愛することのできない時間/The Time of Lovelessness
一説によると
パク・チャヌク監督の
『JSA 共同警備区域』(2000年)は
この事件も念頭に置いて、だったらしい。
1998年2月24日に板門店JSA(共同警備区域)の洞窟で
キム・フン中尉の遺体が発見された。
事件はキム・フン中尉の自殺と断定されたが、
息子が自殺するはずがないと信じる父親は
その後10年以上に亘って真相究明を続けた。
その父親の姿を追ったドキュメンタリー。
キム・ヒチョル/Kim Hee-chul監督は
士官学校に学んだこともあり
面識はないがキム・フン中尉の後輩にあたるそう。
そんな縁もあり
同事件を追ったドキュメンタリー第1作『真実の門』(2004年)
も製作している。
2009年
結局真相は明らかにならないまま
軍の真相調査委員会で
「真相究明不能」と断定され終わってしまうのだが...
観ながら疑問に思ったのは
真相調査委員会で諮問などしているのに、
そこは裁判所ではないのに、
蓋然性/probabilityが高いということで
自殺説に傾いて判断されてしまっていた点。
法律等にくわしくないのだけれど...
裁判では蓋然性をとった判断、判決もあるが
論理的にそれでよいのだろうか、
それでは遺族は絶対納得できない、
と考えながら観ていた。
監督の思いは
「映画は社会を映す鏡であってはいけないのか」
ということに尽きる。
この事件を追う10年以上の歳月は
「愛することのできない時間」だった。
繰り返し、反復の多い現実
変わらない現実。
そんな時間を愛することはできない。
キム・フン中尉の父親自身は
三ツ星を得て退役した英雄で
長年軍の中枢にいた、軍側の人間でありながら
息子の死に愕然とし
「軍は軍人だけだませばいいのか」と
本事件では軍の体質に真っ向対立した。
国がゆさぶられてはいけないから、
という軍の姿勢は
依然として休戦状態の半島では
しかたない選択かもしれないけれど...
安保がすべてに優先し
人命も人権も
すべてを呑みこんでしまう休戦状況。
死んだ者の魂を悼むにはほど遠い
地上の、国境の、
DMZの現実と感じた。
軍の内部については
ユン・ジョンビン監督『許されざるもの/The Unforgiven』も想起した。
DMZの写真。
ひとは
DMZのために考えを
生と死を深めている気がする...
2004年、
DMZの野草。
ゲストに登場したのは
右から
キム・ヒチョル監督
担当弁護士
天主教(カトリック)人権会担当者。
人権問題について
キリスト教(カトリック)が大きな役割を果たしている韓国社会も興味深かった。
人権問題の
駆け込み寺となる窓口がそこにはある。
日本とは異なる社会。
to be continued...!?
buzz KOREA
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