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デザイナーのBernd Eisensteinが、自分の会社であるIrongamesから出している「ペロポネソス」の拡張。プロモを除くと5つ目になるのかな。ここはスモールパブリッシャーの強みを生かし、意欲的なシステムのゲームを数多く発表しているが、BGGでは今なおデビュー作である「ペロポネソス」の評価が最も高い。それがデザイナーにとっていいことかどうかは分からないがw
仙骨とは骨盤の真ん中にある骨のことで、なぜか世界のいろんな宗教などで神聖なものとされてるようだ。そんなものがタイトルに入ってることから何となく想像がつくように、この拡張では民を神々への生け贄として捧げることができるようになる。
そのために使われる仙骨タイルと仙骨チット。ゲーム開始時に仙骨タイル2枚をテーブル中央に置き、仙骨チット5枚を裏向きの山にする。
ラウンドごとに災害チットを2枚表向ける前に、仙骨チットを山から2枚表向ける。頭蓋骨が描かれているチット(1枚だけある)が引かれた場合、プレイヤーは手番順に自分の人口を好きなだけ減らすことができる。生け贄に捧げたわけだ。プレイヤーはこうして捧げた1人口ごとに1金も支払わなければならず、そのコインを仙骨タイル上の自分の色のスペースに積み重ねて置く。
表向けられた仙骨チットはラウンド終了時に山の下に戻されるので、以降のラウンドで頭蓋骨が出るかどうかをある程度(または確実に)予測することができる。
ゲーム終了時、プレイヤーは生け贄に捧げた1人口ごとに2人口点を得る。最後まで維持した人口からは3人口点入ってくるので、生け贄に捧げると人口点は減るわお金はかかるわといいことなしに見える。しかし、何しろ生け贄にされた人々はもうご飯を食べないので(当たり前)、維持するために食料を供給する必要がない。それに、対策できなければ遅かれ早かれ「疫病」で人口の1/3は失われるわけだしw 勝利点は人口点と名声点の“低い方”なので、人口が突出していてお金に余裕があるなら捧げてしまった方がいい。もちろん、完全に狙ったタイミングで生け贄にできるわけではないし、過剰に捧げてしまって人口と所持金を減らしすぎては元も子もないから、そのへんの見極めが重要になるだろう。
あとは新たな文明と新たな建物。ロードス文明は、収入として4種類の資源から任意の3つを選んで得ることができる。アンティオキア文明はとんでもないことに、最初から“すべての”災害を受けない能力を持っているw 最強に見えるが、もちろんペナルティがあり、ラウンドごとに自動的に人口が1ずつ減っていく。「疫病」の効果も受けないので、減少分を超えるスピードで人口を増やせればかなり強そうだ。最後のデロス文明は、仙骨チットで頭蓋骨が出なくても生け贄を捧げることができる。前述の追加ルールを適用するとき専用の追加文明だ。新たな建物も3種類あり、こちらはどれも生け贄がらみの特殊ルールを持っている。
久しくプレイしていないので、追加ルールがちゃんと機能するかどうかはよく分からない。何回かやった限り、人口増やすのが一苦労だった気がするんだが……それを自主的に減らしてゲームになるんだろうかw 「疫病」をブロックしつつ、潜在的名声点に合わせて人口をマネジメントするって感じになるのかな。「疫病」の発生タイミングにもよりそうだけど……。まあ、たとえあまり使うことのないルールだとしても、単に混ぜて使える文明が2つ増えるだけで楽しみは増すだろう。あと6人プレイ用の木製マーカー類(紫)もついてるので、「海」「山羊」拡張と一緒に使えば最大8人でプレイできる。これはさすがにやめた方がいいと思うがw
「ペロポネソス」は基本ゲームだけでかなり完成されてる傑作で、拡張はどれも(特にあとから出たものほど)コレクターズアイテム的なところがある。これもその域を出てはいない感じだが、紫を持ち色にしているコアな「ペロポネソス」ファンにはいいかもね。
BGGの和訳ルール:
ペロポネソス
海拡張
ヘッラス拡張
山羊拡張
仙骨拡張