041910 ランダム
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クライムアンドペナルティ

クライムアンドペナルティ

風邪












くそ・・・こんな事・・・なった事ねぇよ・・・












風邪










「えぇ~;シンってば風邪引いちゃってたの!?どうりでブリッジに居ないと思ったら・・・;」
と、ロビー内で第一声を上げたのは赤い髪が印象的なルナマリア。
どうやらヴィーノ達と会話しているようだ。

「う、うん。何でも『熱があるような・・・』って昨日俺に話してきて・・・今日、ついに寝込んじゃったみたい。」
ルナマリアの剣幕に少しおどおどするヴィーノ。
「ま、コーディネーターって言っても、風邪は引く事は引いちまうわな。」
今度はヨウランが言及する。
いくら生まれながらにして病気に対する抵抗力を上げられても、やはりヨウランの言うとおり、風邪は引く時は引いてしまう、普通の人間と変わりは無い。

「――――全くしょうがないわねぇ。見舞ってあげるか。」
ルナマリアがふぅ、と少しため息を漏らしながら言う。
「あ、じゃあ俺も―――――モガモガ!」
ヴィーノが言おうとした時、ヨウランが口止めする。
「こら、まだ俺らはMSの整備があるだろ。悪いけど、ルナ、先に行っててくれないか?」
「え、う、うん。」
すたすたとその場を立ち去るルナマリア。

「――――ゲホゲホッ!・・・こら!ヨウラン!何するんだよ、俺も行こうと思ってたのに・・・第一、俺ら既にもう全部のMS整備終わってるじゃん?」
「バーカ。嘘だよ。嘘。気を使ってやったんだよ。」
ヨウランがややにやにやしながら、ヴィーノに言う。
「――――あ、成程。」
ヨウランと同様、顔がにやけるヴィーノ。









「――――シン、居る?開けるわよ。」
居ることを確認し、入るルナマリア。
「・・・ルナ・・・?」
熱のせいか、少し呆けて虚を見つめるシン。
頬が少し赤くほんのりと染まっており、目もやや充血している。
「・・・ったく、風邪引くなんて、意外とヤワなのね、シンって。」
ドサ、とシンの寝ているベッドの隣にあった椅子に座るルナマリア。
「・・・風邪になったのなんて、生まれて初めてなんだよ・・・スゲェだるい・・・。」
手を額につけるシン。やはり少し熱い。
「へぇ~。・・・あっ!ほら~。氷枕、解けてるわよ。入れ直さないと・・・。」
と、言ってシンの頭元から氷枕を取るルナマリア。
「・・・・・・・・。」
シンはルナの事を見ていた。
彼女はアカデミー時代からそうだった。
自分が何か迷惑をかけると何かと彼女が面倒を見る。
何故かは・・・熱でそこまで考えが回らなかったようだが。


「―――ふぅ、入れ終わったぁ~・・・ん?何?人のコトじぃ~と見ちゃって・・・。」
「・・・!?あ、ああ・・・ごめん、何でもない・・・。」
そっと、シンの傍に氷枕を入れるルナマリア。
「―――んで、何しに来たの?伝言?」
素っ気無く、ぶっきら棒に話すシン。もうこの反応に慣れたルナマリアは、
「ううん。シンのお見舞いw」
素直に返す。もうこのパターンは常識になってきた。
「・・・あ、もしかして照れてる?」
クスス、と少し笑い声で漏らしながら言うルナマリア。
「―――別に・・・。」
少し頬が赤かったのは、風邪のせいじゃない事はシンにはよく分からなかった。
「(全く・・・世話好きなのか物好きなのか・・・)・・・ありがとう・・・。」
ポツリ、と小声だが、ルナマリアにはすっかり聞こえていた。
「あら、何だかやけに素直じゃない。風邪引いたせいかしら?」
「ほっとけ。」

「・・・っと、それじゃ、私はブリッジに戻るね・・・ってそうそう忘れる所だった。」
部屋を出て行こうとしたが戻ってクルリ、と体を反転したルナマリア。
「・・・?」
疑問符が頭に浮かぶシン。
「えっとね・・・風邪が早く治るおまじないw」
そう言って熱にうな垂れるシンに、軽く頬にキスを交わすルナマリア。

「・・・!???!??!?」
言葉にならないぐらい驚くシン。驚き過ぎてベッドから転がり落ちた。
「あははは。驚き過ぎ。・・・それじゃ、お大事にw」
そういって笑いながら部屋を出るルナマリア。

「――――あのバカ・・・///」
頬が風邪のものとは思えない程赤くなってたのは、この際伏せておく――










後日、風邪が治ったシンから、一部始終を覗いてたクルー達の冷やかしのオンパレードを受けたのは、言うまでもないだろう・・・。




END







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