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カテゴリ:青年マンガ他
これはナンセンスギャグなお話なんだよね? 表紙からしてそんな感じだったし、どうも被りものだのコスプレが所詮中学生の考えるレベルで、それに唯諾々と大人が従っているのが怖い。 でも最初のうちは、なんだか昭和な時代にありがちな、幸薄い美女の報われないシリアスラブストーリーなのかと思って読んでいたら、やけにマセた料亭の娘が仕切っていて、そのうちアパート持ちの妙に弾けたおばばとか、心は女子のゴツくて角刈りのおねえ中学生とかが常連キャラになってきて、あまりなベタな登場人物とベタなストーリーで、まるで歌舞伎のように定型な展開で、どんどんあさっての方向へ転がっていってしまった。この予測不能な感じが、サイバラさんがライバル視する所以かしら(笑)。いや、おばばのダジャレは予測可能すぎて寒いんだが。 このテのダジャレって、ドリフのセンスだよね。ちびまるこちゃんも近いかも。つまり子どもにウケる系で、同時になぜか年寄りにもウケる。私もそのうちこういうのに笑えるようになるのか。 「海月姫」は単行本の1巻を読んでみて、アニメも見たけど、いまひとつピンとこなかった。でもデフォルメにデフォルメを重ねてベタになっちゃうところは同じテイストだ。絵はこっちのほうが一見フツーの人間が多いからまだ読める。 それにしても。自らには「美しすぎる」こと以外なんの罪もないのに、ただ存在するだけで男を破滅に導く「ファム・ファタル」が向島あたりのボロアパートで暮らしていて、無職で絵のモデル(ヌードあり)をして細々暮らしているって、一体どんな昭和初期。村山カイタを思い出しちゃうぞ。お話も昭和な設定で、なんかいろいろヘンなんですが。きてはもらえぬセーターを編み続ける女が男を奈落に陥れていくようなお話が、今この時代にヒットするって、なんかいろいろマズいだろう(笑)。 翻弄される男どもがみんなバカ。休みの日には「主に泣いてる」主人公が愛してやまない浮気性の画家が唯一糸の切れたタコのように女好き(美人なら誰でもいい)。こんな男しか愛せないって、ファムファタルであると同時に、DV夫から逃げられない妻のようなダブルバインド。なんか構造を考えていくと、頭がおかしくなるマンガだな。ゆえに途中でやめられなくなって2巻一気読みしちゃった。2巻では、画家の妻が弾けすぎてかなりのボンバーでちょっとしらけちゃうほど異常だったわ(笑)。 これさ、このまんまのノリだったら、薄幸美女は報われないが、そのうち、実はこのイタリア男のごとく軽い画家が、出会う女性すべてに愛を注いで彼女たちを幸せにする構図とか、無垢と言うより頭悪い美女(気が弱い以前に、男の愛を信じて疑わないあたりがバカだ。昔、タモリ倶楽部でやってた「愛のさざなみ」を思い出した)が改心してどんどん悪女になっていたりしたら面白いのに。今のまんまじゃ、ただ顔だけだもんね。もっとこう、フェロモン撒き散らす系の運命の女じゃないと、なんかつまんないかも。 ああ3巻も出ているのか。仕方がない、読むか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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