|
テーマ:映画館で観た映画(8350)
カテゴリ:洋画(さ行)
原題: BECOMING JANE 監督 : ジュリアン・ジャロルド 出演 : アン・ハサウェイ 、 ジェームズ・マカヴォイ 、 ジュリー・ウォルターズ 、 ジェームズ・クロムウェル 、 マギー・スミス 観賞劇場 : TOHOシネマズシャンテ (TOHOシネマズ1か月フリーパス鑑賞 14本目) 公式サイトはこちら。 <Story> 1795年、イギリス・ハンプシャー。 オースティン家の次女ジェイン(アン・ハサウェイ)は、裕福で家柄のいい相手との結婚を望む両親に迫られ、地元の名士レディ・グリシャムの甥との結婚をしぶしぶ検討していた。 そんな時、ジェインはロンドンで法律を学ぶアイルランド人の青年トム・ルフロイ(ジェームズ・マカヴォイ)と出会う。 彼は知的だが貧しかった。 しかし、強い独立心を持つジェインに、トムは徐々に惹かれていくのだった。 ジェイン・オースティン 秘められた恋 - goo 映画 <感想> 文芸物&アン・ハサウェイということで、これも見逃せない1本。 韓国ショーケースのあとについでに観賞してきました。 『プライドと偏見』 『ジェイン・オースティンの読書会』 などは最近公開されたジェイン・オースティン関係の映画ですが、どれも自分自身に降りかかってくる事柄を通じて、内省する主人公たちの姿が描かれています。 そしてそれはジェインの生き方そのものでもありました。 まして今とは、女性が自由に生きることは比べ物にならないくらい不可能な時代。 イギリスですから階級社会は厳然として存在していました。 同じ貴族の中でも格付けはゆるぎない。 そして貧乏な家、男子のいない家系は容赦なく淘汰されていってしまうのです。 どこに私が生きる場所がある・・・? 当時の女性たちの恨み節が聞こえてきそうですが、彼女たちはみな、自分の運命を甘んじて受諾していかざるを得ませんでした。 その中で、横紙破りをするなどということはすなわち貧困を、引いては死を意味するのでした。 自分の生き方が自分だけにはとどまらない。 その当たり前のことは、こんなに自由な現在では忘れていることが多いかもしれません。 ですが当時はそうはいかなかった。 女性が自分で生計を独立して立てていくというと、『ミス・ポター』 などもそうでしたが、文筆ですとか、手に職がないと当時は無理。 自分を縛る伝統から抜け出して自由を手に入れるには自活するしかなかった。 しかし同時にあきらめないといけないものもあった。 全てを承知して彼らが出した結論は、当時の選択としては至極真っ当なものではあるけれど、一生抱えないといけないものも背負うことになる。 その苦しみをジェインは筆に込めたのだと思いました。 ラストの邂逅では、ジェインもトムも、語らずしてお互いの心が読める同士になっていたのでしょうか。 ジェームズ・マカヴォイは相変わらず文芸物でもとってもピタリとしていて素敵でした^^ あの瞳に見つめられたらやっぱりいいもんですね(笑) 当時の、型にはまらない貴族ぶりはなかなかよかった。 イギリス文芸映画には当分彼は登場しそうです。 お金はあるけれど唐変木みたいな男と、ハラハラやんちゃだけど女心を離さない男と。 どうしてこうも人生の選択は極端なんでしょうか。 でもやっぱりずっと一緒にいるわけですから、一緒にいたい人を選ぶのは当然。 その揺れる女心もこの映画の大事な部分でもありました。 こういう映画を見るにつけ思うんですが、昔の人は必ず自分の範疇を超えることはしなくて、この時代も、さまざまな葛藤はあったと思うが、それでも自分の天命を全うしているのだなと。 『クララ・シューマン 愛の協奏曲』 なんかも、どこまでも自分の与えられたものに沿っていくんですね。 このジェイン・オースティンもまさにそうで、逆に、叶えられなかった想いや葛藤などをペンにぶつけていったのかもしれません。 これの予告を見て、思いっきりアメリカンなアン・ハサウェイが、これまた思いっきりイギリス文学の象徴のようなジェイン・オースティンを演じるのって大丈夫なんだろうか? と正直一瞬思ってしまいました。 ご両親役の2人とあまり顔立ちが似てなかったのも気になったし。 ですが、ブリティッシュ・イングリッシュの発音に近づけようと彼女が頑張っていたのはスクリーンでも観て取れます。 そして、18世紀の時代に文筆で自己表現しようとしたジェイン・オースティンの葛藤を、彼女は自分の中で消化しようとしているんですよね。 『レイチェルの結婚』 で、今までのイメージから大きく脱却していきたい彼女の姿を見ましたが、今回のこの作品もまた、旧きものに果敢にチャレンジした、彼女の軌跡となる1本でした。
今日の評価 : ★★★★ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[洋画(さ行)] カテゴリの最新記事
|