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カテゴリ:ファンタジー日記
クアの中心街は教会を中心に徐々に成り行きで広がってきたため、道が複雑に入り組んでいる。港近くの高等学校から教会前までの石畳の道が目抜き通りといったところだけど、それもS字カーブを描いて見通しがきくわけでもない。またこの道沿いに主要施設が集中しているわけでもなく、街のあちこちにお店や飲食店や、工場や銀行、役所、病院があちこちごちゃまぜに建っている。ただ、教会前の広場だけはこの街の規模に似つかわしくないくらい広くて、広場の中心にある古の英雄たちの群像をモチーフにした噴水は、国中探しても他にないくらい高くて立派だ。祭りはこの本当に広い広場でおこなわれるため、たくさんの観光客が来ても混雑して混乱するようなことはない。かつての教会の勢力をおもわせる。
教会の裏手にはお酒をだす店が多く、夕方になって教会が経営する大きな紡績工場から若い従業員たちが流れ出てくる頃には、この一角が街の主役になる。かつてほど敬虔な信者も少なくなった今では、教会関係者も多くこの一角に顔を出す。狭い路地を少し入った地下にある「パケ」というバーでも、いつものように教会の農業研究所の若い研究員たちが、所長の悪口や噂話で盛り上がっている。 濃い茶色の髪を古い神式に束ねた二十歳そこそこに見える男が興奮気味に話している。先日、教会の書庫でみつけた古い寓話集に、自分が子供の頃祖父から聞かされたこの街の、みんながよく知っているあの伝承とそっくりの話があった。その寓話集のほうがこの街よりの歴史よりもずっと古いので、あの伝承は作り話なのかもしれない。でも、だとすると、この街の歴史は150年ほどだし、祖父の祖父なら街が出来た時代の人と直接話もしただろう。なぜたった150年でそんなことが起こりうるのか? それとも、偶然同じようなことが起こったのだろうか? ダナが言うのだから、調べてみる価値はあるんじゃないか? 彼の隣に座っていた、こちらも二十歳そこそこに見える男が言うと、他の男たちも同意した。明日の休憩時間にでもみんなでその寓話集を見に行くことにした・・・ ※うん。メ、メモですから・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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