WRCちょいとした話し その6
今回はマニュファクチャラー関係について。特に注目すべきは06年から賑わせているマニュファクチャラー1と2。去年、この新しいレギュレーションが発表されて間もなく、当ブログで一度取り上げてみてはいたもののまだ不透明な箇所が見受けられていたもので。。。今回は、最新版と言う事で解釈して下さい(笑)【マニュファクチャラー】ついついマニュファクチャー(manufacture:工場制手工業)と表現しがちなんだけど、FIAによるとmanufacturerと書くのでマニュファクチャラー(工場制手工業者?)と読むのが正解。自動車メーカーから委託を受けて競技車両を製作・管理している会社(工場)や団体。若しくは、その会社(工場)や団体が運営するマニュファクチャラーズ選手権に登録したそれぞれのチームの事。言い方を換えれば、自動車メーカーと契約した協力会社や子会社が運営するチーム。例.)スバルと契約するプロドライブ(Prodrive Automotive Technology Limited)が運営するチーム がスバル・ワールド・ラリー・チーム(SWRT)。晴れてマニュファクチャラー(以下、マニュ)となる為には、FIAに申請が必要になる。マニュ登録されていないと、WRカーの新規ホモロゲは取得出来ないし、当然マニュファクチャラーズポイントも取得出来ない。従来では1メーカーに対して1マニュファクチャラーが原則だった為に、メーカー=マニュ=ワークスという構図で問題無かったのだが、06年よりFIAがマニュファクチャラーズ選手権の参加窓口を広めた為(M2の創設)に、良くも悪くもこれまでの図式が崩れてしまった。06年現在では、マニュ登録したプライベート・チームが4つもあるからね。昔は、もっとメーカーがWRC出走マシンの開発及び、直接製作に携わっていた為にワークスって言葉が極まっていて、プライベーターとのハッキリとした力の差が見て取れたモノなんだけどね。今ではワークス、サテライト・チーム、プライベーターの3つで体制の違いが表現される事が多くなってきている。 ※サテライト・チームっていうのは、2軍チームという意味を持つ。 メーカーから大きな援助(技術・資金面)を受けている。若しくは、メーカーが運営している ワークスの事を1軍と例える事に対しての体制表現。 年で言えば全てのM2登録チームと、チームの運営は自ら行っているクロノスの事を サテライト・チームと呼ぶ場合が多い。 元々プライベーターとしてWRCに参戦していたチームが、支援を受けてメーカーの代理 としてマニュ登録を果すケースが殆ど。車の流れも、1)メーカー→マニュ=チーム→マニュファクチャラーズ選手権参戦。という肌に染み付いた構図の他に、2)メーカー→マニュ→マニュ=チーム→マニュファクチャラーズ選手権参戦。という新しい図式が見られる様になった。例.1)フォード→Mスポーツ=BP・フォード・WRT→参戦例.2)フォード→Mスポーツ→ストバート・レーシング=ストバート・VK・Mスポーツ・フォード・RT→参戦マニュファクチャラーズ選手権に参戦する為には、現在2つの方法が用意されている。【マニュファクチャラー1(M1)】・WRC全戦に出場義務が有り、自動車メーカーの名前の入ったチーム名を使用して2台体制での 年間出場登録が必要。 但し、年間登録が必要なのは1st.ドライバーのみ。 2nd.ドライバーに関しては、イベント毎の変更が可能。・1イベントに対して2台以上の出走は不可。1台のみの出走も不可。・最新ホモロゲ取得車を利用した最新テクニカル・レギュレーションが適用されたWRカーでの エントリーが必要。 06年から、前後アクティブデフやアクティブサス、トラクションコントロール等の運転を補佐する 為の電子制御の使用が禁止されている。 ・年間エントリーフィー(参加登録料)に212,000ユーロ(約2,951万円)が必要。・M1登録を済ませているマニュでも、別チームを組織してM2登録をする事が可能。【マニュファクチャラー2(M2)】・WRC年間10戦以上に参加義務があり、自動車メーカーの名前が入ったチーム名を使用して 2台体制で年間出場登録が必要。 但し、ドライバーの年間登録は不要で、イベント毎のドライバー交代は自由。 (イベント開催5週間前までに登録)・1イベントに対しての2台同時出走義務は無い。・最新WRカーでのエントリーは禁止。 去年走行していた車両を使用する事により、開発費や製作費が激減出来る。 更に、メーカーや他マニュからのレンタルでの運用も可能となる。・新規装着パーツのホモロゲ期間は当年1/2まで。 つまり、シーズン中の新スペックの車両やパーツは投入出来ない。・年間エントリーフィー(参加登録料)に25,000ユーロ(約348万円)が必要。・過去5年間で、ドライバーズ選手権の年間順位が6位以内に入ったドライバーの起用は禁止。M2であるレッドブル・シュコダ・チームから出走してた02年年間6位のジル・パニッツィに関しては、電子機器の使用禁止を条件にFIAによる特例を受けての出走だった。ちなみに、純プライベーターとして06年WRCにスポット参戦しているフランソワ・デュバルも電子機器を取り外している。この先もM2制度が残されていけば、もっとマニュファクラーズ選手権は賑やかになるだろうね。マニュが増えれば、WRCも潤ってくるしさ(笑)