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テーマ:短編小説を書こう!(490)
カテゴリ:不思議の国のアリスとニセアリス
そのうち上空には小雨が降り始めました。
タッキーは自分の着ているコートを脱いで、ミッチーに着せました。 今のミッチーはただそこでホバリング(空中停止)して泣いているだけでした。他の事に気が回らないのでしょう。 タッキー 「雨だよ。とりあえずあの家に戻ろうか……?」 ミッチー 「嫌……」 ミッチーはそれだけ言って、後は黙ってしまいました。 タッキー 「…………」 そこでタッキーはしばらく雨の中にいました。 雨が体を打ちつけました。 このままでいると風邪をひきそうですが……、ひいても死ぬ事はありません。「お化け」ですから。でも風邪をひくと直るまでが大変です。 そこでタッキーはどこかで雨宿りしようとミッチーをうながしました。 しかしミッチーは動きませんでした。 しかたなくタッキーは、ミッチーの少し上の上空に浮いて、ミッチーの”雨避け”になっていました。 その内、雷が鳴り始めました。 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーー!!! 大きな雷でした。 さらに大粒の雨が降り始めました。さっきまでとは雨量が段違いです。 その頃、”あの家”では、ウサギさんが今日の仕事を終えて、雨の中を傘をさしながら帰って来た所でした。 ウサギ 「良かったーーーーーーー。もう少し遅かったらずぶ濡れになっていました」 ウサギさんは絶好のタイミングで家に帰る事が出来ました。 でも、背中の毛皮や耳の先はもうすでに塗れていました。 アリス 「ウサギさん。そこに寝そべってください。背中を拭いてあげます。」 ウサギさんはこれはラッキーだと思いました。アリスに拭いてもらえるなら……。 ほどなくしてアリスは柔らかい白いバスタオルを持って来ました。 新聞紙をひいた床に寝そべるウサギさん。 しかし……。 ニセアリス「ちょっと、待ったああああーーーーーーーーー!!!」 ニセアリスがそう言いながらすごいスピードでやって来て、アリスから白いバスタオルを奪い取りました。 ニセアリス「私がやる!」 そしてそのバスタオルをパンパンと意味も無く2~3度叩きました。 パンパン!パンパン!パンパン! ウサギ 「ぞぞ~~~~~~~~~~~~~~!!」 ウサギさんは起き上がって逃げ出そうとしましたが、ニセアリスに 「コラ!どこへ行く?いまから拭いてやるんだ!逃げるな!」 と言われ、床に押さえつけられました。 ウサギさんは逃げられずに、観念しました。 ニセアリス「ふっふっふっ……、私が拭いた方がずっと気持ちがいいよ。 今からやさしく拭いてあげるからね。 や・さ・し・く……」 ウサギ 「ぞぞ~~~~~~~~~~~~~~!!」 それはまるで、精神的拷問でした……。 ---------------------------------------------------------------------- 小説目次 →第1話~第14話 →第15話・第16話 →第17話~ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.07.09 04:54:32
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