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カテゴリ:奥村 武
ナチュラルホースマンシップ
聞き馴染みのない言葉でしょう。 毎日お馬さんと暮らしている自分たちでさえ聞いたことがない言葉。 はるか昔から人と馬とは共に暮らし、共存共栄し現在に至ります。 しかし人間は次から次へと知恵をつけ、自然の持つあらゆる大きな力を味方につけ馬に変わる動力を数々発明しました。 そんな中、お馬さんと人間の関係はいつしか「共存」という立場から人による支配へと変わっていったのです。 お馬さんたちの「動き」や「動作」をいつしか人間の力や発明した道具を用いてコントロールするようになってしまいました。 お馬さんたちの気持ちや心、感情は気づけば多くが無視されるようにさえなっているのです。 このナチュラルホースマンシップではこちらの写真のように、今日馬を制するため(騎乗しなくても)に絶対的に無くてはならないとされている「ハミ」を使いません。 ![]() このゴムでできた軽い扶助しか与えられない道具を用いてまるでマジックでも見ているかのような現象がこの後目の前で繰り広げられたのです。 こちらの写真中央が今回ナチュラルホースマンシップを披露して下さったディー・バー・ジェイ ランチの持田裕之さん。 ![]() ここで持田さんが行おうとしているのは、写真のお馬さんに持田さんが「リーダーなんだよ」と分からせること。 お馬さんは元来集団で生活しその集団には一頭のボス馬がいる。 ナチュラルホースマンシップでは人間がお馬さんのボスになって動きをコントロールするのが基本。 要するに今やっているのはその定義付け。 リバティーワークと呼ばれるこの作業、普段お馬さんと接していて彼らが訴えていることの意味に気付かせてくれる最高の教科書でした。 それはさておき、さっきの続きを見てみましょうか。 ![]() いきなり持田さんにおっ放されて「わーい!わーい!自由だ~!!」といわんばかりのお馬さん。 ちょっとの間、自由を満喫していた彼になにやら持田さんが近づいて・・・ ![]() 「ん?」という顔。 ![]() すると手に持った鞭を軽く振りながら(決して叩きません)持田さんはお馬さんに近寄ります。 お馬さんだって叩かれたくはありませんから危険を感じて「何すんのさ~」と逃げ出します。 その攻防がしばらく続き、お馬さんが頭を下げて口をパクパク「わかったよ~、もうやめてよ~」とあたかも言いたげな表情を見せます。 次の瞬間、持田さんも鞭を振るのを止めました。 ![]() 立ち止まりじっと何かを考えている様子のお馬さん。 持田さんがちょっと体を動かしただけで、 ![]() こっちの様子をうかがいます。 しばらくお馬さんは考えた後、ゆっくり持田さんに近づいてきたのです!! ![]() もうここには完全な主従関係が出来上がり、このお馬さんは持田さんのことをボスと認めたことになりますね。 ここから人とお馬さんの本当の関係が始まるんです。 何か周りのモノにこのお馬さんが驚いても持田さんを見て「ボスが慌ててないから大丈夫」とすぐに平常心に戻れます。 新しい環境に連れて行かれても「ボスと一緒だから安心」とすぐに環境へも対応します。 パドックでフラッシュがたかれても、新聞紙がバサバサ振られても厩務員とお馬さんに信頼関係があれば本当はなんてことないんです。 ただ、日本では人とお馬さんの関係がきちんと築けていないから「フラッシュは禁止」なんですね。 今回二日間にわたって美浦トレーニングセンター近くのリバティホースナビゲート代表 佐久間拓士さんのお招きを受けこの持田さんの講習を受けることができました。 本当に目から鱗の二日間でした。 持田さん、佐久間さんありがとうございました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年04月20日 08時18分43秒
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