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テーマ:短編小説を書こう!(490)
カテゴリ:不思議の国のアリスとニセアリス
[展示室]……。
そこは美術館の展示ルームのような部屋で、室内中央に何やら小型の一軒屋ほどもある大きな物体が置かれてありました。 それはライトの光を受けて、怪しく光り、たたずんでいました。 それは……、金色に輝く物体でした。 それは……、ライトアップされたお墓でした。 なんと言うか……ハデハデです。まさにインコが好みそうな趣味のデザインです。 インコ兄者「どうかね?これが”黄金の家”だ」 タッキー 「こっ、これが……」 インコ兄者「そう!これが君の家(お墓)だ!」 タッキー 「これが……僕の……」 それはまさしく黄金で出来た家でした。 インコ 「くっくっくっ……、どうかね?外装は全て本物の純金の板を使って造られている。これにより、決して錆びる事は無い!」 タッキー 「”純金”の板……ですか?」 思わず唾を飲み込んでしまうタッキー。 インコは自信満々の笑みを浮かべます。 インコ 「くっくっくっ……、」 外から見る限りでは、お墓と言うより小さな家です。いえ、お墓のデザインはどこにも取り入れられていません。 まったくの”家”です。それにまるで人間が住めるような大きさです。 よく見ると……確かに高さはありますが、床面積は意外に小さいのです。そう、全体で4畳半ぐらいの面積……。やはり元はお墓だからでしょうか? しっかりとした造りの雨戸や玄関扉、小さなお庭に犬小屋もあります。この庭部分を入れても6畳ぐらいの広さでしょうか? まさにミニチュアハウスと言った感じです。 家としての機能は一応揃っているみたいです。外にはクーラーのファンや電気・ガスのメーターもあります。 タッキーにとってはこの家は、まさに2人で住むには困らないような感じに見えました。 「(ああ、ここで新婚生活を送れるなら……。)」 不覚にもタッキーは”黄金の家”にしばし見とれてしまいました。 インコ兄者「外には全自動線香供給装置が付いているよ。」 インコは小さなリモコンスイッチを羽の隙間から取り出しました。 ピッ。 ボッ!玄関先に設置された装置に、火が点いた線香が自動的にせり出して来ました。 タッキー 「はぁ~~~」 インコ兄者「さあ、中に入ろう。」 インコが玄関扉を開くリモコンスイッチを押しますと、扉がゆっくり電動で開きました。その開き方がなんともハイテクで良い雰囲気です。 タッキーとインコ兄者は家の中に入りました。 外の派手さと違って家の中は落ち着いた感じでした。 中はそのほとんどが大理石で造られていました。 インコ兄者「どうかね?総大理石の感想は? 最高級の素材を使ったまさにセレブな室内だ」 中は今すぐにでも人間が住めるような感じで、この世界の人気商品プラ○マテレビ、DVD、ゲーム機等も備え付けてありました。 ソファーもありますし、豪華なシステムキッチンもありました。 インコ「それに女性の為のお風呂付だ。」 インコがその扉を開くリモコンスイッチを押しますと、扉がゆっくり電動で開きました。 バスルームは意外に広く、その内部には豪華なシャワーも付いていました。そして黄金の浴槽が設置されていました。また金色の蛇口も付いていました。 サウナ機能・浴室テレビ・浴室洗面所床暖房・泡風呂付き。 まさにうっとりするような造りです。王様気分で入浴出来ます。 インコはニヤニヤしながら言いました。 「君、どうかね? 若い奥さんにはヒジョーーーーーーーーーーーーーーーーーに喜んでもらえる逸品だと思うよ。」 「(確かにそうかも知れない)」とタッキーは思いました。 このような造りはテレビなどで放映されている「芸能人の豪華なお宅」に通じるものがありました。 「どうかね?私との約束を守って、この家(お墓)を手に入れてみては?」 タッキーは急に返答出来なくなり、無言で早々にインコの家を後にしました。 今、とっても複雑な心境です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.07.09 03:08:42
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