風邪くそ・・・こんな事・・・なった事ねぇよ・・・ 風邪 「えぇ~;シンってば風邪引いちゃってたの!?どうりでブリッジに居ないと思ったら・・・;」 と、ロビー内で第一声を上げたのは赤い髪が印象的なルナマリア。 どうやらヴィーノ達と会話しているようだ。 「う、うん。何でも『熱があるような・・・』って昨日俺に話してきて・・・今日、ついに寝込んじゃったみたい。」 ルナマリアの剣幕に少しおどおどするヴィーノ。 「ま、コーディネーターって言っても、風邪は引く事は引いちまうわな。」 今度はヨウランが言及する。 いくら生まれながらにして病気に対する抵抗力を上げられても、やはりヨウランの言うとおり、風邪は引く時は引いてしまう、普通の人間と変わりは無い。 「――――全くしょうがないわねぇ。見舞ってあげるか。」 ルナマリアがふぅ、と少しため息を漏らしながら言う。 「あ、じゃあ俺も―――――モガモガ!」 ヴィーノが言おうとした時、ヨウランが口止めする。 「こら、まだ俺らはMSの整備があるだろ。悪いけど、ルナ、先に行っててくれないか?」 「え、う、うん。」 すたすたとその場を立ち去るルナマリア。 「――――ゲホゲホッ!・・・こら!ヨウラン!何するんだよ、俺も行こうと思ってたのに・・・第一、俺ら既にもう全部のMS整備終わってるじゃん?」 「バーカ。嘘だよ。嘘。気を使ってやったんだよ。」 ヨウランがややにやにやしながら、ヴィーノに言う。 「――――あ、成程。」 ヨウランと同様、顔がにやけるヴィーノ。 「――――シン、居る?開けるわよ。」 居ることを確認し、入るルナマリア。 「・・・ルナ・・・?」 熱のせいか、少し呆けて虚を見つめるシン。 頬が少し赤くほんのりと染まっており、目もやや充血している。 「・・・ったく、風邪引くなんて、意外とヤワなのね、シンって。」 ドサ、とシンの寝ているベッドの隣にあった椅子に座るルナマリア。 「・・・風邪になったのなんて、生まれて初めてなんだよ・・・スゲェだるい・・・。」 手を額につけるシン。やはり少し熱い。 「へぇ~。・・・あっ!ほら~。氷枕、解けてるわよ。入れ直さないと・・・。」 と、言ってシンの頭元から氷枕を取るルナマリア。 「・・・・・・・・。」 シンはルナの事を見ていた。 彼女はアカデミー時代からそうだった。 自分が何か迷惑をかけると何かと彼女が面倒を見る。 何故かは・・・熱でそこまで考えが回らなかったようだが。 「―――ふぅ、入れ終わったぁ~・・・ん?何?人のコトじぃ~と見ちゃって・・・。」 「・・・!?あ、ああ・・・ごめん、何でもない・・・。」 そっと、シンの傍に氷枕を入れるルナマリア。 「―――んで、何しに来たの?伝言?」 素っ気無く、ぶっきら棒に話すシン。もうこの反応に慣れたルナマリアは、 「ううん。シンのお見舞いw」 素直に返す。もうこのパターンは常識になってきた。 「・・・あ、もしかして照れてる?」 クスス、と少し笑い声で漏らしながら言うルナマリア。 「―――別に・・・。」 少し頬が赤かったのは、風邪のせいじゃない事はシンにはよく分からなかった。 「(全く・・・世話好きなのか物好きなのか・・・)・・・ありがとう・・・。」 ポツリ、と小声だが、ルナマリアにはすっかり聞こえていた。 「あら、何だかやけに素直じゃない。風邪引いたせいかしら?」 「ほっとけ。」 「・・・っと、それじゃ、私はブリッジに戻るね・・・ってそうそう忘れる所だった。」 部屋を出て行こうとしたが戻ってクルリ、と体を反転したルナマリア。 「・・・?」 疑問符が頭に浮かぶシン。 「えっとね・・・風邪が早く治るおまじないw」 そう言って熱にうな垂れるシンに、軽く頬にキスを交わすルナマリア。 「・・・!???!??!?」 言葉にならないぐらい驚くシン。驚き過ぎてベッドから転がり落ちた。 「あははは。驚き過ぎ。・・・それじゃ、お大事にw」 そういって笑いながら部屋を出るルナマリア。 「――――あのバカ・・・///」 頬が風邪のものとは思えない程赤くなってたのは、この際伏せておく―― 後日、風邪が治ったシンから、一部始終を覗いてたクルー達の冷やかしのオンパレードを受けたのは、言うまでもないだろう・・・。 END ジャンル別一覧
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