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カテゴリ:映画
あるシーンでは『SSU/블루』を想起し
ジョージ・クルーニー主演『マイレージ、マイライフ』も想起した。 人は旅で人生を学ぶ。 旅は人生、人生は旅、そして人はみな人生の旅人。 それが宇宙での旅でも... あらすじ 医師のライアン・ストーン博士(サンドラ・ブロック)は慣れない手つきで 地球から600km上空のスペースシャトル船外作業を続けている。 ベテラン宇宙飛行士マット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)も おしゃべりをやめライアンを手伝いに来たが 弾丸のように高速で飛んでくる人工衛星の破片、スペースデブリ(space debris/宇宙のごみ)の衝突や その連鎖反応、ケスラーシンドローム/Kessler Syndromeに巻き込まれ ふたりは絶体絶命の危機に追い込まれてしまう... 無重力空間(ゼロ・グラビティ)である空間から グラビティ(重力)のある地上に彼らは帰還できるのか... アルフォンソ・キュアロン/Alfonso Cuarón監督『ゼロ・グラビティ/Gravity』 子息のJonás Cuarónが共同脚本。 (以下、映画の核心に触れる部分もございます) 人生を、生き方を考えさせ哲学的。 その意味では『2001年宇宙の旅』も思い出させる。 スペースシャトルに結ばれたロープは命綱で 母親とつながるへその緒のようでもある。 へその緒が切れてしまった時、 ただひとり大地、ではなく 地に足の着かない無重力の宇宙に放り出された時 よりどころになるのは何か... 一難去ってまた一難が訪れる展開は先が読めなくもないけれど、 生存し帰還することを諦めかけたライアンを訪れた マットの幻はジョージ・クルーニーがアイデアを出し脚本にしたそう。 一瞬まさかと思った。SF過ぎる、と。 かつて4歳の娘を事故で失い どこか生気のない覇気のない生活を送り 殻に閉じこもってしまったようなライアンが その自分の殻に閉じこもったまま 広大無辺な宇宙に飛び出しそこでただひとり浮遊することになった時。 生きるのを諦めることは容易かった。 いっそ娘の許へ行こうか、と諦めるのはたやすい。 宇宙という涯のない開かれた空間に放り出されたからと言って 人間自身がオープンに開かれ、スケールが大きくなるわけではない。 しかし確実に来るとわかる死に対峙して ライアンはついに自身の閉じこもった意識やネガティブな考え方を 解放し開放できたようだった。 開かれた宇宙と 無重力 閉じられたちいさな宇宙船 無重量 そして閉ざされ頑なになった心や発想。 open/closeのモチーフがそこここに 象徴的に鏤められているようだった。 空間において開き開かれること閉じ閉じられることの意味や象徴性が ライアンの心の問題と交錯し反響する。 へその緒からは切り離されてしまったけれど 大気圏を抜けて再生する、もう一度生まれ生まれ変わるかのようなライアンの 新しい一歩が描かれている。 宇宙で答えを見つけるBildungsroman。 死についても 地上でのとつぜん訪れる死と異なり 酸素がなくなれば何分何秒後に死ぬと 正確に予測できてしまう宇宙での新しい死生観とその恐怖を提示。 いろいろな意味で哲学的だった。 一方、 宇宙でのルールは地上と、地球上と違っていておもしろい。 国境を感じない。 アメリカの宇宙飛行士は(ISSのために)訓練の過程でロシア語も学ぶそう。 かつて冷戦時代に東西対立していた国家間でナレッジ等共有もし 空の上では 着陸(軟着陸)マニュアルのファイルの色は緑、とファイルの色まで 共有され(共通化され)ているのが印象的。 ある種の共通認識、共通言語が宇宙では存在できる、 もしかしたら地上でよりも。 また、 (非常事態だからだろうが) 無人のシャトルにはノックもせずに乗り込むことができる。 同じような仕様の入口のバルブを回して開け 「ごめんください」と言わずに ロシアや中国のシャトルに乗り込む。 そんなボーダーレスな宇宙の描写も印象的だった。 女の子が森でクマの家を見つける。 誰もいないので入ってみる...という 「3びきのくま」も連想。 冒頭の息が苦しくなるような長回しのカメラ、 外からの、引いたカメラが ライアンのヘルメットの内側からの視点・カメラに転換するシーン、 無重量・無重力な宇宙船内で 涙がこちらに向かってまるい粒となって飛んでくるシーン、 宇宙のシーンはデジタル撮影だったが 地上の海(湖?)に着水してからは65mmカメラを使って撮影等、 Emmanuel Lubezkiと3D Visionのアダム・メイの丹念な仕事にも驚嘆。 『赤い薔薇ソースの伝説/Como agua para chocolate 』、原作も読むくらい好きだった。 エマニュエル・ルベツキ撮影。 映画が新しい技術と並走する。 2010年、『アバター/AVATAR』を観た時以下の通り書いていた、 キャメロン監督はインタビューで 自分が描きたいテーマを表現できる技術の発達を10年待っていた、 と言っていた。 スピリチュアルな世界観と最新技術の融合も清々しい。 技術の発展が 世界の監督たちの創造力と想像力、創作意欲に今後どうかかわってくるか、 に一番興味津々。 監督によっては製作スタイルがかわってしまうのか、 技術の発展が監督の製作スタイルを変えてしまうのか。 あるいは監督が技術の発展をリードし、コントロールするのか。 キュアロン監督もアイデアを映画で存分に表現するため 4年待ったという。 監督の念頭には 2007年1月の弾道ミサイルによる人工衛星風雲1号C破壊実験と それにより発生した2,841個以上のスペース・デブリ問題があったそうだが 映画の中ではロシアが人工衛星を破壊しスペース・デブリが発生する設定。 ロシアのソユーズ(ISS)にはウオッカ、 中国の天宮には卓球のラケットがあるのがご愛敬。 米ソ中の宇宙三強時代を感じる一方で アメリカのスペースシャトルにはインド系の宇宙飛行士も。 アメリカのIT企業の基幹を支え、活躍する多くのインド系理系頭脳を想起。 音楽もインド系作曲らしき曲がいくつか使われていたもよう。 『銀河ヒッチハイク・ガイド』に登場する 生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え=42が ライアンの宇宙服に書かれていたり 90分という周期も鏤められ 数字が象徴するものもおもしろい。 松尾芭蕉「奥の細道」も思い浮かんだ。 月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。 舟の上に生涯をうかべ馬の口とらえて老をむかふる物は、 日々旅にして、旅を栖とす。 古人も多く旅に死せるあり 旅に死せる宇宙飛行士もあり... 余談ですが... debrisってちょっと難しい綴り。 National Spelling Beeに出そう!? もうひとつ余談。 キャメロン監督と親しいキュアロン監督は エンド・クレジットでThanks toにキャメロン監督の名前を。 そしてデル・トロ監督の名前も。 ちなみにデル・トロ監督の『パシフィック・リム』のエンド・クレジットには キャメロン監督とキュアロン監督への謝辞。 ここから予言!?できるのは 間もなく製作開始される『アバター』続編のエンドクレジットには キュアロン監督とデル・トロ監督への謝辞が出るということ この3人の監督は親しいだけあって 映画の、映像表現の方向性に共通点がありそう、とあらためて... to be continued...!? buzz KOREA Click... にほんブログ村 韓国映画 にほんブログ村 映画 にほんブログ村 映画評論・レビュー にほんブログ村 韓国情報 にほんブログ村 K-POP にほんブログ村 Copyright 2003-2024 Dalnara, confuoco. All rights reserved. 本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は 著作権法に基づき出典(ブログ名とURL)を明記してください。 無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、 表現や 情報、意見、 解釈、考察、解説 ロジックや発想(アイデア)・ 視点(着眼点)、 写真・画像等も コピー・利用・流用することは禁止します。 剽窃厳禁。 悪質なキュレーション Curation 型剽窃、 つまみ食い剽窃もお断り。 複製のみならず、 ベース下敷きにし、語尾や文体などを変えた剽窃 切り刻んで翻案等も著作権侵害です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Sep 14, 2023 10:17:59 PM
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