たいまつ行列。
大山の夏山開き祭に行った。大山は、隠岐大山国立公園にあり、中国地方の最高峰(1,709m)を誇る山だ。この夏山開き祭は夏山の安泰を祈念し、自然と人間との結び付きを高めることを目的として毎年開催されている。お宮(大神山神社奥宮)で神事が執り行われるため、お宮へ向かう参道を歩いた。山には霧が立ち込め、湿った空気が心地よい。参道の灯篭に明かりが燈され、参道を歩く人を照らしていた。参道を歩く途中、白あじさいが咲いていた。花弁が霧雨に打たれ、その白さがいっそう際立つ。お宮の前には、多くの参列者が神事のために集まっていた。お宮全体が霧に包まれ辺りが暗くなるにつれ、神秘的な雰囲気を醸し出す。お宮の奥で神事が執り行われた後、ご神火がお宮から持ち出されて、かがり火に燈された。このかがり火のご神火を、参列者がそれぞれのたいまつに点け一斉に参道を下るのだ。たいまつ行列が動き出した。私も、自分のたいまつにかがり火から火をとり、行列に加わった。辺りはすっかり暗くなり、たいまつの明かりだけが暗闇に浮かび上がる。どこまでも続くたいまつの行列は、まるで光の帯だった。それは、なんともいえない幻想的な世界だった。