confuoco Dalnara

SSFF & Asia 2011で
旅の韓国映画、Travelling Shorts in Korea／韓国トラベルショートプログラムの
4本観賞。

『Bon Voyage World Tour 2008／ボン・ヴォヤージュ：ワールドツアー2008』
（チョ・ミンソク／Min-sug Zho監督）。

自閉症のような男性キジョンは英語の勉強がだいすき。
町ではDr. Englishと呼ばれている。
廃品回収をする祖母とふたり暮らし。

ある日ひとりになってしまったキジョンは
英語力と行動力だけをたよりに
世界旅行に飛び出す。
ただし韓国外ではない。
自分の住む町やちょっと足を伸ばした近郊の川辺などを世界に見立てた旅。
韓国のある地方の町が
フランスやさまざまな国の景勝、観光地に見立てられる。

彼の目に映る空想のような世界旅行は
彼の想像の中というフィクションと
現実の韓国の風景がオーヴァーラップして
風景それぞれが二重の意味を持つ世界観。

ナレーションが
あのキムC／Kim Cだったので驚いた。
監督が来日していたら
彼がナレーションを担当したいきさつを聞いてみたかった...
以前Twitterでつぶやいていたけれど
キムC／Hot Potatoの曲はちょっとインディっぽい音が好き。

2008年のプチョン（富川）ファンタスティック映画祭上映作品。

高校生時代に作庭の本などを読み
見立ての文化に関心があったので
見立て、という意味でも興味深い作品。
室町時代は
浄土に見立てた作庭、
江戸時代の浮世絵における見立てなど。

ただ、本作はむしろ
心理的な見立てが感じられる。
非現実の王国のような...

『The Wind Bird／風の間に』
原題は風の鳥。
ファッション・デザインの仕事で
疲れ果てたヨンジュはしばらく滞在の予定で寺を訪れる。
都会の生活とのあまりの違いにはじめはとまどい
人懐っこく世話を焼こうとする、もうひとりのテンプルステイ男性ジェホのことも
少々疎ましく思っていたが...



外国人観光客にも人気の韓国テンプル・ステイの世界だが
外国人のための宿坊ではなく
観光ではなく
日常を離れたい韓国人のための韓国の寺での数日。
断捨離のような...

食べものと料理の風景がなによりすばらしい。
空の下、
青空の下の厨房。
韓国ドラマや映画でよく見かける、
マダン（中庭、内庭）に置かれた大きな台（卓）の上でごはんを食べるシーン。
映画『食客』などでも。
寺ではその大きな台／卓が調理場だった。

台の上に大黒さんジョンヘ、ヨンジュ、ジェホ3人が座りながら
野草のてんぷらをつくったり
ジョンを焼いたり。
かぼちゃなど自然のもので色をつけた餅をちぎって焼いて
餅の上には花をのせて飾った花煎（ファジョン）。
蓮根は葉も食べるのだとこの映画ではじめて知った。
葉までつかう蓮根料理のちいさなシーンから
野菜、植物の命をいただく貴さを噛みしめ
ありがたく葉までつかわせていただく...という仏道が
静かに伝わってくる。

ファン・ジウン／HWANG Ji-eun監督、2010年アシアナ短編映画祭上映作品。

観光振興を目的とした
プロジェクト的製作の映画ではないので...
いろいろ気づきがあっておもしろかった。

一方
『チョンアのソウル・アドベンチャー／Chung Ah’s Adventure in Seoul』
（イ・ヨンジン／Lee Yong-jin）監督は
ちょっとプロモっぽい。カメラワークなど...



監督の話によると
主演女優のイ・チョンアがアイデアを出したという
漢江の怪物／グエムルのシーンが楽しい。

韓国人なら
あるいは映画を観た人なら誰もがぴんと来る連想。漢江→怪物。
ポン・ジュノの『怪物／グエムル／Host』からのインスピレーション。

以前ブログで書いた通り
Epik HighのMVも『怪物』へのオマージュでコンテンツの相乗効果、
コンテンツの背後のもうひとつのコンテンツによる深みが印象的。
重層的な、
そして基音の背後によこたわる倍音・重奏的なイデアを感じていた。

国境を超えて
韓国／韓流コンテンツが共通の話題になるシチュエーションは今後もありそうだし...
コンテンツのMashup／マッシュアップ、
シナジー／Synergy効果がおもしろい。

『The Pictures／少年と写真』（イ・ビョンヒョプ／Lee Byung-hyop監督）。

絵の中の風景と
写真の中の風景は合わせ鏡のようでもあるし...
写真家の女性（キム・ソヨン）と少年が手と手を合わせているような、
ふたりの心の中で
細くほそーい糸でつながっている縁のような。

共有する風景と
共有する思い出。
それぞれの美しさが心にのこる。

to be continued...!?

buzz KOREA

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