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加藤浩子の La bella vita(美しき人生)

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November 20, 2015
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芸術と人柄、ないしは人間性、を結びつけるのは、なかなか難問です。人柄と演奏や作品のよさが、関連があるとはまったく言えませんし。とはいえ一方で、すごいひとはやはり人間的にもずば抜けているのだなあ、とおもう経験は少なからずあります。人間的に深い、というか。考えていることが違う。 

 ポーランド大使館で行われた、今年のショパンコンクールの覇者、チョ・ソンジンさんの記者会見に接して、久しぶりにそれを感じました。

 今年21歳、「ニュースター」とうたわれていますが、日本では15歳で浜松国際コンクールで優勝して以来、かなり知られた存在だったと思います。今回、現地での演奏は聴いていませんので、無責任なことはまったく言えませんが、たぶん順当な優勝なのでしょう。

 しかし今回の記者会見では圧倒されました。別に彼が気張ってるわけじゃないんです。その逆で、あまりにも大人であまりにも自然体なのです。あのような大イヴェントを制覇したのに、きわめて冷静、というと聞こえが悪いのですが、落ち着いている。ショパンコンクールの映像も紹介されましたが、そこでも落ち着いている。それが、繰り返しですが、たぶん自然なんですね。
 

 会見には、母国である韓国メディアもたくさん見えてました。韓国では「おそらくキム・ヨナ以来のフィーバーになっている」(ある関係者)そう。でも、落ち着くまでしばらくは帰らないと言っているそうです。ドキュメンタリーの撮影のような話も断っているとか。大人ですね。

 「今回のコンクールで優勝して生活がどう変わったか」という質問には、「有名になるのはもちろん素晴らしいことですが、何よりも、素晴らしい音楽をやる、それを伝える、届けるということが本来の目的なので、それに向かって精進したい」という。大きな目標が見えている。それに向かって着実に歩こうという意思がある。だからマイペースを守り通すということですね。

 この言葉をきいて、先般読んで感銘を受けた村上春樹さんの本「職業としての小説家」を思い出しました(この本の感想についてはまた改めて書きたいと思っています)。村上さんも「いい小説を書く」、それも長編、ということが最大の優先順位であり、そのためにいろいろなことを断り、その大目標に向かって日々鍛錬している、ということがよくわかった本でした。そのために、村上さんの人生はきわめてマイペースです。大きな目標のためにマイペースを守り抜くという点で、お二人は共通しているかもしれません。

 チョさん、ある日本人の先生から投げられた、「今世界では中国や韓国のピアニストがコンクールで活躍し、日本人はひところほどではない。どうしてかと思いますか」(!)というややこしい質問も、「偶然だと思います。日本人のすばらしいピアニストも大勢知っているし」とさらりとかわしていました。器の大きさを感じた答えでした。この方、大成するのではないでしょうか。

 記者会見がおわり、気が付いたらチョさんがすぐそばを通りかかるところでした。白く明るく、澄んだ、深い、「気」を感じました。


 コンクールの演奏を収録したデビューCD
はこちら。やはり、澄んだ、そしてはらはらと散る桜の花びらのような美感に満ちたショパンでした。

 http://www.amazon.co.jp/チョ・ソンジン-感動のショパン・コンクール・ライヴ2015-ソンジン-チョ/dp/B01576XCWE 






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最終更新日  November 20, 2015 08:21:42 AM


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