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テーマ:映画館で観た映画(8350)
カテゴリ:洋画(か行)
原題:UN CONTE DE NOEL 監督:アルノー・デプレシャン 出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジャン=ポール・ルシヨン、マチュー・アマルリック、アンヌ・コンシニ、メルヴィル・プポー、エマニュエル・デュヴォス、キアラ・マストロヤンニ カンヌ国際映画祭2008特別賞受賞(カトリーヌ・ドヌーヴ) 鑑賞劇場 : TOHOシネマズ六本木ヒルズ 「フランス映画祭2010」 公式サイトはこちら。 <Story> クリスマス。それは家族が集まる日。 ヴュイヤール家では、母ジュノン(カトリーヌ・ドヌーヴ)の病気をきっかけに、疎遠になっていた子供たちがクリスマスを過ごすために家に集う。 しかし“役立たずのアンリ(マチュー・アマルリック)”の登場で聖夜は台なしに……。 大人になっても彼らは誰もが迷える羊。 それでも迷いながらぶつかりながら家族に美しい朝は訪れる。 大女優ドヌーヴをはじめ豪華キャストで贈る深く豊かな人間讃歌。 (2010年秋 恵比寿ガーデンシネマ他全国順次ロードショー) <感想> この豪華キャストを見れば、明らかに今回の映画祭の目玉作品の1つと言えるでしょう。 オールスター出演といった感じ。 このオールスターキャストで一体何をするのか。 これがハリウッド映画なら、うんとゴージャスに行ってしまいそうですが、そうそう一筋縄ではいかないところがフランス映画。 クリスマスに家族が集まる。 日本では盆暮れに集まるように、欧米ではそれがしきたり。 だが家族が集まるということは、それだけ事情が集まるということこの上ない。 決して、家族が大勢集まるところが仲よしこよしだけということはない。 むしろその逆、問題多すぎたりああだこうだと揉めたり。 そういうことの方が多いのではないだろうか。 それにしてもここに出てくる家族たちはみんな微妙に仲が悪い。 たぶんお互い嫌いじゃないんだろうけど(→ 例外もあるが)特別慈愛に満ち満ちているわけでもないようだ。 まあこんなもの、という感覚で暮らしている。 そしてその例外の部分、すなわちアンヌ・コンシニ演じる姉とマチュー・アマルリック演じる弟の溝の深さ。 そこには理由があるのだけど、それにしても一体どうしてこうなっちゃったんだろう? と、その理由自体を流してもいいようにも思う。 そのことにこだわって先に進めない姉、と取れなくもない。 この、あまり仲が良くない一家は、母親の病気がきっかけでクリスマスに集まる。 そこで話し合われた結論は、助かる要素があるなら病気と闘おう、ということ。 余命の話まで出ているというのに、当のご本人も他人事のように涼やかな顔だし、周囲も「助かって当然」のような闘病の仕方を勧める。 そもそもカトリーヌ・ドヌーブがあまり重病人には見えないので(笑)、病気を受け入れるんじゃなくてあくまでも「元気になるに違いない」的スタンスでやっていくのかなー? と思ってしまう。 そして家族たちも母を助ける気満々。 「助からない訳がない」くらいの勢い。 ・・・・と、ここまで書いてから約1週間も放置してしまった(苦笑) 多忙&体調不良もあったんですが、それ以上にこのレビューを書くに当たって私を悩ませたのは、あまりにも多要素が詰め込まれていて自分の中で整理ができなかったから。 デプレシャン監督は、多くの要素を取り入れ、そしてその中に適応できない要素も取り入れるのが好き、と仰せでした。 ただしあとからこうして振り返るときには、すごい複雑ーーーw 何がどのオマージュで、ギミックで、伏線で、むーーーん考え始めると交通整理ができない(→ のは私だけ? 笑) トークショーでは、聖書や戯曲も混ぜるのが好き、ということでして・・・。 頭のよい方なのでしょうね。 そう言えば、ラストのアンヌのつぶやきなどはシェイクスピアの「真夏の夜の夢」の パックを連想してしまった。 あれは確か「それでは、これにて、パックがお届けいたします・・」 とか何とかじゃなかったかな? あんな感じ。 そう、全体に目指しているのはその線なのかもしれない。 極端に仲が悪そうと見せかけて、そしてそれを見ていても気分スッキリ爽快じゃないんですが(笑)、でもよくよく考えてみるとその居心地悪さっていうのは観客の日常なのではないだろうか。 自分たちの雰囲気の悪さをミラーで見せられているが故の、割り切れなさ。 それこそ現実でもあるんだけど、私たちはそこから目を背けてしまうのです。 そしてひたすらふんわりとした「わかりやすい映画」に走って行ってしまう(笑) たぶん、現実にも家族関係を改善しようという気持ちがないからそうしてしまうんでしょうね。 その居心地の悪さまでもが計算ずくの演出であるのなら、逆にこれほどリアルなものもなく、 「紋切り型が嫌い」なデプレシャン監督の意図としては成功しているのではないだろうか。 現実はこう、だけど少し夢も持たないとね。 そういう彼のつぶやきが聞こえてきそう。 だから私たちは、煙に巻くようなラストであっても違和感がなく、希望を持って見終えることができるような気がする。 いくつものプリズムが折り重なるところは、時に不明瞭だったり美しくなかったりもするけれども、 それでも極めたところにハーモニーが待っているとするならば、 それを見てみたいと思わせてしまう。 うーん、やられた。 これには唸ってしまいました。 今回は朝早くから並び、サイン会の整理券をいただきました。 マチューに会いたい! その信念だけが私を動かしました(笑 サイン会は、デプレシャン監督、お姉さん役のアンヌ・コンシニさん、 そしてアンリ役のマチュー^^ 結構写真を撮るための制約が厳しくて、なかなかいい画像がありませんでしたけど、 少しだけ。 まずはアンヌさん。 サイン中。 笑顔が素敵な女優さんです。 そしてマチュー! 『潜水服は蝶の夢を見る』のパンフにサインしていただきました。 かなりお疲れのご様子でしたけど、ありがとうございます。 握手もしていただいちゃった~ *********************************** 今日の評価 : ★★★★ 4/5点 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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