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ある内科医の独り言

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2005.02.28
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去年の夏にも書いたのだが「患者様」という慣れない呼称がある。会議や会報などことあるたびにこうした奇異な言葉を聞いたり書かれたりするのでその根源はいったい何なのかずっと気になっていたが、どうやら2001年に厚生労働省に所属する医療サービス向上委員会が発表した「国立病院等における医療サービスの質の向上に関する指針」らしい。

この指針によると、患者に対する言葉遣いや応対の仕方を改めるため当時の国立病院に「患者の呼称の際、原則として、姓(名)に『様』を付ける」ことを求めている。もともとは姓や名に対して『様』をつけるよう指導があったものが、いつのまにか一人歩きし『患者様』になったようだ。先に挙げたように今では随所に見かけるこの奇異な言葉はいったいどのように受け止められているのだろうか。

先日亡くなった国語学者、金田一晴彦氏はその著書【日本語を反省してみませんか】でこう記している。

『…(前略)…言葉を丁寧な形にしても、けっして丁寧な意味にならないという例はほかにもある。病院へ行くと、「患者さま駐輪場」「患者さま待合室」と書かれていることがある。「患者さま」といわれるのは何となく落ち着かない。なぜなら「患者」という言葉自体がすでに悪い印象を与えるため、いくら「さま」をつけてもらってもうれしくない。「病人さま」「怪我人さま」「老人さま」など、いくら頑張っても敬うことにならないのである。「ご来院の方」「外来の方」などというように変えた方がいいと思われる。』

なるほど、だから気になるのかと納得するのは僕だけでは無かろう。さすがは希代の金田一氏だけあって問題の本質を見事に言い当てている。お役所から指導があったというだけで何の疑問も持たず受け入れること自体、非常に憂うべき事態なのだ。医療サイドー患者関係を真剣に考えているのなら、まず呼ばれる相手の立場に立ち、思索せねばならない。形骸化した呼称を良しとして使い続ける関係者が多い病院はこの問題と同じように「右にならえ」「寄らば大樹の陰」と他の問題も十分な思索を重ねぬまま処理していくことだろう。こうした病院はこの先長くはない。患者さんとのよりよい関係が生まれるよう努力するのが我々の努めであり、義務なのだ。その過程においてのみ安心できる医療が構築されるのだと思っている。





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最終更新日  2005.02.28 14:05:47
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