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2020.12.19
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「もうすぐ病院着くけど、時間は間に合う?」「……うん、余裕で間に合う。送ってくれて本当にありがとう」窓の外に視線を移すと、完全に見慣れた景色が目に映る。あぁ、もう終わりか。こんなに仕事に行きたくないと思ったのは、初めてだ。そろそろ気持ちを仕事モードに切り替えないといけない。こんなふわふわした気持ちのまま仕事をしたら、きっと大きなミスをしてしまう。「やっぱり、離れがたいな」久我さんはそう呟き、私の右手を優しく握った。信号が、赤になる。この信号が青になり発車すれば、もう目の前に私の職場が見えてきてしまう。「私も……まだ、離れたくない。だって、せっかく付き合えることになったのに……もう、何で今日仕事あるのよ。せめて夜勤だったら……」​證券公司ったら?」「……この時間はまだ、くっついていられたでしょ」ふてくされて久我さんに文句を言っても仕方ない。それでも、この悔しい気持ちを口に出さずにはいられなかった。「相変わらず君は、可愛いこと言うね」「え……」信号が青になり、車は発進した。そして職場から少しだけ離れた所に、久我さんは車を停めた。「目の前に停めるより、こっちの方がいいだろ?」「そうね。久我さんの車から降りるところを誰かに見られたら、すぐ質問攻めにあいそうだし」面倒なことは、なるべく避けたい。他人の噂話のネタにされることなんて、誰が望むか。「次会えるのは、多分イブの夜になると思う。私、明日から何日か夜勤続きのシフトだから」「わかったよ」「じゃあ……また」まだ行きたくないと内心思いながらも、私は助手席のドアに手をかけた。すると、久我さんは私の名前を呼んだ。「蘭」そして、名前を呼ばれ顔を向けた瞬間、唇が重なった。せっかく、仕事モードに切り替えようとしていたのに。その一秒きりキスのせいで、私はすっかり恋愛モードに舞い戻ってしまった。「じゃあ、仕事頑張って」「……行ってきます」このキスは余計だった。仕事に集中出来なかったら、確実に久我さんのせいだ。というより、こんなの間違いなく集中出来ないに決まっている。車から降りた私は、去っていく車をしばらく見つめていた。悔しいけど、ハマっている。久我さんのペースに振り回されている。でも、それでもいいと思った。久我さんの彼女になれたという喜びが、私の心を満たしていた。「桜崎?そんな所に立って何してんの?」ふと声がした方に視線を移すと、そこには甲斐が立っていた。どうやら甲斐もこれから出勤らしい。私は恋愛モードにどっぷり入っている自分に気付かれないように、気を張った。「おはよ。別に、これから仕事だから気合い入れてただけよ」まさか、彼氏が運転する車を見えなくなるまで目で追っていたなんて、死んでも言えない。「へぇ、気合い入れたりするんだ。意外だな」甲斐と並んで歩きながら、職場へ向かう。そして隣で喋る甲斐を見上げながら、ふと思ったことがある。依織が選んだ男が、甲斐で良かった。もしも依織が久我さんの告白を受け入れていたら、私はここ最近知った沢山の幸せを知らずに生きていただろう。「何だよ、さっきから人の顔ジロジロ見てるけど。俺の顔に何か付いてる?」「いや、甲斐にも感謝しないといけないなと思って。ありがとね」「何のこと?」「その内わかるから」長年依織を想い続け、ちゃんと依織のことを大切にしている甲斐には、心の中で何度も感謝した。






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最終更新日  2020.12.19 01:39:00
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