|
テーマ:韓国!(16902)
カテゴリ:映画
港町ヨス麗水に派遣されその町の派出所長に就任したヨンナム(ペ・ドゥナ)は
汚れた制服で同級生にいじめられている少女ドヒ(キム・セロン)に出会う。 そんなある日 ヨンナムの住む借り家の扉をたたくドヒを 家に入れたヨンナムだったが... ソン・セビョク、キム・ジング、コン・ミョンら共演、 チョン・ジュリ정주리JUNG July監督初長編 『ドヒよ 도희야 A Girl at My Door』(2014年)を東京フィルメックスFilmexで。 フィルメックスで上映時の仮題は『扉の少女』。 来場者による邦題アンケートがありましたが... 2015年公開時の邦題は『私の少女』に決定。 イ・チャンドン監督プロデュース、 カンヌ国際映画祭「ある視点」部門などでも上映。 (以下、映画の核心に触れる部分がございます) 疎通できない、不通の時代である現代は 疎通できないことによる孤独感もあれば マイノリティゆえの孤独感もある。 孤独を感じる原因理由は 疎通できないから、不通だけとも限らないし マイノリティだからだけとも限らない。 このふたつは分かちがたく結びつき関連していることもある。 凹凸ふたつのピースのように。 パク・ジョンボム監督の『生きる 산다』は 不通の時代を描いているが チョン・ジュリ監督の『ドヒよ』も 不通、疎通できない現代社会で生きることの孤独を描きながら ひそやかな結び付きを描いている。 (『生きる』が結び付きを描いていない、ということではなく 『生きる』はまた別の結び付き、描写を経ている。 別途Review) チョン監督によると 「ドヒは自分が寂しいことを理解すらしていない。 それは、彼女がこれまで一度も誰かの愛情の対象になったことがないからなのです。 それとは対照的に、ヨンナムは孤独を充分すぎるほどに自覚していますが、 それを克服する方法を知らず、克服できるとも考えていません」 いじめられ疎外されるドヒの弱さと、 生き延びる、この泥沼のような地獄から脱しようとする強さ (嘘をついても自身を守る強さ)を 意志をいつか身に付けたドヒの姿は 全く同じ強弱とは言えないが 弱さと強さを表裏に併せ持つ、疎外者・マイノリティとしての ヨンナムと共通する。 仮面のように鎧のように警察官の制服に本心と弱さを押し隠す ヨンナムの強さ、 同性愛の元恋人も撥ね退け孤独に埋没し孤独不感症になるほどの強さと アルコール依存症になりかけそうな弱さのバランス。 扉をたたいた少女と 扉をたたかれた女性。 扉をはさんで 扉をたたく側開けてもらう側と 扉をたたかれる側開ける側のふたりの女性の魂が 疎外感や孤独感をもった鏡像のような相似形のような人格、魂で響き合い 引き寄せられているかのよう。相互作用も。 そしてドヒのたたいた扉を開けたことで ドヒに愛情を受けること知ることを教えてしまいおぼえさせてしまい ドヒを動かすきっかけを作ってしまったヨンナム。 地元警察官との会話の中で彼の一言、ドヒ評を聞いてはっとし、 ドヒをソウルに連れて行くことを 疾風の如く決意したヨンナムの心境、心の奥底には 共犯とまでは言い難いが... ヨンナム自身がドヒに及ぼした影響、愛情を覚えさせた責任を自覚しているとともに 互いの孤独と生きる知恵、秘めた強さを認め合う 暗黙の了解、共感・共鳴のように 秘密裏に手が結ばれているような孤独な魂の連帯、 疎外や孤独の反語の同志としての余韻、そこからの新しい生の始まりの余韻がある。 チョン監督が 「過去の一件があっても警察を辞めなかったヨンナムは 人間の尊厳を守るために最後まで辞めずに黙々と仕事をするはず」 と語っていたように 時に個々の利己心の衝突で生まれる社会の不寛容と不通や疎外感と逆行するような ヨンナムの愛情と同情入り混じる義心、良心が生む 連帯に、マイノリティの結び付きに希望が感じられる。 一方で ドヒの祖母と義父による家庭内暴力、児童虐待に ヨンナムのようなセクシャルマイノリティLGBTに対する偏見 外国人の不法就労問題と共に3Kのような仕事の慢性的人材不足等 韓国社会の問題を絡み合わせ 善悪二元論や勧善懲悪におさまらない立体感もある。 過去の韓国ドラマや韓国映画でも リュ・スンワン監督『血も涙もなく 피도 눈물도 없이 No blood No tears』 パク・チャヌク監督『親切なクムジャさん 친절한 금자씨』や 連帯せず同志にならず傍観者で終わった友人の登場するチャン・チョルス監督『ビー・デビル 김복남 살인사건의 전말』など 暴力に曝され苦境にある弱い女性同士手を結ぶしかない状況や共感連帯共闘する世界観の系譜を ある種受け継いでいる。 これらの作品からアクション要素を除き、 マイノリティであり疎外された者である弱き女性が 疎通しない社会で出逢い、 さまざまな意味や位相での同志として通じ共に歩いていく姿が... 現代社会の問題の先にある、神妙な出会いのひとつとして印象的。 バディもの、とまでは言わずとも 厳しい条件で働いていた現場のスタッフを 常に励ましていたペ・ドゥナをチョン監督が 「心強い同志」と賞賛したように 製作の現場も同志的な雰囲気があるようだった。 buzz KOREA Click... にほんブログ村 韓国映画 にほんブログ村 映画 にほんブログ村 映画評論・レビュー にほんブログ村 韓国情報 にほんブログ村 K-POP にほんブログ村 Copyright 2003-2025 Dalnara, confuoco. All rights reserved. 本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は 著作権法に基づき出典(ブログ名とURL)を明記してください。 無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、 表現や 情報、意見、 解釈、考察、解説 ロジックや発想(アイデア)・ 視点(着眼点)、 写真・画像等も コピー・利用・流用・盗用することは禁止します。 剽窃厳禁。 悪質なキュレーション Curation 型剽窃、 つまみ食い剽窃もお断り。 複製のみならず、 ベース下敷きにし、語尾や文体などを変えた剽窃、 リライト、 切り刻んで翻案等も著作権侵害です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jan 22, 2024 03:22:25 PM
[映画] カテゴリの最新記事
|
|