テーマ:洋楽(3388)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
セールスには結びつかずも、唯一の世界を表現したデビュー作 1968年発表のドクター・ジョン(Dr. John)のデビュー盤が、この『グリ・グリ(Gris-Gris)』というアルバム。厳密には、“ドクター・ジョン、ザ・ナイトトリッパー(Dr. John, the night tripper)”名義の作品である。ドクター・ジョンという芸名は、19世紀ニューオーリンズに実在したヴードゥー教の司祭の名で、アルバムのタイトルになっている“グリ・グリ”というのもヴードゥー教の杖のことを指すらしい。 このドクター・ジョンを名乗る人物は、本名のマック・レベナック(正確には、マルコム・ジョン・レベナック・ジュニア)として1950年代からギタリストとして地元で活動を始め、61年に左手薬指を負傷してからはピアニストに転向し、セッション・ミュージシャンなどをしていた。63年にはロサンゼルスに移るも、麻薬の不法所持によりテキサスで服役した。その後、ロサンゼルスに戻って同郷のハロルド・バティストのプロデュースで67年に本デビュー盤を制作した。そのようなわけで、録音は西海岸であるが、実際の録音には同郷のニューオーリンズ出身ミュージシャンも参加している。 とにかく全体に妖しげな雰囲気で、正直、初めてドクター・ジョンを聴くという人向きではない。デビュー当初の彼は、ヴードゥー教を前面に出し、妖しげなカルト的音楽性で売り出そうとしていたように見える。1.「グリ・グリ・ガンボ・ヤ・ヤ」は、そうした妖しさ全開で始まり、一言めの詞も“人は俺のことをドクター・ジョン、ザ・ナイトトリッパーと呼ぶ”という、歌詞というよりはセリフから始まっている(実際、この頃は“ドクター・ジョン”ではなく、“ドクター・ジョン・ザ・ナイトトリッパー”が正式なアーティスト名であった)。盤名の『グリ・グリ』というのも、元々は西アフリカの辺りで使われる、ヴードゥー教のお守りを意味する語である。さらに、裏ジャケでは、ヴードゥー教の司祭を模してメンバーの偽名が紹介されている。 どの曲も怪しさ全開だが、2.「ダンス・カリンダ・バ・ドゥーム」、3.「ママ・ルー」、5.「クロッカー・コートブリオン」が特に象徴的。“ヴードゥー・ロック”と呼ぶべきか、“ヴードゥー・サイケ”と呼ぶべきか、とにかく怪しげなサウンドの世界が繰り広げられる。当時のロック・シーンに限らず、現在の文脈に置き換えても、特異で“ユニーク(=唯一)”なサウンドであることは間違いない。そして、不思議なことに、聴いた曲が頭の中でぐるぐると回り始める…。決してとっつきやすい作品ではないが、中毒性の強さは異常なほどだと思う。はまり過ぎないよう、くれぐれもご注意を(笑)。 [収録曲] 1. Gris-Gris Gumbo Ya Ya 2. Danse Kalinda Ba Doom 3. Mama Roux 4. Danse Fambeaux 5. Croker Courtbullion 6. Jump Sturdy 7. I Walk On Gilded Splinters 1968年リリース。 グリ・グリ/ドクター・ジョン[CD]【返品種別A】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016年01月09日 21時02分18秒
コメント(0) | コメントを書く
[洋ロック・ポップス] カテゴリの最新記事
|
|