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カテゴリ:映画
あらすじ
全米屈指の名門シャッファー音楽学校へ入学し ジャズドラマーを目指すニーマン(マイルズ・テラー)は 鬼教師フレッチャー(J・K・シモンズ)に目をかけられるが やがて猛烈なシゴキが始まり... メリッサ・ブノワほか共演 デミアン・チャゼル Damien Chazelle脚本・監督(初長編作品) 『セッション Whiplash』(2014年) (以下、映画の核心に触れる部分もございます) 結局、音楽は好きだけれど 功名心を満たすために精進しているのが ニーマンだけでなく フレッチャーにもあると徐々にわかって... (前者は演奏者として 後者は指導者として名を挙げること) お互いに利用し合って、のし上がろうというところもあったのではないか。 そんな打算的な関係もほの見え、 共依存的な際どいバランス、綱渡りのような関係も示唆されるが... おもしろかったのはテンポについて。 このテンポもあのテンポも違う。 テンポは指導者の恣意的な感性・感覚、主観でもあるのだが... 高校生の頃読んだ「臨済録」や「碧巌録」の公案、禅問答を想起させて スリリングだった。 道得也三十棒。道不得也三十棒(答えても三十棒、答えんでも三十棒) の世界を彷彿とさせる。 論理では割り切れない禅問答と 対比され得るようなFxxkin' Tempoの不毛さ。 クラシックを聴く人なら同じ曲でも指揮者によってテンポが異なり 色が違うことがわかるはず。 それと同じ。 テンポも速度や時間が支配しているようで ある部分は主観的で恣意的で相対的。 楽譜とメトロノームを超えている。 オレの主観とお前の主観に分かれたテンポは さらに音が空気を振るわせて相手のところに届くまでのわずかな時間の差も 誤差のように隔絶をもたらすのでは...と (観ながら思わず 1気圧 0℃での音速331.45m/sで 彼らの間の距離2~3mの場合 0.006~0.0091秒の差があるなぁと考えてしまったり...) テキストを取り囲むメタ・テキストもコンテクストも テンポのような誤差、隔たりと差異を抱えて、抱え込んでいる。 オレの主観とお前の主観に分かれたテンポ、Fxxkin' Tempoは 互いの意図の誤差やコミュニケーションの断絶の暗喩のようにも思え 興味深かった。 バンドをリードするドラムと指揮官=指揮者間の 壮絶なエゴのぶつかり合い、リードの取り合いのセッションの果てに 音楽的得心、悟りはあるのか、救いがあるのかはわからないが... 逢佛殺佛 逢祖殺祖 逢羅漢殺羅漢 逢父母殺父母 逢親眷殺親眷 始得解脱 (仏に逢うては仏を殺し、祖に逢うては祖を殺し、羅漢に逢うては羅漢を殺し 父母に逢うては父母を殺し、親眷に逢うては親眷を殺し、始めて解脱を得ん)的な... 退学や解雇を経て 功名心と我欲、エゴが(少し)削ぎ落とされた 向こう側のひとつの境地にハードランディングした趣。 ある種の諦念に脱我、解脱を経た(まだ終点ではないが) 階段を一段上った境地での 小さな光のようなセッション。 道はまだ途上、特にアンドリューにとっては。 でも、トンネルを抜けたような ひとつ公案、禅問答を経て (対等な)セッションという疎通が可能になったカタルシスはある。 ステージ上でやり返して 対等に疎通して行くセッションが形になって行く 進行形、プロセスを観るクライマックスは思わずにやりとしてしまった。 同じ穴の貉のセッションゆえに、思わずにやりと。 そして、アンドリューはこれからなのだろう、 道は続くのだろうという余韻が感じられる。 言葉について二点。 ジャズの練習現場では 或いはフレッチャーの現場では faggot等 演奏者をゲイ呼ばわりし打ちのめす (地域=州差別もあるが)罵倒が多くて驚く。 それは、まさかジャズ界の習わしなのだろうか... あるいはアメリカのすべての男社会の煽り文句は そのように性的少数者を貶める傾向なのだろうか、ちょっとげんなり。 音楽院の場合はアメリカの大学のようにFreshmanは 使わないようだ... モーツァルトの頃から音楽は名声 Fameの種で 飯の種だから 今さらジャズだけもっと純粋と、ナイーブな顔をするのも... 最近 ジャズ聴きに行っていない... 映画を観てドラムをしたくなったけど! 打楽器はチャング(杖鼓)とスティールパンしか経験がないのだけれど... 主演のマイルズはややザッカーバーグ顔ですね д・) 花の公案 口切 炉開きの頃 掬水月在手弄花香満衣 buzz KOREA Click... にほんブログ村 韓国映画 にほんブログ村 映画 にほんブログ村 映画評論・レビュー にほんブログ村 韓国情報 にほんブログ村 K-POP にほんブログ村 Copyright 2003-2023 Dalnara, confuoco. All rights reserved. 本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は 著作権法に基づき出典(ブログ名とURL)を明記してください。 無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、 表現や 情報、意見、 解釈、考察 ロジックや発想(アイデア)・ 視点(着眼点)、写真・画像等も コピー・利用・流用することは禁止します。 剽窃厳禁。 悪質なキュレーション Curation 型剽窃、 つまみ食い剽窃もお断り。 複製のみならず、切り刻んで翻案等も著作権侵害です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Dec 12, 2022 04:27:50 AM
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