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カテゴリ:青年マンガ他
これはマンガ好きの男子(昔の仕事仲間)から借りたマンガ。青年誌のグルメマンガというと、「クッキングパパ」みたいな手作り派から、ワインだのそばだの、最近は出汁マンガというのもあるらしいけど、これはグルメマンガでもなく、ドラマティックなストーリーのあるマンガでもない。でも毎回、深夜食堂のおやじさんが作る(料理以前のメニュー多し)シンプルでなつかしい献立と、そこに集う人間模様が印象に残る。絵はねえ、少女漫画で育った身にはとても奇異に思えるけど、でも高野文子さんのマンガのデフォルメに通じるものがある。 舞台は深夜12時~朝7時までやっているカウンターのみの食堂。どうやら新宿のはずれのほう、という設定らしい。深夜に次々客が来る環境だからね、歓楽街と都心の安アパートとか住宅密集地が隣接している地帯。そこには大抵一人でふらりと客がやってくる。そしてそのうち客同士が顔なじみになる。都会の中の限定されたご近所づきあい。 メニューのない食堂では、客が食べたいものをマスターがつくってくれる。10年くらい臭い飯を食っていそうな、顔に大きなスカーのあるやせぎすのマスターは、大抵の料理はつくる。 でも客のリクエストが、赤いタコさんウィンナー炒めとか、ちくわにキュウリを突っ込んだやつとか、うなぎのタレ丼(うなぎ抜き)とか、ゆでたまご(なんの細工もない、本当にただのゆで卵)とからっきょとかバターかけご飯とか、そんなの。誰しもが子供の頃に好きだったこだわりの一品だったり、ひたすらとにかくそれがあればご飯が食べられるとか、そういうもの。ふりかけや魚肉ソーセージも主役になっていたから、もはやB級グルメですらないけど、それらに孤独で寂しい都会に巣食う人間たちのストーリーが投影されて、なかなか読み応えのあるショートストーリーになっている。 私がこの店に来て注文するなら、なんだろう・・・薄いけど目のつまった黒光りのする上等の海苔とか、千切り茗荷をたっぷりのせたうずみ豆腐とかかなあ・・・。まあでも、孤独も寂しさも複雑な人間関係とも無縁なうすっぺらい人生しかもっていない自分は、こういう店に行く資格はないけどね。 ところで、登場する食べ物のなかに存在は知っていても、実は食べたことのないものが結構多くて、赤いタコさんウインナーというものは本当に食べたこともつくったこともなかったので、自分でつくってみた。可愛いけどやっぱり安いウィンナーの味だった(笑)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.07.12 22:29:32
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