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カテゴリ:開示規制
平成21年改正金融商品取引法の「売出しの定義の改正」「私売出しの実務」につきましては、こちらの完全解説をご覧ください。 今日は、いきなり本題。 今日は、「募集と売出し」の最終回です。ブログの最終回ではありませんので、念のため(笑) <売出し> 「売出し」について、ちょっと、復習しましょう。 「売出し」は、いつでも金融商品取引業です。すべての「売出し」は、第一種金融商品取引業か第二種金融商品取引業の登録をしている会社でないとできません。 「売出し」が行われる際には、「有価証券届出書」が内閣総理大臣(実務的には財務局長)に提出されなければなりません。「有価証券届出書」が提出されていない有価証券(信託受益権を含む。)の「売出し」にかかわると、5年の懲役を含む刑事罰の対象になります。 「有価証券届出書」とは、「発行者」の情報と発行される「有価証券」の情報を記載した書類でしたね? さて、問題です。 「売出し」にあたって、「有価証券届出書」を提出しなければならない者は誰でしょうか? <有価証券届出書の提出義務者> 「募集」のときも、有価証券届出書の提出が義務付けられていましたよね。「募集」では、発行者が、資金調達を目的に行う行為なので、当然のことながら、「有価証券届出書」を提出しなければならない者は、「発行者」です。 資金調達を目的に「売出し」を行うのは、売出しをする金融商品取引業者です。発行者は、何の関係もありません。 では、再度、同じ質問です。 「売出し」にあたって、「有価証券届出書」を提出しなければならない者は誰でしょうか? <売出しの不思議?!> 「売出し」のときに、「有価証券届出書」を作成して、内閣総理大臣に提出する義務がある者は? 答は、「発行者」です。売出しには何の関係もない「発行者」が「有価証券届出書」を、売出しをする金融商品取引業者(「売出人」と呼びます。)のために、有価証券届出書を作成して、内閣総理大臣に提出しなければなりません。 別の言い方をすると、売出人は、売出しをするときに、発行者に「有価証券届出書を作って、内閣総理大臣に提出してください!」と依頼して、実際に、そうしてもらってから、初めて「売出し」を開始することができるのです。 売出人は、売出しとは何の関係もない発行者に依頼をして有価証券届出書の提出をしてもらうというのは、不思議です。不思議ですが、有価証券届出書に記載される発行者の情報(企業情報)は、発行者が一番よく知っているから、という理由で、金融商品取引法は、売出しには何の関係もない「発行者」が、有価証券届出書を作成するもの、と規定しています。 実務では、売出人と発行者の間で、話がついているから「売出し」ができる、という順番なので、問題はありませんが、理由はわかるんだけれども、不思議な制度ですよね。 <著書の紹介> 新刊が大好評です! 金融商品取引法対応マニュアル―すぐに使えるサンプル付き! 昨日、住宅新報社の編集長から「売れ行きがいい!」という話がありました。ご覧いただいた方々にお礼を申し上げます。 今回は、第二種金融商品取引業や投資運用業の登録に必要な書類のサンプル、各種社内規程のサンプル、特定投資家制度や広告等の規制対応のための書面のサンプルなどを、説明つきで、紹介しています。 「不動産の証券化と金融商品取引法」の関係について書かれた本は既に何冊か発行されていますが、今回の本は、これまでに出版されてきた本と違い、「じゃあ、何をすればよいのか?」ということを、サンプル付きで、具体的に説明しています 「研究者」のための本ではなく、「実務家」のための本にしました。 不動産信託受益権や不動産の証券化を中心にしていますので、住宅新報社から出版しましたが、第二種金融商品取引業や投資運用業を行う会社であれば、投資対象が不動産でなくても、使用できるように工夫しています。 ぜひ一度、ご覧ください。 金融商品取引法の基本がよくわかる本
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Last updated
2010/01/09 01:54:10 PM
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