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バリアフリー社会の忘れ物~全盲フリーライター・川田隆一のブログ~※講演等、仕事のご依頼もこちらへ

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2009.11.01
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カテゴリ:カテゴリ未分類
 皆さん、こんばんは。フリーライターの川田隆一です。

「もっと自然に、もっと気軽に!
~くらしの中の身近な『移動』を考える~」

をテーマに、社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会が主催して
10月23日に開かれた「障害福祉ボランティアリーダー研修」で、パネラーとして
招かれた全盲の私が最寄り駅から会場までの誘導をお願いしたところ、
「忙しくて手がない」と断られた問題について、新聞に取り上げられた
こともあり、インターネットの掲示板などに沢山のコメントを頂きました。

 まず、コメントを頂戴した皆さんに、心からお礼を申し上げます。
私は、SNSのミクシィのニュースへの日記を中心に、一部、インターネットの
掲示板を読ませて頂きました。

ご意見を拝読しながら、「なるほど、そういう視点もあるのだな」と
気付かされることが多々ありました。

私への賛否はともかく、今回の出来事をきっかけとして、多くの
方々が視覚障害者の歩行環境に興味を持ってくださったこと、考えて
くださったことを、とてもありがたいと思います。

そして、皆さんのご意見を読んで、新聞記事では全体像が伝わりにくかった
部分が多いことを痛感しました。詳細については、このブログで、
3回にわたって日記を書いています。長文で申し訳ありませんが、
一度お目通し頂けましたら幸いです。

以下、皆さんからのご指摘が多かった事柄について、

1.駅から会場までの送迎は必要か?

2.「障害者は、やってもらって当たり前と思っているのか」、
 「感謝の気持ちが足りない」とのご指摘について

3.「社会福祉協議会からのメールは打診ではないか。
 聞くだけでもいけないのか?」という疑問について

の順にコメントさせて頂きます。
以前の日記と重複する点がありますことをお許しください。

 1.駅から会場までの送迎は必要か?

ご意見の中には、「迎えに来いなんて、何様のつもりだ!」といったものが
ありました。

一般に、視覚障害は情報障害と移動障害であるといわれています。
きちんと歩行訓練を受けたり、何度か訪れて慣れた場所にならもちろん
一人で行けます。しかし、初めて行くところで、道順がわからない場合には、
やはり何らかのサポートが必要だと思います。健常者を出迎えるのは
優遇やもてなしの要素が強いものでしょう。それに対して、視覚障害者を
送迎する目的は、安全確保のためのサポートです。ゴージャスなリムジンで
迎えに来てもらいたいと言うのなら、それは「何様のつもりか」でしょう。
けれど、今回は、あくまでも移動の安全確保が目的でした。それは、万一の
事故に対する主催者と私のリスク管理という観点からも、必要な視点だったと
考えています。

それでも、無理やり行こうと思えば行けるか、一人で行くことは可能か、と
問われれば、可能です。

しかし、それは今回の研修テーマであった「自然で気軽な移動」とは
程遠く、決して安全とはいえません。

研修会場は、横浜駅から歩いて15分のところにあると伺いました。一般に、
視覚障害者が初めて向かう場所で、交通量の多い大きな交差点の横断を含め、
徒歩15分の距離を一人で歩くことには、大きな不安があります。

全盲の私にとっては、最寄りの横浜駅まで向かうよりも、横浜駅から
目的地の神奈川県社会福祉会館までの路上歩行の方が、何倍も難しくて
怖いのです。駅であれば、どの駅でもある程度構造が決まっており、
プラットホームから落ちないようにさえ気を付けていれば、通路に自動車が
来ることはありません。けれど、初めての道を15分歩くのは、かなりの危険と
緊張を伴うものです。

目が見える人が15分なら、私の場合にはもっと多くの時間がかかると思います。
道を尋ねた相手が親切で地理に詳しい人だったら、順調に着けるかも
しれません。でも、途中で迷ったら、1時間かかってもたどり着けないかも
しれません。

「それならタクシーで行けばいいじゃないか」
というご意見も沢山ありました。しかし、慣れない駅でタクシー乗り場を
見つけるのは、そんなに簡単なことではありません。うまく駅員さんや
親切な通行人に助けてもらえればすぐにタクシーに乗車出来ますが、
必ずしもそうとは限りません。駅員さんも常にタクシー乗り場まで
誘導してくださるわけではなく、大体の方向だけを教えてくれることも
あります。実際の経験として、初めて降りた駅でタクシーに乗車出来るまでに
多くの時間を要したり、複数あるタクシー乗り場の選択を誤り、
目的地に向かうために大回りしなければならなかったこともあります。

また、どんなに運転手さんにお願いしても、目的の建物から少しずれた場所で
降ろされることもあり、それだけでも迷ってしまいます。近くにあるという
公園にでも入り込もうものなら、尋ねる人すらいないかもしれません。

初めての場所に行く時には、途中で道に迷うことも考慮して、かなり
早めに家を出るようにしています。けれども、一体何分ゆとりを持たせておけば
大丈夫なのか、自分自身でも時間を読むことが出来ないのです。

パネラーを仕事で引き受ける以上、こうした不確定要因のために遅刻することは
絶対に許されません。遅刻してもいいから、とにかく会場に着けばよい、
ということなら、どうにでもなるでしょう。しかし、目的は会場に一人で
行くことではありません。パネラーとして発言することです。緊張の
一人歩きに気力を費やし、会場にたどり着くころにはへとへとになって
いるかもしれません。それでは、目的地に無事に到着することが
主目的となり、パネラーとして発言することは二の次になってしまいます。

加えて、不安を押して一人で会場に向かい、万一事故にでもあえば、
「何故初めての視覚障害者を一人で行かせたのか」と、主催者は強い批判を
受けることでしょう。

そうした点を総合的に考慮して、私は社会福祉協議会から当日の送迎を
断られた直後に、パネラーとしての参加を辞退しました。

そして、これは私も新聞報道で知ったことですが、神奈川県社協の職員は
60人いらっしゃるそうです。60人いても、人手不足で送迎を断らなければ
ならないような厳しい状況だったのでしょうか。それほどまでにスタッフに
ゆとりのない状態で障害者が集まる催し物を実施して、不慮の事故や災害が
起きたら、参加者の安全は確保出来るのでしょうか。催し物の主催者と
しては、当然そのようなリスク管理もしなければならないと思うのですが。

 いずれにしても、

「もっと自然に、もっと気軽に!
~くらしの中の身近な『移動』を考える~」

という今回の研修テーマからして、神奈川県社協の対応は適切とは
いえません。私が普段以上に障害者の送迎についての社協の姿勢に
こだわったのは、テーマからしても当然と考えています。だってこんな
テーマで会を開いておいて、全盲のパネラーの送迎を断るなんて、やっぱり
ブラックユーモアでしょう。

 2.「障害者は、やってもらって当たり前と思っているのか」、
  「感謝の気持ちが足りない」とのご指摘について

 「障害者だから、やってもらって当たり前と思っているのか」、
「感謝の気持ちが足りない」というご指摘も沢山ありました。
これは、毎日新聞に掲載された「思いやり、優しさが欠けている」という
私のコメントに反発が多かったためだと思います。「福祉の啓発を目的に
活動するはずの社会福祉協議会なのに、その社協自身が大切な心を失って
いるのではないか」、という思いで申し上げました。しかし、
言葉足らずだったことを、率直にお詫び致します。

私は常に世の中の皆さんに感謝しています。私が一人歩き出来るのは、
駅で声をかけてくださったり、道で手を貸してくださる皆さん
あってこそです。一人歩きというけれど、本当は皆さんの優しさや
思いやりによって歩かせて頂いています。だからこそ、私はこれまでに
一度も福祉のガイドヘルパーのお世話になることなく、一人歩きを続けて
来られたのです。

ただ、私たちが健常者に思いやりや優しさを強要してはいけないのと
同じように、健常者の皆さんから障害者に対して感謝を求められることにも、
若干の違和感があります。

「すみません」、「お願いします」、「ありがとうございます」

障害のある私たちは、健常の皆さんの何倍も、これらの言葉を使っています。
そうしなければ生きていけません。
健常者の皆さんは、そんなことは言わなくても、とりあえず町を
移動出来るのではありませんか?

「お願いします」、「ありがとうございます」を連発しなければ、障害者が
当たり前に町を歩くことすら出来ない。当たり前に生きることすら
出来ない。

健常者の皆さんが望んでいるのは、そんな社会のありようなのでしょうか。

今回も、「自宅まで迎えに来てほしい」、と望んだのではありません。
最寄りの横浜駅までは一人で行くから、その先の700メートルの移動を
手伝ってもらいたい、とお願いしました。

障害のある私も頑張る。頑張るから、障害のない人にも、ちょっとだけ助けて
もらいたいのです。

それでもやっぱり、障害者の甘えでしょうか?過剰な要求でしょうか?

ただし、皆さんのコメントにあった「甘えた障害者」については、
私もいやになるほど目の当たりにしています。歩行訓練も受けずに、
常に福祉のガイドヘルパーに頼り切っている視覚障害の人など、
決して少なくはありません。

ところで、私が主宰するメーリングリストのメンバーに、
ガイドヘルパーなしで、お子さんを連れてディズニーランドに遊びに
行っておられる全盲のご夫婦がいらっしゃいます。
ディズニーランドの係員が誘導をしてくださり、全盲のご夫婦でも、
問題なくお子さんと遊園地を楽しむことが出来るといいます。

「もっと自然に、もっと気軽に!
~くらしの中の身近な『移動』を考える~」

のテーマに対する一つの答えが、このディズニーランドにあるのでは
ないかと思います。しかし、調べもしないで、「ディズニーランドは
バリアフリーでないから」と、相変わらず福祉のガイドヘルパーと
ディズニーランドに出かける視覚障害者もいます。それはやっぱり、
甘えだと思います。明らかに税金の無駄遣いだと思います。

・ディズニーランドの誘導は、ディズニーランドの責任でやってもらう。

・病院の誘導は、病院の責任でやってもらう。

・社会福祉協議会の催し物の誘導は、社会福祉協議会の責任でやってもらう。

 いまのうちからそのような社会的コンセンサスを作る努力をしておかないと、
国の財政がもっともっと逼迫して、にっちもさっちもいかなくなった時に、
ガイドヘルパーの予算が削減されて、視覚障害者の移動が大幅に
制限されてしまうかもしれません。

もしそうなっても、視覚障害者に基本的な歩行スキルが備わっていて、
世の中の皆さんが少しずつ分散してガイドヘルプを担ってくだされば、私たちは
十分に質の高い移動手段を確保出来ることになるのだと思います。

そのためには、目的地の最寄り駅くらいまでは自力で歩行出来るように、
視覚障害者自身が努力してスキルを身につけるべきだと考えます。
けれども、怠けてそれをやっていない人が多いことも、残念ながら事実です。





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Last updated  2009.11.06 00:32:13


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