後輩いじめ
このところ、人吉のお寺の息子さんを預かっておりまして、ツバメの巣作りや子育てと競争するように、一からの時間を過ごしています。そのような折、各寺院での施餓鬼法要の合間に法話をする布教師として、今年は道場の後輩がやって来ました。今まで、若い布教師さんがやって来たことは、ほとんど無く、しかも、二年前には、老僧方の意見により、布教師さんを突っ返したこともあるといった地域で、尚かつ道場の先輩が多く集まるだけに、本人はガチガチに緊張。巡教の始まる前の晩、緊張を少しでもほぐそうと、皆には内緒にして、人吉君も含めた三人で食事をしました。そして、昨日は海辺に近いこぢんまりとしたお寺での法要。いつもは、私だけが最初から最後まで法話を聴いているのですが、今回も同じように法話を聴きに行こうとしたところ、他の和尚さんたちが制止。「いじめちゃいけん! 道場で唯一重なっていた、あんたが聴きに行くのが一番緊張するだろうから、潰瘍でもこしらえてうちのお寺に来られなくなったら困るので止めておきなさい!」との意見。皆がそう言うので、断念することにしたと当人に伝えに行ったところ、おもむろに朝刊の切り抜きを取り出すや、「今日は是非、聴いて下さい! 今日は新聞で今まで知らなかった泉さんのことを教えて頂きましたから、是非とも今日は、私のことも知っていただきたい!」とっても嬉しくなりまして、「ありがとう!それでは遠慮無く、喜んで拝聴させていただきます。」と言って、法話の準備に取りかかりました。 開始予定の一時になれど、本堂に集まったのは、私と人吉君を除いてたったの二人。これでは申し訳ないと、裏方のお手伝いさんの昼食が終わるのを待っての開始となりました。 理屈を捏ねるのではなく、手話を交えたりと、自身の経験による等身大のお話。話し慣れない緊張感も伝わって来ましたが、一生懸命な姿には、本当に頭が下がりました。乳飲み子には、良き子守唄となったようです。