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テーマ:映画館で観た映画(8351)
カテゴリ:洋画(さ行)
原題: MESRINE: L'INSTINCT DE MORT/MESRINE: PART 1 - DEATH INSTINCT (ノワール編) MESRINE: L'ENNEMI PUBLIC N°1/MESRINE: PART 2 - PUBLIC ENEMY #1 (ルージュ編) 監督 : ジャン=フランソワ・リシェ 出演 : ヴァンサン・カッセル 、 セシル・ド・フランス 、 ジェラール・ドパルデュー 、リュディヴィーヌ・サニエ 、 マチュー・アマルリック 、 オリヴィエ・グルメ 鑑賞劇場 : TOHOシネマズシャンテ (TOHOシネマズ1か月フリーパス鑑賞 15・16本目) 公式サイトはこちら。 <Story> [Part1]1959年、アルジェリア戦争に行ったジャック・メスリーヌ(ヴァンサン・カッセル)は上官の命令で初めて人を殺した。その後、パリに戻ったメスリーヌは、幼なじみのポール(ジル・ルルーシュ)に誘われて歓楽街へ繰り出し、娼婦サラと出会い関係を持つ。そして父親(ミシェル・デュショーソワ)が紹介してくれた堅気の仕事もさぼり、ポールの“闇商売”=強盗に手を出し始めたメスリーヌは、元締めのギド(ジェラール・ドパルデュー)を紹介してもらい、さらに犯罪に手を染めていく…。(作品資料より) [Part2]1973年3月、フランスに舞い戻ったメスリーヌは、旧友の“空母”ミシェル・アルドワン(サミュエル・ル・ビアン)と銀行強盗を重ね逮捕される。刑務所からコンピエーニュ裁判所に出頭したメスリーヌは、奇抜な手を使って脱走を成功させ、フランスでも〈社会の敵No.1〉と呼ばれるようになる。そんな彼だが、父親が重病と知ると、医師に変装して入院先に忍び込み、「何があろうとお前は私の息子だ」という父親の言葉に泣き崩れる…。(作品資料より) <感想> 昨年のTIFFでもかかってたんですが、ぼーっとしていた私はこれをチェックするのを忘れてしまい、あえなく撃沈。。。 いつ公開かいつ公開かと首を長ーくして待ち焦がれてましたが、ようやく1年後に公開。 昨年の邦題タイトルは『パブリック・エネミー』でしたが、これは12月公開のジョニデの『パブリック・エネミーズ』に配慮しての変更? ま、それはどっちでもいいのですが、しかしながら長い邦題ではある(笑) (・・・と、まだ11月の日記書いてますが。。。) これ、もうキャストを聞いただけでも、フランス映画好きさんには垂涎の作品かも。。。 と感じるけどどうでしょうか? だってマチューも出るし、セシル・ド・フランスも『モンテーニュ通りのカフェ』では可愛かったし、それにヴァンサン・カッセルだし。 これはやっぱりどっかで時間作って観ないとなあ・・・ と思いつつも、2本ぶっ続けで合わせて4時間半? 5時間?ともなるとこれはもう1日仕事、『愛のむきだし』級の騒ぎですんで(笑)、どっかで1日作らないといけなかったですね。 分割して鑑賞はあり得ない作品です。 最初、Part1の冒頭で出てきたカッセルがやたら太っていたような印象があり、何で? と思ったら、何と20kg増量してこの映画を撮り始めたとのこと。 そしてPart2から撮影を開始して、だんだん痩せて最後にPart1を撮ったらしい。 実にうまい減量方法だと感心する。 彼は『イースタン・プロミス』なんかだと背が高くて痩せているっていう印象があったんで、この増量は大変だったと思いましたが、それだけの変化を織り込んで作っていくと時代に真実味が出てきます。 若くて夢があった時代と、そして自己顕示欲にまみれた晩年と、生きていく中で心情も変わって容貌にもそれが出ないわけはないし。 改めて言うまでもありませんが、メスリーヌは「悪人」で、その是非をここであまり取り上げるつもりはありません。 そして彼が悪人になってしまう経緯も(映画の中では)非常に軽めの気持ちでなっているんじゃないかくらいのノリなんでしょうね。 実際のメスリーヌを調べてないのでそのあたりは推測ですが。 ドイツ赤軍などとの比較もありますが(『バーダー・マインホフ 理想の果てに』参照)、基本的に彼が悪の道を歩き始めたのは思想がきっかけではないので、そこは根本的に相容れないものだったに違いない。 むしろ彼の両親、特に父親との関係が彼を歪ませてしまった訳ですから。 ところが彼が全くの悪人には感じられなかったのが、この父親との邂逅。 根底では愛されたいという願望がいっぱい。 寂しかったのかな? ならばどうしてそのエネルギーを他で使わないの? と問いかけたくなってしまう。 これだけ仕事が早くて人が集まってくるんなら、他でも成功しただろうに。 彼がこの道に入ったきっかけがそうだっただけに、わざわざ目立つ方法を選んだりするのは、たぶん父親への復讐の要素もあったと思う。 だから、マチュー・アマルリック演じるフランソワ・ベスと意見が割れるのは必至だった。 泥棒なんて目的が達成されればそれでいいのに、それに余計なものをいつも持ち込むメスリーヌは、ベスにとってはあり得なかっただろう。 注目されたいということはそれだけ見つかる確率も高くなるのに、彼はそれはあまり考えてなかったのだろうか。 ラストはボニー&クライドを彷彿とさせますが、どういう訳か映像として観ていると、むしろそれが当然の帰結のようにも思えてくるし、あらんことか美しさとか潔さまで感じてしまう。 今回マチューは完全に脇役的なスタンスだったからさらっと流してましたが、彼はこういう悪い男が似合ってきちゃってますね。 そして『DISCO』のサミュエル・ル・ビアンがこんな風になるとは!(笑) 彼もかなり変身してた。 そしてやっぱり女性陣かなあ。。。 最初の妻のソフィア(エレナ・アナヤ)とのシーンはまるで恋に恋する2人みたいだったし、ジャンヌ(セシル・ド・フランス)との関係は、ソフィアとはまるで違う、目的のためのクールなもので、その対極にパッションがあったものだし。 そしてラストで壮絶な演技をするシルヴィア(リュディヴィーヌ・サニエ)は、コケティッシュな魅力と、小柄がもたらす可愛らしい感じがミックスして、小悪魔っぽい女性を演じてました。 この3人の女性たち、まるで違うタイプなのに、その時々ですっかり彼女たちにぞっこんになってしまう、というか惚れさせてしまうメスリーヌの魅力って何なんでしょうね。 それはカッセル自身の魅力がそう思わせるのかもしれません。 前篇後篇、日にちを一緒に公開するのはいいことだと思います。 年が明けてからとか、半年経ってから公開だと、忘れますし流れも思い出せないし。 それにしても2本合わせてたっぷり4時間(!)、存分にヴァンサン・カッセルの魅力を堪能させていただきました。 だからもう、モニカ・ベルッチの旦那とか言わせたくないですね。 迫力ある悪い男が彼には似合う。 彼もこの役にたぶん全身全霊で臨んでいたと思います。 本当にお疲れ様でした。 個人的には大満足^^ やっぱり観てよかった~。
今日の評価 : ★★★★☆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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