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カテゴリ:こんぺいとう〜世界一周ひとり旅
*一千万円!? 「だめよ。ダメダメ」 ケイタイの相手の裕子の声がした。
「ダメなの?」 靴下を取り上げながら鞠子は 「何のこと?」 「旅行のことよ。ねェ、いいでしょう?」 「別に私に聞かなくたって。でも誰といくの?」 「初めての一人旅」 「えーっ」 「それは大丈夫。はじめは一人でも向こうに行けば沢山いるの」 「ああ、団体旅行ね」 「あのねェ、もう少しオシャレな呼び方あるでしょ」 「はぁ?」 「一千万円もかかるんだから」 鞠子はギョッとした顔になる。ケイタイの 向こうでピンポーンと鳴った。 裕子の自宅は二階。裕子は二階の玄関を開けながらケイタイを切った。 ドアを開けると宅急便屋がお辞儀をした。 「お兄さん、ありがとうねェ」 何束もの段ボールを宅急便屋が持っている。 「他にもあるんですけど、持ってきていいんですか?」 「お願い」 「お引っ越しですか?」 「昔の私とお別れするの」 「えっ?」 「いやねぇ。離婚じゃないわよ」 裕子ははしゃいだ。まるで子どものようだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.02.21 04:21:53
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