第1回筋膜リサーチ学会より
生物医学的リサーチ:細胞生物学がロルフィングに出会うDavid Grimm(前略)ボストンで10月に開催された筋膜リサーチ学会は、身体の結合組織システムの柔組織である筋膜という、今まで重要でありながらも医学的に無視されていた組織の初の学会でした。細胞生物学から生物物理学のような広域におよぶトップ・サイエンティストだけだなく、カイロプラクターやロルファーとして知られるディープティシューマニピュレーターのような代替医療プラクティショナーも参加しました。この学会にスピーカーとして招待された、世界的に知られたオランダのアムステルダムVrije Universiteitの生体力学研究者であるPeter Huijingは、招待された時は“自分の評判を傷つける恐れを感じた”と言うほど躊躇していたにも関わらず出席を決意されました。しかし出席しスピーチをすることで、この学会が終了するまでには次回の開催を手伝うことに同意するほど有意義な時間になったようです。この学会はニュージャージー州East OrangeにあるVA医療センターの共同ディレクターでもあるThomas Findley(M.D.-Ph.D.)の独創的な案によって開催されました。30年以上の間、Findleyはリハビリテーション医療の裏側にある科学を研究してきています。そして彼はまたコロラド州ボールダーにある、ロルファーの育成・認定をする機関The Rolf Institute of Structural Integrationのリサーチディレクターでもあります。Findleyは、丁寧に編みこまれたブランケットのような、鞘で骨を覆っていて、構造へのサポートを提供する筋膜が、患者がどうトリートメントに反応するかの大きな鍵となる役割をしていると早い時期から確信をいだいていました。しかし、“筋膜リサーチャー”であると確信できる人々がいなかったのです。研究者の中には、筋膜異常が線維筋痛症や腰痛のような暗闇に隠された障害の原因であるかもしれないと推測するものがいました。しかし、医師団は昔から筋膜のような組織を無視し続けていたのです。医学書では筋膜という名をかろうじて挙げるくらいで解剖図からは取り除かれてしまっています。(中略)University of Arizona College of Medicine in Phoenixの血管生理学者Paul Standleyは筋膜の中に見つけられる主要タイプの細胞である線維芽細胞の研究について説明しました。Standleyのチームは、その細胞を弾力性のあるコラーゲンに乗せ、体にかかる反復運動緊張を模写したやり方でコラーゲンをストレッチすると多くの細胞が死滅することを発見し、またそれとは逆に、ロルフィングで使われるようなテクニックでコラーゲンをストレッチしてみたところ、より多くの細胞が生き残ったと発表しました。(中略)細胞生物学者はいかに筋膜細胞が力に反応して遺伝子発現を変化させるかについて発表し、また生体力学研究者は、いかに筋膜細胞と細胞外マトリックス間の相互作用が身体全体のモビリティーに貢献しているかを詳しく述べました。(後略)Science Magazine November 23, 2007 より訳者あとがき:次回の筋膜リサーチ学会は2009年にアムステルダムで開催される予定です。※この記事はBODY BY ROLFINGによって翻訳されました。※ロルフィング/Rolfingは商標登録されいています。