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カテゴリ:坂田 博昭
先週行われた、北海道市場セレクションセール。立ち並ぶ上場馬の厩舎の中に、異彩を放つ一角を発見。 その名も「馬市.com」(うまいちどっとこむ)。今、競走馬セールで注目を浴びているチームです。 チームは6箇所のコンサイナーからなり、厩舎の前にはご覧のように華々しく各コンサイナーのシンボルマークも掲げられておりました。 もちろん、ただ目立っているだけじゃありません。チームとしての情報提供も充実。
馬市.comを主催する、齋藤宗信さんにお話を伺いました。 この馬市.com、元はといえばそのチーム名を見ればわかるとおり、インターネット上のサイトから活動が始まったもの。2000年に活動を開始したときには、競走馬セールに関する一般的な情報や、上場馬に関する情報を幅広く提供するサイトでした。 そんなインターネット上の、いわば「形のない」世界の活動から、形のある実体的な活動へとシフトしてきたのが昨年から。考え方や方向性が一致したコンサイナーが、情報交換したり手伝いあったりしながら徐々にチームとして活動がまとまり、セールの中ではこのような形で現実化しております。 例えばカタログ。牧場やコンサイナーごとに作れば、コストがかかる上にせいぜい数頭の厚みのないものにしかなりません。しかし、こうしてチームで揃えば、今回初日の1歳セールで全37頭(うち2頭が欠場)。見栄えも全然違いますし、コストも抑えることが出来ます。DVDもしかり。 セールが始まる前には、ブースに立ち寄る購買者が、そのカタログを手に取ってみたり、実際に馬房から馬を出すよう言って、じっくり品定めをする姿が多く見られました。
ちなみに、カタログとDVDの作成は、メンバーが実費で負担。それ以外の馬市.com運営費用は、成功報酬の形式で馬が売れた場合に歩合で各コンサイナーが出し合うそうです。 勿論、こうした活動は、チーム内の各コンサイナーがそれぞれにレベルの高い仕事をしているからこそ成り立つもの。実際に初日1歳セールでは、メンバーのハッピーネモファームが欠場の1頭を除いて12頭が完売。チェスナットファームが7頭出して、最高価格の6000万円で落札された「サニーアスラン」を含めてこれまた完売と、素晴らしい成績でした。 単に規模の大きな牧場が高額取引馬を出したり、頭数売ったりというのではなく、コンサイナーが結束して知恵とお金と、時には互いに人手も出し合い、工夫を重ねることにより結果を出していくというその姿には、まだまだ明るい話題の少ない馬産地の中で、大いに勇気づけられるものがあります。やり方次第ではこれだけ出来るという心意気が、しっかり形と結果になって現れているのだと思います。 馬作りにはそれぞれのコンサイナーで個性があって(むしろ強くて)、その個性を保ちつつ各自がとにかく「良い馬」を作って、セールに送り出し、そのセールの際には連合・協力して事に当たろうというのが、今の馬市.comの取り組み。競走馬セールに新風を巻き起こしていることは、間違いありません。 すでに一つの「ブランド」としても認識されつつある、この馬市.com。これからどんな方向に進化し、馬産地に存在感をアピールしていくのか、その動向から目が離せません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年07月24日 19時51分02秒
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