「映画監督:深作欣二」特集上映で
結城昌治原作
左幸子、丹波哲郎主演
深作欣二監督『軍旗はためく下に』を。
推理小説家でハードボイルド小説の先駆者と言われた結城昌治原作だからだろうか、
芥川龍之介の「藪の中」的内的多元焦点化(polyperspectivity)構造 / 手法で引き込まれる。
戦地で処刑された夫(丹波)の真実とは...
戦争未亡人(左)は戦友たちを訪ね始めた。
「藪の中」構造に取り込まれミステリのように眩惑されるのは
原作小説の読者や映画の鑑賞者だけではない。
責任を取るべき者が誰も責任を取らないあの戦争、
そしてその曖昧模糊とした戦後で
地獄へ奈落の底へ突き落された庶民の人生、生活そのものも「藪の中」。
国家自体が「藪の中」ゆえ
行き場のない怒りもぐるぐるとカタルシスに到達しない。
ましてや、現在の日本を見れば
映画の中で「A級戦犯が首相になれる」と喝破された体たらくを
今なお引き摺り、当時とも戦前とも地続きという現実が露わにもなる。
映画に登場する世田谷の閑静な住宅街。
晩年の深作監督にその町の某店で遭遇したことがある。
何事もなかったかのように、のうのうと「戦後」を享受するあの人物を
この高級住宅街で撮影したシーンは
「A級戦犯が首相になって!」というセリフの背後に連なる怒りが
あらためて込められ、念押しされている気もした。
映画で描かれたニューギニア戦線との落差も凄まじい。
観る人が見れば、あの人物があの場所で、と二重に怒りもわくロケーションだから。
中村翫右衛門が悪役だった。
ミキ・デザキ監督『主戦場』で
日本軍が従軍慰安婦(や慰安所 ← 中曽根元首相らの証言は残っている)に関与したことを示す資料が
残っていないのは、敗戦直前などに焼却されたから(大意)といった話も出て来るが、
より戦後に近い時代の『軍旗はためく下に』では
7割方は文書焼却したから、というセリフを
厚生省(当時)官僚が放言していた。
戦後はこのような事実が広く共有、当たり前のように認識されていたのだろう、
歴史修正主義者・歴史否定主義者たちが跋扈する前は。
to be continued...!?
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