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クライムアンドペナルティ

クライムアンドペナルティ

COOK!5-ROUND(後編)

「さてさて、それでは双方の料理を紹介してください!」

先に挙手したのはマリア。

「ミルクとクリームをふんだんに使って、この香ばしい匂いはまさにロマンチック街道。野菜と鶏肉の相性はまさに」

「シチューだ。」


マリアが雄弁に語っている所をクリフが半ば強引にマイクを取って言った。

「・・・シチューだそうです~。」


「(小声で)ちょっとクリフ!何するのよ!せっかくかっこよく決めてみたのに・・・!」

「(小声で)しょうがねえだろう。こっちが圧倒的に不利なんだから・・・。余計な事言ってもマイナスになるだけだ。」

「(小声で)それもそうだけど・・・。」



「さあ、続いてネル選手!どうぞ!」

「そうだね・・・まあ、ごく普通にある普通の『カレー』だね。こいつも手伝ってくれてよく出来たと思うよ。」

「・・・フン。」

「それでは審査員の方々どうぞ!」

『はぁ~いw』

『・・・はい・・・・・・・。』

ファリンとタイネーブはとっても元気そうだが、他のメンバーはとっても暗い。まあ理由はわかってるんだが・・・。

「それでは、両者、鍋の蓋を開けてください!どうぞ!」


『こ・・・これは・・・・!?(シ・・・シチュー・・・なのか?)』

一同は思った。『これを食ったら死ぬな・・・』と、

ファリンとタイネーブも驚きのあまり石化している。

「おい。」

「ん?」

いままで寡黙だったアルベルが口を開いた。

「(小声で)これでわかっただろう。奴の料理を恐れる理由が。」

「(小声で)・・・ああ・・・。(もしかして私は・・・取り返しのつかない喧嘩を買っちまったかもしれない・・・?)」

「さあ、それでは試食して下さい!」








・・・・・エ・・・・・・?





『(「これ」と向き合ってどうしろと・・・?)』





沈黙が続いた。観客達も固唾を呑んでいる。


「・・・実況。」

クリフが口を開く、

「何かな?」

「・・・一つ提案があるんだが、ここは俺達じゃなくて、対戦者同士で試食してみるというのはどうかと。」


全員が反応する。極度に反応したのは勿論あの2人。フェイトはというと。


「・・・だろ。」


笑顔だ・・・!




確信犯だ・・・・っ!





「それでは・・・まずはマリア選手とクリフ選手!ネル選手の料理の味見をお願いします!」



「・・・うん・・・悔しいけど、とても美味しいわね。・・・やっぱり彼女のほうが経験豊富だからかしら・・・。」


「いくら年をとってもネルには敵わねぇよ。」





ぷちん、と何かが『切れた』音がしたのは僕の空耳だろうか・・・?(後のフェイト談)



「なんですって・・・!」



「・・・!あ、いやその・・・!」


「問答無用!!!」



マリアがキレた。銃を乱射し、会場は錯乱状態だ。
逃げ惑う市民達。中央で暴れるマリア。最早無法地帯だ。だが、その中で一人冷静な者もいた。


「ネル!鍋運ぶの手伝え!」

「は!?今はそんな場合じゃないだろ!早く逃げるんだよ!!」

「阿呆!この混乱に乗じて、『あっ、うっかり鍋をこぼしちゃったあ』を演技するんだよ!さっさと溢すぞ!!」


「あ・・・ああ!!そうだね!・・・むしろこいつをクリフやフェイトにぶっかけてやりたいよ・・・!」


「よし!やるぞ!」








混乱が治まってから翌日・・・




罰ゲームよろしく、マリアが滅茶苦茶にした街の復興作業に徹していた。



「はぁ・・・なんで私が・・・!」

「仕方ないだろ。こうなっっちゃたんだから。」


結局、この戦いはマリアの不戦敗ということでカタはついた。



だが、この物語が続く限り、マリアの戦いは終わらない・・・。





(終わってくれよ・・・!)





                






                 END





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