入社してからしばらくの間は、おそらく、いろいろな雑用を任される日々が続くと思います。 希望の職種に就いたと思ったのに雑用ばかり ・・・ なんてことを思うこともあるかもしれませんが、 そうした雑用をどのようにこなしているかという姿勢を、上司や先輩方はきちんと見ています。
校正刷 (ゲラ) や原稿のコピーをとるという仕事にしても、学生時代の延長のままで 「たかがコピーでしょ」 なんて気持ちで取り組むのと、コピー一つでも気配りのあるものとでは雲泥の差が出るものです。
例えば、忙しくデスクワークをしている先輩から、章の順序が乱れたままのゲラを手渡されて、 「このゲラのコピーを1通とっておいて」 と頼まれたとしましょう。 この後、皆さんならどうしますか?
1. 渡されたままにコピーをとって、そのまま渡す。
2. 順序を正してからコピーをとって、そのまま渡す。
3. 順序を正してよいかどうか先輩に確認してからコピーをとり、各章ごとにクリップで綴じて渡す。
これはあくまでも一つの例であって、その場の状況にもよることなので、絶対にこうしなくてはいけないということではありません。 でも私ならば、こちらが何も言わずとも3の対応を自然にできる新人さんには “気配りのできる人だな” と感じます。 3の対応には、 「このようにすれば、先輩はきっと次の作業がしやすくなるだろう」 という気配りが見えるからです。
編集者にとっては、著者に対しての心配り、気配りが特に大切です。 それは著者一人一人異なるものでもあり、ここに一つ一つ書けるほど簡単な (単純な) ものではありません。 でも、基本的な姿勢としては、 “常に相手の立場に立って考える” ということが大切だと思います。
時には、 「良かろうと思ってやったことが裏目に ・・・」 なんて失敗もあるかもしれません。 でもそれも勉強ですから、 腐らずに前向きに。 そして、上では雑用と書きましたが、 その雑用の一つ一つが、実は編集者として成長するための大切な糧になることを覚えておいて下さい。
ぜひ皆さんには、大いに気配りのできる編集者になってほしいと思います。