表側の鮮やかさとは異なり、裏側は枯れた木の葉のような色合いです。 これが翅の裏側です。 後翅に白いブーメランのような小さな模様があります。 これはシータテハも持っていて、シータテハのシーはアルファベットの「C」。 裏側だけでの判別はかなりハードルが高いです。 翅の外縁が棘棘と出っ張っていますが、 キタテハの方が出っ張りが鋭い傾向にあります。 更に似たようなチョウでエルタテハというチョウもいます。 エルは「L」。 かなり珍しいとのことで未だ観たことはありません。 翅の裏が地味といえばこの子もそうでした。 森の中の地面に留まっていると、落ち葉だと思って踏んずけてしまいそうです。 ところが少し翅を広げると、表側に水色の連続した帯状の斑模様を隠し持っています。 お名前はルリタテハ。 この子の場合はあまり瑠璃色には見えませんがね。 お花の蜜はあまり好きではないらしく、 どちらかと言えば樹液に集まることが多いのです。 したがって林縁の樹の幹に留まっていました。 やたらと逃げ足が速い子で、 近くでモズがギチギチと金切り声を上げましたら、あっと言う間に林の中に消えました。 飛ぶスピードは、数あるチョウの中でもピカ一だと思います。 普通にいるタテハチョウですが、地味な翅裏と素早い飛翔力で以外と観る機会はないかも。 最後は最近やたらと目に付くクロコノマチョウ。 林や森の中でヒラヒラ飛んでいるチョウは、たいていがこの子たちです。 滅多に翅を開きません。 したがって表側の模様を観る機会は少ないですな。 タテハチョウの中でもジャノメチョウの仲間でして、 留まっている時に翅を開かないのは、ジャノメチョウの特徴なのです。 前翅の表側には、クジャクチョウの前翅に似た斑模様があるそうですが観たことはありません。 また脚の爪が二分しているという特徴もあるそうですが、これも写真では分かりませんね。 そっと捕まえて観察してみると確認できるかもしれませんね。 このチョウは最近勢力範囲を北に拡大しています。 元々は東南アジア、中国南部、インド方面に分布するチョウなのです。 ところが不思議なことに、 1970年代頃まで沖縄ではほとんど生息が確認されていませんでした。 どうも沖縄地方よりも先に、九州、本州での成蝶越冬が確認されているのですね。 日本においては南北両側に分布を広げているようなのです。 これは深い謎の世界です。 何はともあれ、アゲハチョウの姿は見なくなりましたが、 まだモンシロチョウ、モンキチョウ、セセリチョウ、そしてタテハチョウと、 秋も深まってきましたが、まだまだチョウたちは元気に飛び回っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.11.23 17:23:45
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