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カテゴリ:青年マンガ他
『魍魎の匣(4)』志水アキ(原作:京極夏彦) ああ、まだ終わっていなかったんだな。凶悪に怖い京極堂と、そこだけキラキラとまぶしい少女漫画テイストになる榎木津の造形があまりにツボにはまって、身悶えながら読んでいたコミック版「匣」。御ハコ様祓いのために拝み屋自ら登場して、いよいよ佳境にはいってきた。 原作を読んだのはもう10数年も前なのに、あまりに奇天烈な設定と、詳細な時代設定で、一瞬「これは事実を元にしているのか」とすら当時は思った。あの箱型の研究所と軍隊の関係とか、機械の体になんで大掛かりな装置が必要なのかとか、半端に歴史や医学を知っていると、余計に説得力がある(笑)。集積回路も半導体もない時代に、人工心肺や透析の仕組みを手作りしようとしたら、あれぐらいの装置は要るな、とか。 これはアニメにもなったんだっけ? あれ? アニメ化はウブメのほうだったかな? 実写版の映画は残念ながら散々な出来で、でもこれは監督や役者や脚本に非があるわけではなくて、京極堂の薀蓄を、口にした途端に消えていく台詞だけで理解させるのは所詮無理だと思った。 ではマンガなら? マンガなら文字は台詞で語らせればいい(笑)。お祓いの印なんか、踊り出しそうなレタリングで書かれていた。志水さんの力技だ。それと、女子のファンからは支持されないであろう木場修や鳥口くん、青木君の造形も好み(笑)。 実は暮れに、コミック版の『百器徒然袋』を読みたいがためだけに「コミック怪」を買って、王子様な榎さんの表紙にうっとりしていた(笑)。でも読むのを忘れていて、今回、匣の4巻が出たのを機に一気に読んだ。あー面白い。このキャラたちは色あせないなあ。 榎さんが働かない探偵だったことを思い出したよ(笑)。 それにしてもマスオカ、いや益田くんやカズトラの造形がエノさんと比較するといい意味でひどいねえ。志水さん、愛がありすぎだ(笑)。 『コミック怪』という雑誌は、残念ながら志水さん以外読むところのない本で、他の作品との差がありすぎだ(もちろん志水さんだけが看板)。大橋薫、楠圭なんて懐かしい名前の人たちが、一向に進歩のない昔のまんまのつまんないホラーを描いていた笑った。どうせなら一冊まるごと京極夏彦コミカライズ(無論全部志水さんが描く)のほうがいいのに、と思ったのは私だけではあるまいて。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.02.07 21:41:21
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