昨日ご紹介した、マイケル・ジャクソンのオックスフォード大学での講演。

けいこさんが、講演の全部の和訳が紹介されているサイトを
教えてくださいました。

そこからのリンクで、原文と実際の音声を聞くこともできます。
私も聞きましたが、これがマイケルにとって
初の公での講演なのだそうですが、
笑いを取る余裕もあり、
そして…ときには声を詰まらせながらのスピーチには
心を打たれました。

改めて全文を読むと、マイケルが自らの体験によって、
心から、

・親が子供を愛し、できることをしようとすること
・つらい経験を親に強いられた子供も、親を許そうとしてみること
・そうすることで、荒れた世の中に愛をとり戻させること

これらを大切だと思い、
自分もそうするよう努力していることが伝わってきます。

エピソードの一つに、マイケルが、10歳の子供に、
自分のジャケットをプレゼントした話がありました。

その少年はガンに冒されていたのですが、
マイケルは少年に、3か月後、少年の地元でやるコンサートに
このジャケットを着て来てほしい、と
それまで長らえることを願ったのです。

でもそれは叶いませんでした。

けれど少年にとって、自分の憧れのスーパースターから
ジャケット（しかもビデオで使ったもの！）をもらえ、
力づけられた経験というのは、どれほど嬉しかったか分かりません。

そのジャケットは、きっと売れば、
とんでもない値がついたものでしょう。
それは、少年と一緒に葬られました。

「死にゆく人への精一杯のもてなし」

このことは、私にマザー・テレサのことを思い出させました。

以前、マザーの本を読んだとき、
これから生きる人でなくて
もうすぐ亡くなる人に食べ物や薬や衣類を手当てするのは、
申し訳ないことながら、なんだかちょっと、
もったいないような気がしたことがあるのです。
（すみません…）

けれどマイケルが

「愛されている実感をもってこの世に生を受け、
　愛されている実感をもってこの世から去るなら、
　生きている間に起こるすべてを乗り越えられるのです」

と言うように、
人生の最後に、尊厳をもって接せられることで、
人は自分の生を肯定し、死を受け入れられるのだと
マザーは知っておられたのだな、と気づきました。

「愛されているという実感。経験」

それがとてもとても大切で、
現在、それが失われたことが、
多くの悲しい出来事の遠因になっているのだと、
改めて思い出せられます。

だからこそマイケルも、
できる限り、さまざまに人に自分からも「愛」を
出していこうと思っていたのでしょうね。

それから、もう一つ。

先日、アンケートに答える機会がありました。
それは、核に関するアンケートで、
その項目の一つに、「今世紀中に、核爆弾は廃絶されると思いますか」
というのがあったのです。

原子力は、発電の分野では今やなくてはならないものになっています。
けれど、核爆弾という、力で他国を脅威せしめるものは、
私はあってほしくないと思っています。

けれどまだまだ、「軍事力」によって各国のパワーバランスが
保たれている現実をみると、100年やそこらで、
核爆弾がなくなることはないのではないか…と、
私は「NO」と答えました。

けれど、マイケルは、
戦争や、虐待や、子供が子供を殺すような痛ましい事件が
どんなにあったとしても、
「heal the kids」…子どもたちをいやせると思うかと問われたら

「わたしはもちろん、そう思っています。
　そうでなければ、今晩ここに来ていないでしょう」

と言っています。

私は、核のアンケートで「どうせムリ」と
考えていました。

けれど、マイケルには、
どんな困難に見えることでもできる、と。
人の心のあたたかさ、やさしさを信じる強さがあったのですね。

頭でものを考えることが得意な人は
悪いほうの可能性もあれこれ考えてしまうので
「ムリ」と思いやすく、諦めやすいように感じます。

けれど愚直で単純で世の中のことを分かっていないと
思われるくらい純粋に、
「まずは信じること」。

それこそが「強さ」であり、
その強さをもつことから、すべては始まるのだな、と思いました。

さまざまなことを思わされた、マイケルの講演録でした。

講演録のリンクを教えてくださったけいこさんは、「This is it」を5回見たとか！すごいです！！