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2007.06.22
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カテゴリ: *高岡ミズミさん
高岡ミズミさんの、『太陽の雫』を読みました。
『太陽と月の背徳』の続編というより、この‘太陽と月’シリーズの幕間といえるかと思います。

天帝となった莉央は、未だ莉央の即位に承服仕切れぬ閣僚の厳しい目に曝されつつも、天帝としての勤めを日々果たしています。
その生活は籠の鳥に等しく、唯一の楽しみは大国ガルドの大帝であり莉央の後見人となった叡帝の、月一回の謁見でした。
天帝である以上、万世一系の血統を絶やしてはならず、大神官より遠からず託宣される許婚について考えぬわけではないもののそれは義務感しかもたらさず、今は叡帝と在る事が莉央の悦びになっていました。
謁見を終え自国に戻った叡帝の元に、ガルド軍を率いる将軍であり幼馴染でもある悠仁が伺候し、前の天帝を巡る謀反により元首が不在となったエスタルより、一人の孤児を連れ帰った旨が奏上されました。
孤児の境遇に、初めは冷淡な態度を装っていた叡帝でしたが、悠仁に連れられて現れた少女を一目見るなり衝撃を受け、そして、叡帝は少女に後宮を与えるのでした。
やがて、国の内外に噂が広がっていきました…叡帝はエスタルの孤児を正妃に迎えるらしい、と。

莉央は、天帝としての己の運命を受け入れています。
ともすれば個としての自分を否定されそうな状況で、心知ったものは僅か目付け役の安坐のみという境遇にありながら、莉央らしく生きようとしています。
心の支えは、かつて懸命に己を守ってくれ、未だ旅の空に在る月花の面影でした。
そして何より大きいものは、叡帝の存在でした。
その噂は最も遅く莉央にもたらされ、驚愕し呼び出してみれば、叡帝は当の少女を伴う始末。
かつて「比翼連理」と誓った心を見失い、莉央は怒りと哀しみに苛まれ迷うのですが、しかしちゃんと己の心を自ら見出します。
そして冷静になって、改めて叡帝の真意を問い質す為、ガルドへ出向きます。
莉央は、天帝という地位も、そして未だ成長過程にある己自身も、ちゃんと自ら受けとめ考え見出し、全て把握し更に高みに向う事が出来る少年になっていました。

対する叡帝は、反対に未だ自ら立とうとしません。
これ程の強大な力を持ち、自身の器量も並外れている以上、ひとたび大帝の命が下れば歴史は容易く変わるでしょう。
ところが、叡帝の意図は未だ見出せず、それもおそらく叡帝自身が野望を持たぬ故と思えます。
叡帝は、未だに過去に囚われ、父帝の罪を己の罪の如く負い、そして父帝殺害の苦しみをなぞり続けています。
何故、叡帝は自分自身を肯定できずにいるのでしょうか? 
自らの帝号を「えいだい」と読ませ、己の存在を自ら辱め否定するその心が、どうしても読み切れないのです。

そんな中で、一つの動きがあった事は、やはりこの後に重要な意味を成すとしか思えません。
言うまでもなく、エスタルの孤児であった玲凛という少女の登場です。
天帝との関係をカムフラージュする存在なのか、もしくは天帝妃として後宮政治に乗り出すのか、といった生臭さはどうも感じられません。
やはりこれは、叡帝の精神の開放の為の存在ではないかと感じています。
叡帝は、父殺しの裁きが自らに下るよう切望している節があります。
同時に、溺愛していた幼弟をむざむざ死なせてしまった悔恨が根深く、その事がますます自分自身を縛り付けているように思えます。
つまり、一言「許す」と言われれば、凝り固まった心が解けていくのではないでしょうか?
その許しは、弟にこそ望んでいるでしょう。でも、死者は既に過去の存在であり、未来のものではないのです。
失った弟の代償である玲凛の未来に仮託して、叡帝が未来を改めて見つめられるようになった時に、物語はまた違う動きを見せるのかもしれません。
既に、叡帝の比翼の片方である莉央は、未来に向っているのですから。

あきらかに台頭してくる、天帝としての莉央。
未だ蹲りながら、強大な存在である叡帝。
自らの存在証明の為に彷徨い、未だ戻らぬ月花。
叡帝に忠誠を誓い、最強の具現である、揺るぎなき悠仁。
そして、生死が判明していなかった、謀反の主犯であるエスタル元首の目撃談。

新たな展開に向って、物語の芽は吹き初めています…四つ葉

 『太陽の雫』 2007年6月 講談社X文庫ホワイトハート
  高岡 ミズミ * 水名瀬 雅良





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Last updated  2007.06.22 14:12:27
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