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2007年01月30日
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カテゴリ:坂田 博昭

 昨年のアメリカ・ケンタッキーダービーを勝ったバーバロ(Barbaro)が、とうとう天に召されました。

 ご存じのように、デビューから無傷の6連勝でケンタッキーダービーを制した彼。6馬身半という圧倒的な勝ち振りから3冠制覇濃厚と目され、大々的な注目を集めたプリークネスステークスだったのですが、そのスタート直後で右後肢に重篤な故障を発生。その事故から8ヶ月の闘病生活を送ってきたわけですが、懸命の治療と馬の頑張りの甲斐なく、昨日安楽死の措置がとられたそうです。

 昨年秋から年末あたりには、回復具合に関して明るい見通しも伝わっていただけに、訃報に接して驚きを禁じ得ません。

 ブラッドホースの記事によれば、左後肢に発症していた蹄葉炎が悪化し、回復しかかっていた右後肢に負担がかかって状況が厳しくなったとのこと。どうやら年が明けてから、状況は深刻の度合いを増していたようで、競馬関係者だけではなく、アメリカの多くの人々の願いは叶うことなく、とうとう残念な結果を迎えることになったわけです。

 遠く日本にいて、バーバロに対するアメリカの人たちの気持ちを共有することは、なかなか難しいものがありますが、日本でも同様の残念な出来事は、競馬の歴史に涙とともに綴られております。

 テンポイントの事故のことは、学生時代に予備校の先生から大量に頂いた「週刊競馬ブック」を読みあさっている中で知りました。競馬ファンだけではなく、日本中がアイドルホースが怪我と闘う姿に一喜一憂したと聞いていますし、彼が亡くなったことを知らせるその記事からは、当時の人々の悲しみが、時を越えて私の心にも飛びこんで来たのを憶えています。

 サクラスターオーのことは、私が競馬を本格的に始めたまさにその年に起きました。「菊の季節に桜が満開」となったあの奇跡を目の当たりにした後だけにショックでしたし、「これも競馬だ」ということを悲しいぐらいハッキリと知らしめてくれた馬であり、事件でした。

 G1馬ではありませんが、マティリアルは私の好きだった馬。久々の歓喜の1着ゴールを飾ったその直後に襲った悲劇。中山でそれを見ていた私は、あのシーンと、やはり怪我との戦いの末亡くなったあのときの気持ちを、忘れることはないでしょう。

 そう言えば、サクラスターオーにマティリアルは互いにしのぎを削った、同期の2頭でしたね…。

 今回のような「安楽死処分」の報が伝わると、「故障が起きたときに、もう死なせてやるべきだったのではないか」という話が、必ず出ます。闘病生活で苦しませるのは、可哀想ではなかったかと。

 その場で死なすことが「可哀想」なのか、それとも生かそうとすることが「可哀想」なのか。なんだか人間について結論が出ぬまま延々と論じられている答えのない課題と、通じるところがあります。他の動物なら、恐らくこんな話は出ないでしょう。
 決して人間ではない競走馬なのに、何故か、ある時には対人間以上に、喜びや悲しみや、時によっては怒りや恨みや、そして敬愛や尊敬までも感じてしまう。これがまさに競馬の本質なのかもしれません。

 ましてや、競走馬と、その馬と苦楽をともにしてきた周囲の関係者、そして馬主との関係は、一競馬ファンである私などが慮るには余りあるものがあるんでしょう。伝説の馬・ソーニャドールのような奇跡が起きてくれないだろうかと信じる気持ちも、残念だがそのような奇跡を信じる傍らで悲劇が着々と進行するのを見るに堪えないという気持ちも、またそうした奇跡と周囲の経済的事情とを敢えて秤にかける決断が必要だとすれば、そんな決断も、競走馬というものが何か私たちにとって特別な存在だからこそ生まれるものなんだと思ってます。

 今は、治療に携わった方々の多大なる尽力と、そしてこの間何度となくあったと思われる勇気ある決断の数々に、敬意を表するばかりです。

 最後に改めて、バーバロの冥福を心から祈りたいと思います。






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最終更新日  2007年01月30日 14時19分52秒
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