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テーマ:韓国!(16986)
カテゴリ:映画
伝説のヤクザ、ドゥホン(ソン・ガンホ)はソウルを離れ
海を眺めるか料理教室に通うか、のゆったりした日々を釜山で送っていた。 料理教室で同じテーブルになったセビン(シン・セギョン)と知り合うようになり 「いつか食堂を開きたい。その時は料理を手伝ってくれ」と打ち明けるまでに。 だが、ドゥホンを監視しろ、という命令に従っていたセビンは ドゥホンと接してあたたかくなっていく気持ちとはうらはらにその誘いをかわすのだったが...。 『イル・マーレ』のイ・ヒョンスン監督11年ぶりの新作。 役柄でも釜山が故郷と言うドゥホンは釜山男子らしくぶっきらぼうで不器用なところもあるけれど 『シークレット・サンシャイン』の密陽の独り者ジョンチャンの時と同様、 黙っていても好意は恋心は顔に出てしまうようで... 「おじさんが私のこと好きなんでしょ」とセビンに鋭く言われてしまう(〃ω〃) 料理教室では要領も悪く相手を警戒させない、無邪気な表情ばかりを見せているドゥホンだが セビンの足に刺さりそうになった包丁をとっさに機敏につかんだり、 相手に全く警戒はさせないけれど実は...というところがソン・ガンホの雰囲気に合っている。 殺気を完全に消し相手に全く緊張させないが秘めた実力が、というキャラクター設定は 同じ組のほかのメンバーたちと異なり、やはり伝説の、大物の証かも、と思わせる。 特に、セビンとのデートでさりげなくホワイト・バックのプリクラを撮らせるあたりは セビンに気づかれないよう進めていた、彼女を逃がす計画のため。 ぽわーんと自然に勧められた成り行きでセビンは全く意図に気づいていなかったが このあたりも大人の男、できる男の空気を醸し出している。 ヤクザ映画も多く(!?)観ているけれど 組会長の葬儀のため りっぱな寺に集まるシーンは ほかの韓国映画ではあまり見かけない感じでいい画だった。 ヤクザたちも錚々たるわき役陣。 イ・ジョンヒョク、 イ・ギョンヨン(『サニー』に特別出演)、 キム・ルェハ/レハ、 チェ・ドンムンなど。 キム・ジョングはイ・チャンドン『ポエトリー アグネスの詩』での エロい詩を書く刑事の役がとても良かったのを思い出す。 『黒い土の少女』でお父さん役だったチョ・ヨンジンも。 やはり『イル・マーレ』の監督だけあって(!?) フィルム・ノワール、サスペンスというよりは ラブやヒューマンな香りに重きがあって 殺し殺されるシーンの描写は少なく、直截的ではない。 暴力描写がハードな最近の韓国映画とちがって そういったシーンを監督の美学で引き算し、抑えていったのだなぁと伝わってくる。 とはいえ、 釜山ならではの夜の港や廃船のシーン、 塩田に至るカーチェイス、 青い空が映りこむ塩田のシーンなどはオリジナリティもあり美しい画で アクションは少なめだが楽しめた。 カーチェイスで泥だらけになっていく車両、 大地にぽつんとそびえる岩と、岩の上に生える木々の風景、 ほとんど全編流血は少なめだったのが 最後にカメラに飛び散った何滴かの血液、とその余韻など。 殺し屋などハードボイルドな職業の男性と 若い年下の女性の組み合わせは映画界でいろいろあるが... ウォンビンとキム・セロンの『アジョシ』や 『レオン』... しかしその『レオン』(1994年)も 原点はジョン・カサヴェテス監督ジーナ・ローランズ主演の『グロリア/Gloria』(1980年)。 『レオン』は『グロリア』の男女の役を入れ替えることから始まった。 余談だが 自分にとっては『グロリア』が、John CassavetesがGena Rowlandsがこのジャンルで最高峰。 この映画が持つ品とひそやかな色気、色っぽさの両立は 女性が銃を持つ立場の表現でしかなかなか成立し難い... 閑話休題。 『青い塩』はラブストーリーでもあるけれど ドゥホンの舎弟エック(チョン・ジョンミョン)やセビンなど若者のビルドゥングスロマン(成長記)とも読める。 エックはまじめすぎ潔癖過ぎで 娘ほど年の離れた女性を好きになったらしい兄貴ドゥホンに何度か意見するが、 ドゥホンは「愛にはいろいろな色がある」と返し、 人生の先輩らしくエックを固定観念から自由にしようとする。 セビンの苦しさ弱さを知ったドゥホンは彼女をその苦しみから自由に生きられるように、 セビンの得意な料理で生きていかれるようセビンの気持ちをさりげなく動かし、変えているようでもあった。 麻薬で資金を集めヤクザから議員へ、という巨悪を勧善懲悪で征伐する、というフィナーレではなく こんなふうにセビン、エック、セビンの友人ウンジョンを自由に解き放ったのが 伝説のやくざドゥホンの最高な、ヤクザとして最後の仕事だったのかもしれない。 世代のギャップ、人生の先輩と後輩という世代のギャップが生きている。 つぎの世代にドゥホンが伝えることが出来たものを際立たせて。 殺し請負組織のボス、カン女史(ユン・ヨジョン)のキャラクターも鮮烈だった。 「死体を残すのではなく、行方不明に仕立てあげるのが最善」という完璧非道な仕事ぶり。 請け負ったドゥホン殺しが思うように進展せずカン女史が若干の苛立ちを表現したシーンは 彼女が煙草をすぱすぱ吸うのではなく...(それはありがちだけれど) やや逆光気味の暗い室内で彼女の右側にある灰皿から たばこの煙が白く濃くのぼって彼女の心情を表現していた。 殺し屋K役はキム・ミンジュン。 釜山国際映画祭製作のオムニバス映画『カメリア』で殺し屋を演じた姿を思い出した。 セビンの射撃の恩師ユク先生役はオ・ダルス。 最近観たキム・ミョンミン主演『朝鮮名探偵 トリカブトの秘密』のコミカルな演技を思い出して、つい思い出し笑いしそうにもなったけれど... シン・セギョンは『アコースティック』で見せた可愛らしさとはまた違う、ツンデレな魅力。 to be continued...!? buzz KOREA Click... にほんブログ村 韓国映画 にほんブログ村 映画 にほんブログ村 映画評論・レビュー にほんブログ村 韓国情報 にほんブログ村 K-POP にほんブログ村 Copyright 2003-2024 Dalnara, confuoco. All rights reserved. 本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は 著作権法に基づき出典(ブログ名とURL)を明記してください。 無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、 表現や 情報、意見、 解釈、考察 ロジックや発想(アイデア)・ 視点(着眼点)、 写真・画像等も コピー・利用・流用することは禁止します。 剽窃厳禁。 悪質なキュレーション Curation 型剽窃、 つまみ食い剽窃もお断り。 複製のみならず、 切り刻んで翻案等も著作権侵害です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 7, 2023 03:42:01 PM
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