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Headline News

2008.04.26
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カテゴリ:経済・ビジネス
 4月初め、朝日新聞土曜版に『流行「感染爆発」の時代』という記事が載った。
 「脳内メーカー」や「ドアラ」を例に、流行感染のメカニズムを説く内容だったが、
 記事中、特定の人が多数に強い影響を与えるという流行論を示したものとして、
 本著のことが、紹介されていた。

 私は、この新聞記事が出る前に、たまたま本屋さんで本著を見かけ、
 すぐに購入して、読みかけていたところだったので、ちょっとビックリ。
 でも、予備知識として、近年の日本における具体例や、
 ネットの影響まで踏まえた上で、本著を読むことができたので、理解が深まった。

   ***

本著の原題は『ティッピング・ポイント』であり、アメリカでは200万部売れた。
2000年には、日本語版が出版されたが、まだ「知る人ぞ知る」という感じだったらしい。
そして、2007年になって『急に売れ始めるにはワケがある』という題で文庫化された。
副題は「ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則」である。

著者のグラッドウェル氏は、「ティッピング・ポイント」を
  あるアイディアや流行もしくは社会的行動が、敷居を越えて一気に流れ出し、
  野火のように広がる劇的瞬間のこと
と、定義している。

ソフトバンククリエイティブ社は、本著も「急に売れ始める」だけの下地が国内で整い、
いよいよ、ティッピング・ポイントを迎えると踏んで、文庫化したのであろう。
私のような者までが購入し、さらに新聞記事にまで採りあげられたのだから、
その読みは、かなり鋭かったと言えるのかもしれない。

   ***

さて、本著を読んで、私が特に印象に残ったところを挙げてみると、次の3カ所になる。
まず最初は、

  わたしたちは直感的に、生活環境と社会問題は徐々に改善されたり、
  悪化したりすると思っている。
  しかし、時としてそれは予想を裏切る。
  ティッピング・ポイントに達すると、学校はあっというまに生徒を管理する力を失い、
  家庭生活は一気に崩壊することがあるのだ。

という部分である。
本当に恐ろしい指摘なのだが、まさに「その通り」と言わざるを得ない。
ほんの小さなことがきっかけとなって、
事態が急転してしまったという経験は、誰にでもあるだろう。
続いて、印象に残った2カ所目は、

  背景の力によれば、
  バーニー・ゲッツと四人の青年の間で繰り広げられた地下鉄での争いは、
  つまるところ、ゲッツの歪んだ精神状態とはほとんど関係がなく、
  同様、彼に言いがかりをつけた四人の青年の生い立ちや貧困とも関係がない、
  すべては壁の落書きと改札の無秩序にあるということになる。
  背景の力によれば、
  犯罪を解決するには大問題を解決する必要はないということになる。
  落書きを消し、無賃乗車を取り締まるだけで犯罪は防止できる。

ここに出てきた「地下鉄での争い」とは、
前科のある四人の若い黒人青年が、地下鉄車両内で隣り合った男性を恐喝した。
この男性がバーニー・ゲッツであり、実は、彼は精神的問題を抱えていた。
ゲッツは、四人を次々に銃で撃ち倒したという事件である。

通常、こういった問題が起こった場合、
犯罪の原因を社会的不平等や経済の構造的不均衡、失業、人種差別、
数十年にわたる制度的・社会的怠慢に求めたり、個人の資質の問題に帰着させてしまう。
そして、その防止のためには、大胆な改革が必要であると感じる。

しかし、「割れた窓」と背景の力から見ると、
犯罪者は、自分の置かれた環境に敏感に反応しやすく、どんな兆候にも目ざといため、
自分が受け止めた、周囲の世界に左右されて、犯行に及んでしまったということになる。
ここでも、著者の指摘には、目から鱗が落ちる思いであった。
そして、気になった部分の最後は、次の箇所である。

  しかし、タバコを吸っていたからカッコいいのではない。
  カッコいいやつがタバコを吸っていたのだ。
  反抗的で衝動的で早熟、世間体を気にせず、危険をかえりみないという性格が、
  同年代の仲間には魅力的に見えたからこそ、
  反抗的で衝動的で、世間体を気にせず、危険をかえりみないという青春の究極の表現として、
  自分もタバコを吸ってみようという気になったのだ。
  (中略)
  喫煙はけっしてカッコよくない。タバコを吸う人がカッコいいのだ。

このように、喫煙は「感染的」であることだけが問題ではなく、
「習慣に粘りつく」という点が、さらに問題だと著者は言う。
そして、これらの問題をクリアするための対応策についても、
かなり突っ込んで論を展開している。

日本では、未成年者が自動販売機でタバコを購入できないよう、
7月から全国で、成人識別認証カード「タスポ」が導入される。
まだまだ問題点も多く、評判は芳しくないようだが、
本著の提案を参考に、大人の喫煙に関しても、考え直してみてはどうだろうか。
まあ、それ以前に、これだけ大々的にタバコを販売し続けているという、
国の「喫煙」というものに対する姿勢自体が、大きな問題か……。
     





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Last updated  2008.04.27 01:40:22
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