故郷の空気
先週、子供達と別れた後、私は母の家に向かった。 雪を頂く武尊山(ホタカヤマ)2158メートル母は腰痛がひどかった頃より声も明るく、元気に見える。洗濯カゴに汚れ物が少しでもあれば洗濯を始め、私が料理した後の洗い物は洗ってすぐに棚に収める。背を丸めて作業する姿は又少し縮んだように見えて、モンチッチみたいで可愛いなと思った。デイサービスに週のうち4日行くことに慣れて、頻繁に来ていた友達や親類が家に訪ねてこなくなったことにも不平を言わなくなった。しかし、物忘れがひどいのに元気一杯で自己主張するから、隣に住んで世話をしている弟夫婦はストレス満杯なんだそうだ。デイサービスのない日に母の大好きなカラオケに誘ったり、良い天気だったので散歩に誘ったが家から出ようとしなかった。お風呂も一緒に入ろうと誘ったが入らなかった。食事もご飯を少しと、おかずはいやいや一口ずつ食べている。出かけようとしないので、テレビ台の下にずっとあったが母がすっかり忘れていたカラオケのテープをかけて二人で歌って過ごした。島倉千代子、森昌子、山口百恵、美空ひばり、、歌は心を軽くする。弟がかぶっている毛糸の帽子をほしがったので(人が付けているモノを欲しがるが、忘れてしまう。)私が編んであげるからと約束した。大阪に帰宅してから、20年ぶりに編み棒を引っ張り出した。 編み上がってから、ボールにかぶせてアイロンの蒸気を当ててブロッキングした。久し振りの編み物は楽しくて、又はまりそう。これから手紙を添えて郵送しに行く。母の元に届く頃は、母は帽子を欲しがったことを忘れているだろうけど。