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2019.06.26
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ロシア疑惑調査を指揮したロバート・モラー元特別検察官(5月29日に辞任)がとうとう下院議会で証言することに同意した。この議会証言については数ヶ月にわたって下院民主党と交渉を続けていたが、とうとう召喚状を受けて証言する、という形で決着した。これは形だけの召喚状ではない。つまり召喚状が出されなくても私は喜んで証言しますが召喚状があった方が立場上証言する格好がつくから出してください、というものではない。モラーは心の底から派手なことが嫌いで、自分の仕事はすべて報告書に書かれている、だから召喚状が出れば仕方がないので証言しますよ、という渋々の出頭なのだ。証言の日時は7月17日の午前9時(東部時間)。二つの委員会で証言する。一つは下院諜報委員会(Intelligence Committee)、もう一つは下院司法委員会(Judiciary Committee)。現在の下院の勢力分布から、もちろん両委員長とも民主党の議員である。その専門分野から推測して、諜報委員会がモラー報告書の第一部、ロシアの選挙介入、を担当し、司法委員会が報告書第二部、大統領らの司法妨害、について質問するのだろう。

さて、モラーの証言は果たしてトランプ氏を窮地に陥れるような新事実を引き出すことができるだろうか?この可能性があるかどうか、モラーの辞任の時の声明を聴くとある程度予想ができる、と思う。

およそひと月ほど前の5月29日、辞任に際してモラーが約9分のスピーチをした。そこできっぱり言明したことは、モラーとそのチームの調査の結果は全て報告書に書かれてある、という点だ。要約すると、まずロシアの選挙介入とトランプ選挙チームとの共謀については、その存在を証明する十分な証拠はない(もちろんロシアの選挙介入そのものは逮捕者も出ているし完全に証明されている)。次に、トランプ氏の司法妨害については、非常に回りくどい書き方だが、if we had had confidence that the president clearly did not commit a crime, we would have said so. We did not, however, make a determination as to whether the president did commit a crime、と言っている。「もしも大統領が(司法妨害の)罪を犯していないということに我々が確信を持っていたら、(報告書に)そう書いただろう(ここは仮定法過去完了なので、「そうは書かなかった」という意味)。しかし、我々は大統領が罪を犯したかどうかについて、我々は決定を下さなかった。」つまり、司法妨害を犯したことを黒、犯してなければ白とすれば、白ではない、と断定しているのだ。じゃあ、黒と言えばいいじゃないか、なぜ黒と書かなかったんだ、と疑問に思うだろう。その理由について、モラーは続けて述べている。

It explains that under long-standing department policy, a president cannot be charged with a federal crime while he is in office. That is unconstitutional. Even if the charge is kept under seal and hidden from public view, that, too, is prohibited. これについては以前に書いたことで、現職大統領は連邦法の犯罪には問われない、という司法省内部の憲法解釈があるから、もし大統領が黒でも黒とは言えない、ということだ。その事実を秘密文書にしておくことさえ禁じられている、と言っている。だから、モラー報告書は「大統領は黒だ」とわかりやすく書かなかったのだ。

これがモラーの結論なので、優秀で昔気質でかつ一徹な司法官僚モラーはこの姿勢を貫くだろう、と予想される。そうすると、新事実を引き出す可能性は低いと言わねばならない。

僕の考えでは、次のような質問が唯一民主党の大統領攻撃の助けになるだろう。「あなたは次のように言っている。憲法に規定されているように、もしも現職大統領が悪事を働いた場合、刑事司法とは別にもう一つの手段で追及することができる、と(the Constitution requires a process other than the criminal justice system to formally accuse a sitting president of wrongdoing)。これはもちろん議会での弾劾制度のことだが、あなたの見解では報告書にある大統領の司法妨害と考えられる行為は弾劾に値しますか?」

果たしてモラーがこの質問にまともに答えるかどうかはわからない。「弾劾に値するかしないかはあなた方議員がきめることだ」と躱すかも知れない。仮に「弾劾に値する」と答えたとしても、アメリカの良識が現在置かれている危機的状況では、大した影響力を持たないかもしれない。アメリカが今まで築いてきた<良識>を礎にした政治・社会は、現職大統領の行動で破壊されつつある。壊された<良識>の瓦礫の上に急場しのぎの論理(というか屁理屈)が蔓延っている。良識は偽善だ、責められたら責め返せ、わるい報道が出たらフェイク・ニュースと決めつけろ、嘘がばれたら別の嘘をつけ、悪者は移民、非アメリカ、非白人、非男性だ。こんな状況で、仮にモラーの証言で民主党が勢いづいて弾劾審議に突入したところで(そして可決したところで)、世論は盛り上がらず上院の共和党はその鉄面皮を外す必要性も感じないだろう、と僕は悲観するばかりだ。





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最終更新日  2019.06.26 20:12:36
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