斡旋業者・通信教育のわな

日本の大手留学斡旋業者経由でアメリカに留学してきた留学生から「他の学校へ転校したい」という相談をうけたことがある。とりあえず移りたい学校にどれくらい単位とか移動できるか問い合わせてみたら？と言うと、しばらくして「その学校からの単位は認められない」と言われたという。これはおかしいと思ってその留学生が当時通っていた学校に電話してみるとどうも説明がおかしい。調べてみるとやっぱり未認定校だった。

大手の留学斡旋業者が指定している学校で、名前も「○○○ College 」となっている。事情を知らない日本の人はだまされてしまってもしかたがないとは思うけど、はたしてその業者は確信犯でやっているのか、それとも業者自体も無知なのか。

その業者は、本人が「転校したい」と相談すると（いわゆる「現地でのサポートサービス」というのをあてにして相談したそうだ）その業者のテリトリー外の（契約してない）学校への転校に難色を示したそうだ。実際に業者と本人のやりとりのメールを転送して見せてもらったが、返事の中で転校希望先のＴＯＥＦＬの要求スコアが高い（実はウソ）から転校は無理などとウソをついてまで転校を止ようとしているあたり（逆に調べもしないで適当なことを言っているのであればそれはそれでプロ失格だと思う）かなり確信犯なのではないかと勘ぐらざるをえないような内容であった。

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某大手チャットで話しをしたその人は日本の某公益団体に所属していて、そこから「推薦された」アメリカの大学の「通信課程」の博士課程に在籍して現在猛勉強中だと言っていた。その「団体」からの推薦があったので、入学審査はあってなかったようなものだったそうである。

ちょっとおかしいと思ったのでホームページをチェックしてみると、案の定「当大学は○○という認定団体に認定されている「ちゃんとした」大学であるが（ちなみに自分で勝手に認定団体を立ち上げて自らを認定する自作自演認定は未認定校の常套手段）一般的な大学認定団体の認定を受けていないので○○という認定団体がらみでない職などを得ようとした場合は問題になる可能性がある」と小さい字で書いてある。

これを教えてあげると、本人は猛然と反発しだした。そりゃそうだろう。だって、ここ２～３年の努力が水の泡になる可能性があるんだから。本人は最終的に「アメリカでの就職」を目標にしているそうで、特にその場合はその学位は全く無意味となる可能性が高い。就職の際に問題となり、ビザ申請時にさらに問題になる。それは認めたくないだろう。

「その団体の人もみんなそこで博士号を取得して「ちゃんと」博士として日本で活動している」と本人は主張する。それはぜんぜん問題ない。なぜなら、乱暴な言い方をすればアメリカは非常に低い州の認可基準さえクリアすれば、誰でも大学を作って博士号を出せるわけだし、日本には「博士」という「言葉」を規制する社会的基準がない（例えば「おさかな博士」は問題ないでしょ）からね。実際、日本のエラい人が知ってか知らずかアメリカ未認定校の学位を経歴に入れているのはよく目にする。アメリカの事情を知っている人がみたらジョークとしか思えないのだが・・・。ただ、その学位がアメリカで公に通用するかどうかはまた別問題なのだ。

なにはともあれ、話を元に戻すとその日本の公益団体自体がものすごい誤解を長年続けていて（もしくは本当はもう気付いてるのだが、既にそのシステムを利用して博士号をとってしまった人が今さら「いままでのは間違いだったぴょ～ん」と言われてしまうのが恐ろしいからみんな黙っているのか）名前だけの学位をふりかざして日本で仕事しているとなるとそれはそれでいいんだろうかとは思わされる。