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モーテルで発見された麻薬課刑事ムーアの死体。殺人課のボッシュはなぜか捜査から外され、内務監査課が出動した。興味を持ったボッシュは密かに事件の裏を探る。新しい麻薬ブラック・アイスをめぐる麻薬組織の対立の構図を知ったボッシュは、鍵を握る麻薬王ソリージョと対決すべくメキシコへ。『ナイト・ホークス』につづくシリーズ第2弾。 ハリー・ボッシュシリーズ第2弾 このミステリーがすごい!海外編 第9位 1995年版 ハリー・ボッシュはどういう人なのでしょう。 第一作目から、上司に「警察という組織に当てはまらない要注意人物。警察から追い出したい奴の筆頭」とにらまれています。 でも、彼は腐敗警官ではありません。腐敗を嫌い不正を正すことを信条としているようです。『我が心臓の痛み』のマッケイレブの様に、善なるものを持ち続けている。 それでいて、この『ブラックアイス』の結末から言えば、必ずしも真実を明るみに出せばOKという事でもないらしい。この場合は彼が惹かれた未亡人の幸せを守るという小さな?ことの為に真実は自分の胸ひとつに納めてしまった。悪は自分の手で断罪し。全てを明るみに出して法にゆだねる事よりも、個人の小さな幸せの為に自分で断罪、秘密は闇に。これって、クリントイーストウッド的、カウボーイ的解決ですよねぇ。 結末のどんでんがえしは、圧巻でした。 映画スター・ウォーズの「お前は父の仇だ!」「お前の父はわたしだ!」「ガーン!!」 こういう展開があるわけではありませんが、主要人物の始まりと終わりでは名前が違っているという点で、こんなくらいの衝撃度があるということです。 メキシコ。 全然イメージできないくらい遠い国です。麻薬王が、法王なみにありがたがられる国。 それくらい、産業が無く貧しい国なので、麻薬王が麻薬で儲けた金で町が潤う。 マフィアが暴力や犯罪で儲けた金で、ファミリーや町が潤うみたいな構図。 コナリーさんは、広く長く記者生活をされているから、社会の暗や負や腐や仕組みをよく知っておられる。警察という組織についても。 ハリーの今回の彼女は、検察官。<検察官>シリーズのように検察庁長官を狙うキャリアアップをはかる彼女。彼女から情報を得たり、それを新聞記者のお友達に漏らして彼女の逆鱗に触れたり、事件の行方次第で結果的に彼女のキャリアアップも助ける。 キャリアアップの道を進む彼女とよろしくやりつつ、同僚の未亡人からの秋波にもときめいてるし。女性にもてるんですねぇ。 前回の『ナイト・ホークス』の彼女は、牢屋送りにしちゃうし。 ハリーの女性の趣味と、付き合い方は波乱万丈です。 父親探しを回想するシーンがありました。 1970年頃、除隊し、ロスに戻り、自分探しをおこなった結果、癌で死期間近だった実の父親であり一流の弁護士だったJ・マイクル・ハラーにギリギリ対面。「お前はもしかしたらハリー・ハラーになっていたかもしれないな」と言われます。ヘッセの本の登場人物ハリー・ハラーは、人生に幻滅した孤独な男、まともなアイデンティティをいっさい持っていない男でした。 父親は、人物ではなく一流弁護士で、義理の兄に当たる人物も弁護士。時折法廷で見かける事があるが、一切言葉はかわさない。それでも、ボッシュの頭脳は父親譲りの優秀さなのが分かるし、血のつながりのある人が世の中のどこかにいるというのは、救いだったのではないでしょうか。 父親の亡くなった年の8月に、ボッシュはロス市警にされました。 ボッシュの自分探しがひとつ実ったようです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年05月18日 11時15分17秒
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